私を門前払いにした橋下氏
自民党で応援弁士が応援している立候補者について一言も触れないなどということは一度もありませんでしたし、このような明らさまな欺瞞もありませんでした。もちろん私は一候補者に過ぎませんから、演説の内容に口を出す立場にはありません。私は無事演説会を終えた安堵を感じながらも、失望を禁じえませんでした。
そのあと党本部から「地元の名店を予約するように」と言われていたので、私は名物である枌そばの名店「小嶋屋」を予約しました。
特段会食は設定されていませんでしたが、自民党の応援弁士の方は、大臣クラスでも、時間があれば候補者・後援会スタッフと食事をするなり少なくとも挨拶ぐらいはかわすなりするのが常だったので、私は落選中を含めもう7年間も支えてくれている、地元の名士でもある後援会長と共に、小嶋屋に向かいました。
小嶋屋に入ると橋下氏はすでに個室で食事をしているとの事で、その部屋に後援会長とともに挨拶に行くと、入り口は文字通り黒服のSPが控え、
「現在休憩中だから誰とも会えない」
とのことで私と後援会長は、話をするどころか顔を見る事すらない門前払いといっていい対応を受けました。
候補者もスタッフもただの「駒」
勿論全国の候補者を応援して回っていた橋下氏が多忙を極めていたのは分かります。又当時の日本維新の会は、橋下氏の人気と知名度に大きく依存しており、氏からは全ての候補者が、自分と党を利用している存在にしか見えなかったのだろうとも思います。
しかし、いかに橋下氏でも、一人で選挙はできません。政党として国政選挙を戦うには多くの候補者やスタッフが必要で、だからこそ当時の維新は、碌に選挙をしたこともない若者達に自腹で1000万円近くを負担させて、172名もの候補者を擁立していたのです。その候補者やスタッフをまるでごみのように扱うという事は、結局のところその地域もごみのように扱うという事でしょう。
私は、その場で後援会長と共に席を取り、全く味のしないそばを、胸に湧き上がる苦い思いとともに飲み下しました。