ようこそしないで魔法使い君   作:ツインテ美少女こそ至高

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エタってはないっピ!


杖使いの女子高生に話しかけられたぞ

 綾小路に聞いた所、CクラスとDクラスの話し合いは明日行われるらしい。

 

 一之瀬も例の告白の件で綾小路に借りが出来たからか、いつにも増して張り切って動いていた、具体的にやったことといえば匿名掲示板での情報集めや、張り紙などか。

 

 一之瀬が預かっているBクラス全体のppから何ポイントか経費で使われているが、その事に俺から何か言う事は無いだろう、微々たるポイントだしな。

 

 綾小路も何やら目撃者を見つけたらしいし、証拠があると言うならCクラス側が一気に不利になるか。

 

 今回は俺から何かする事は特にない、綾小路がどう解決するのか見たいという好奇心が強いが、それ以上にこれはあくまでDクラスとCクラスの問題だ。

 

 一之瀬の場合立場と周囲の認識がその辺りの追求を上手く誤魔化しているが、本来部外者である一生徒が関わり過ぎても問題になる、特に興味もあんまり無いしな。

 

 Cクラスの生徒、Dクラスの生徒。どっちがどうなってもどうでもいい。

 

 さてそんな月曜日の昼休み、姫野と一緒に昼休みを共にしようとまず探す所から始めた俺は食堂に来ていた。

 

 ……そういえばまだスペシャル定食頼んだ事なかったな、スペシャルと言うのだから多分絶対美味いぞ、もしかしたら魔法的なスパイスが掛かっている可能性も否定出来ない。

 

 今でこそ魔法を使わない生活をしているから機会は無いが、魔法で俺が思い描く調味料を作る時があった、食事そのものではなく、隠し味程度ならば料理に魔法は使える結論が出た時である。

 

 よし決めた、飯食ってから姫野に会いに行こう。

 

 スペシャル定食を頼んだ俺は近くの席に座って食べ始める。

 

 

 これは……美味いぞ。流石はスペシャル定食だ、スペシャルな風味、スペシャルな味付け、スペシャルな量。

 

 これが……1000ポイントを超える料理か……っ!

 

 ものの数分で完食である。ご馳走様でした。

 

 

「ふふ」

 

「ん?」

 

「ああ、すいません。楽しそうに食べていたので」

 

 

 正面を見てみるとそこには小柄な女子高校生が俺を見ていた、見た事がない生徒だ、上級生か?或いはAクラスの生徒か。

 

 しかし顔が良いな、この学校の顔面偏差値はどうなっているんだ?こんなに美男美女がいる事が許されているのなら、俺も若返った時にもう少しイケメンにしても良かったかもしれない。

 

「私は坂柳有栖と言います、一年Aクラスの生徒です」

 

「ご丁寧にどうも。倉上直哉だ」

 

「倉上くん、そうですか。あなたがBクラスの……」

 

 え、何。なんで知られてんの?

 

 もしかして女子ネットワーク的なアレで噂になってんの?だとしたらちょっと怖い、もしかしたら悪口言われてるかもしれん、いやそんな事はないと思いたい。

 

 しかしそうかAクラスの生徒か、この学校に入学して三ヶ月程経過したが、こうしてAクラスの生徒と話すのは初めてだったか。

 

「覚えてますか?あの時はありがとうございました」

 

「ん?……ああ、思い出した。気にしなくて良いぞ」

 

 そういえば会ったことあったわ、四月に棚の上にある物を取ろうとしてたんだけど難しそうにしてたのを見て手伝ったんだった、もう殆ど忘れていたが、思えばこんな感じの女子生徒だったな。

 

 Aクラスの生徒だったのか、身体的な問題を抱えてもAクラスに分けられたと言う事は、それ以外の頭脳的なところは優秀だったりするのだろうか。

 

「少しお話しませんか?」

 

「いいぞ」

 

 俺はこの独特の雰囲気を持つ少女に少し興味を持ち始めていた。

 

 既視感。

 

 天才特有の雰囲気、生まれ持ったカリスマ性の片鱗を感じている。

 

 このタイプは人によって好みが分かれるらしいが、俺は特に嫌悪感はない、まあ顔が可愛い女の子だからってのもあるが。

 

 いや?それを自分でも多少理解して、あえてカリスマ性を下げることをしていないのか?だとしたら中々、面白いじゃあないか。

 

 今から姫野を探しても見つかるとは思えないしなあ、放課後こそは見つけに行こう、そんでもって遊びに連れて行くぞ。

 

「と言いましても、何からお話ししましょうか」

 

「なら俺から話そう。好きな趣味は?」

 

「趣味ですか?……チェスは少々、嗜んでいますね。倉上くんの趣味は何でしょうか?」

 

「ま……研究だな」

 

 あっぶねー魔法って言いそうになりました。

 

 咄嗟に研究と言ったが、まぁ間違ってないのでヨシ!

 

「研究ですか?」

 

「ああ、俺の分野は少し人に言えるものじゃないが、案外楽しい、といってもこの学校にきてからは殆どやらなくなった、その代用としてppについての研究は中々良いぞ」

 

「……なるほど、気が合いそうですね?」

 

 雑談が一通り回った後に、坂柳はふっと顔を笑わせた後、俺の目を見て話始めた。

 

「倉上くんは天才とは、どの様に考えますか?」

 

「生まれつき備わった優れた才能」

 

「正解ですね、でもそれは倉上くんの考えではなく、世間一般的な考えではないでしょうか」

 

「正解、そしてそれを見抜いた坂柳はそっち(天才)側だろうな」

 

「ふふ、ありがとうございます」

 

「俺は天才では無いから、天才を指す指標を具体的に決めろと言われても難しい問題になる」

 

 そうだ、俺は天才なんかでは無い。

 

 俺は魔法使いだ、30年生きてきた中で今の所俺以外に存在を確認できていない、魔法を使える人間だ。決して天才なんかではない。

 

 30年間生きてきた人生分の経験はある、だが生まれ持った特別なモノは何一つない、そして魔法は俺の中では特別でもなんでも無い、あって当然のモノだ。

 

 魔法使いである俺が魔法をあって当然と思うように、天才には天才が考える自分にあって当然と思うものが存在する。

 

 そう言った意味では、そっち(天才)側にいる者と、魔法使いである自分は少し近しい隣人のような感覚だ。

 

「俺が天才と認めたのは三人、その三人に共通したモノの一つは“未知を既知として理解する”ことだ」

 

「それは、自分の常識の外の事を知ると言う事でしょうか?」

 

「半分正解で不正解、そしてこれは俺の口からは言わない。宿題だな」

 

 そう言うと、坂柳は面白そうな表情をして目をぎらつかせた、なるほどこの子は攻撃的な性格をしているらしい、支配欲が高いのか?それ以上はわからないな。

 

 暗に「お前を天才としては見ていない」事を直ぐに察したのだろうか、まあ実際そうだし。そもそもこの子のこと特に知らないし、Aクラスの中でそこそこの立場なんだろうけどね。

 

 俺から見てこの少女は天才の卵だ、六助くんと同じだな。

 

 

「ふふっ……私に宿題ですか、いいでしょう。その宿題を解いたら、倉上くんは何かしてくれますか?」

 

「何して欲しい?」

 

「そうですね……それは、後々の楽しみにしてもよろしいでしょうか?」

 

「俺は今好きな子に全力で好きになって貰おうとしているのだがそれを邪魔しないならなんでも良いぞ」

 

「……そ、そうですか」

 

 あれ、引かれた?いやそんなことないか、至極当然のことを言っただけに過ぎないからな。

 

 しかしやはりAクラスには居たか、これは中々……一之瀬も苦労するな、BクラスがAクラスに上がるにはこの少女を倒さないとならないぞ。

 

 俺はBとかAとか興味無いから手伝ってくれって言われたらやれるだけやるけど、はてさて。

 

「今日はありがとうございました倉上くん、連絡先を交換しても良いでしょうか?」

 

「かまわないぞ」

 

 昼休みもそろそろ終わりの時間になってきた所で、坂柳と連絡先を交換した、坂柳が席から立とうとする前に立ち上がって手を差し出すと、やや驚いた顔で、少し嬉しそうな顔で俺の手を取って立ち上がった。

 

「一人で歩けるか?」

 

「はい、近くにお友達もいらっしゃるので」

 

「そうか、じゃあな坂柳」

 

「ええ、また。倉上くん」

 

 

 ……坂柳か。

 

 とすると、彼女がこの学園の理事長である坂柳理事長の娘だろう。今さっきの少ない時間での関わりでも、優れた知力を感じた。

 

 海外を起点に活動していた時こそ関わりはなかったし、日本に戻っても名前以上の事は知らなかったが、やはり親にして子。中々ユニークな人物だと考察できる。

 

 これも青春ではあるな、中々良いポイントです。

 

 坂柳有栖は青春をわかっているかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、CクラスとDクラスの話し合いが行われる日になった。

 

 一之瀬は「やれる事はやったつもりだけど……」と少し心配していたがそこまで気にする必要も無いだろう、何方が勝つにしろ負けるにしろ、Bクラスに何かが起きる訳じゃ無い。

 

 一応、友達として綾小路に大丈夫そうか?とは聞いてみたが、返信は「問題ない」の一言だったし。

 

 それ相応の手答えは感じている筈だ、俺としてはどこまでCクラスに圧力をかけるのか見ものだが、どうだろうか。

 

 Dクラスの中での綾小路は何やら影を薄くして、存在を目立たせていない様に感じたから、その辺の塩梅をどうするかは俺が綾小路と同じ立場になっても少し悩まざるを得ないな。

 

 さて。放課後になったので姫野に話しかける、当然の様に無視されるがずっと隣で歩いてたら施設に着いた、ゲーセンだ。

 

「珍しいな姫野、何をする?同行しよう」

 

「こないで」

 

「いやいや俺は役に立つぞ、クレーンゲームは任せろ」

 

「私より下手でしょ」

 

「何を言うんだ、同じぐらいだぞ」

 

「は?うざっ……」

 

 姫野の目に火がついたような気がした、かわいらしい小さいぬいぐるみを景品にしているクレーンゲームを遊ぶらしい。

 

 さてどうしよっかな、魔法使ってそれとなく支援しても良いんだけど、この前姫野とゲーセンで遊んだ時、一番ポイント使ったの多分クレーンゲームだし。

 

 いやここは俺が一発で取って良いところを見せてやろうかな?魔法使えば確実に取れるぞ、アームの力強くすれば良いだけだからな、ただ強くしすぎて景品が潰れた時があるから、その辺の魔力加減を調整しないと悲惨になるが。

 

「……」

 

「俺に任せろ姫野」

 

「やだ、どっかいって」

 

「むむ」

 

 どうやら自分で取りたいらしい、これは仕方ない……譲りそうも無いのでここは素直に他のゲームをプレイするか。

 

 俺がゲーセンに入り浸ってきた時は主に格ゲーをしていたのだが、魔法のアシスト無しで格ゲーをした事は無かったな。

 

 やってみるか?ものは試しだ、魔法を使った時は百戦錬磨だったがはてさて……。

 

「……面白いの?それ」

 

 いつの間にか背後に来ていた姫野にそう問われる、難しい質問だ、魔法を使って格ゲーをしていた時はそれこそ負ける事が無かったので、楽しい楽しくないといった感情も無かった。

 

「どうかな、久しぶりだし」

 

「ふーん……」

 

「やるか?」

 

「やらない」

 

 はてさて対戦相手が揃いいざプレイ、いざ始まってみるとこれはなかなか、面白いじゃないか。

 

 アーケードコントローラーと言えばいいのだろうか?これ結構難しいな、でもおお、楽しいぞ、これでコンボが決まるのか。

 

 やばい、これはハメ技というやつでは?負けるのでは、なんだこいつ、相手魔法使ってんだろ、俺が負ける……?

 

 あっ。

 

「よわっ」

 

「こんな呆気なく負けるのか、まじかよ。認められん」

 

「まだやるの?」

 

「あーいや、うん。今度一人で行くか、それより姫野、二人でできるゲームをしよう」

 

「やだ」

 

「ほらアレとかどうだ、ゾンビを撃つやつ」

 

 しかし姫野と遊ぶのは楽しい、時間が早く経っている感覚がする、名残惜しいと言う反面、明日も明後日も似た事が出来るかと思うと素晴らしいことだと再確認する。

 

 そう考えると綾小路は災難だな、七月始まってやる事が自分のクラスの問題とは。

 

 今のCクラスとDクラスの問題が終わったら遊びに連れて行こう、ついでに気になっている女の子は居ないのか、青春ポイントが非常に高い恋バナもするか。

 

 ……綾小路が付き合うなら誰か。

 

 これは中々難しい問題だぞ、正直俺には思いつかない、でも綾小路は無表情なだけで顔立ちは良いし、そこそこ気遣いも出来なくはないし、全体的な能力は魔法を使わない俺より高いと思ってるから、その気になればモテそうだ。

 

 案外ギャルっぽい女子高校生とかに好かれそう、そんな感じする。

 

「真剣にやって!」

 

「ごめん姫野、しかしこれ案外怖いと思わないか」

 

「思わない!」

 

 

 そんなこんなで姫野と遊んで、今日を有意義に終わらせたのであった。




ゲームやったり飲んでたりしてて普通に忘れてた、ごみくずですすいません許してください!なんでもしません!

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