瑕疵
かし
一般に、きず・欠点などをさすが、法律上は、意図された法律上の効果を完全に生ぜしめず、それを補い、または覆滅せしめる別の効果(たとえば、損害賠償請求権、取消権、契約解除権など)を生ぜしめるような法律上のなんらかの欠点をいう。
ただし、法律上は単に抽象的に「瑕疵」として用いられることはなく、たとえば、瑕疵ある意思表示(詐欺・強迫などによってなされた意思表示で、一定の要件のもとに取り消すことができる)、瑕疵ある占有(強暴・隠秘・悪意・過失など、完全な占有としての効果を妨げるような事情を伴った占有)、あるいは、瑕疵担保責任というように用いられる。
[淡路剛久]
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か‐し【瑕疵】
〘名〙
① きず。欠点。また、あやまち。
※白石先生手簡(1725頃)二「某事も身は不肖に、言行瑕疵のみに候へども」 〔韓愈‐進学解〕
② 法律で、通常あるべき品質を欠いていること。また、意思表示に詐欺あるいは強迫などの事由があること。
※
民法(明治二九年)(1896)五七〇条「
売買の目的
物に隠れたる瑕疵ありたるときは」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
瑕疵【かし】
法律用語。法律または当事者の予想する完全性が欠けていること。瑕疵ある意思表示とは,詐欺・強迫による意思表示(表意者はこれを取り消すことができる)。瑕疵占有とは,悪意・過失・強暴・隠秘による占有。瑕疵担保とは,契約の目的物に隠れた瑕疵があるときの売主等の負う担保責任。
→関連項目代理|取消し|不法行為|無効
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瑕疵
物に対し一般的に備わっていて当然の機能が備わっていないこと。あるべき品質や性能が欠如している事。欠陥と類似する。
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かし【瑕疵 vitium[ラテン]】
欠点・欠陥のあることをいう。法律行為における意思表示の瑕疵,売買の目的物の瑕疵,土地工作物の設置・保存の瑕疵,占有における瑕疵などが問題となる。(1)まず,売買などの意思表示において,詐欺・強迫によってされた意思表示を〈瑕疵ある意思表示〉といい,それは取り消すことができるとされる(民法96条)。表意者を保護するためである。(2)つぎに,売買の目的物にかくれた瑕疵があるときには,買主は,売主に対し損害賠償を請求することができ,瑕疵があるために契約の目的を達することができないときは契約を解除することができる(570条)。
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