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「部員たちによる謝罪動画をめぐって地元の熊本日日新聞は、校長補佐でもある段原監督が部員に『学校が対応に追われ、迷惑がかかっている』と削除を要求したと報じている。また、段原監督は『スッキリ』出演時に『ここに来る前に理事長、校長とは協議をして、熟慮して参っています』と語っており、学校としては、対応をすべて段原監督に丸投げして、責任を負わせようとしている姿勢がうかがえる。
だが、監督は事件のあくまで当事者であり、『スッキリ』内で“コーチの力も必要”などとコーチを擁護する発言をしていることからもわかるとおり、中立の立場ですらない。調査される側の人間がいくら対外的に説明を行ったところで、世間からの疑念を深めるばかりだ」
秀岳館高校といえば、サッカー部は全国高校サッカー選手権に出場歴もあり、野球部も2017年にはセンバツで3季連続のベスト4入りを果たすなど有名校。全校生徒約1000人のうち、5分の1にあたる約200人がサッカー部所属、約70人は野球部所属というスポーツ強豪校として知られている。
「野球部は14年に元パナソニック専務でボーイズリーグ指導者だった人物を監督に招へいし話題を呼んだが、学校としてもスポーツに力を入れている。それだけに、もしスポーツ部活動で問題が起きれば、来年以降の志願者減、つまり生徒数減に直結する可能性もあり、学校サイドは今回の問題を大きくさせまいと逃げているようにみえる」(前出記者)
部員たちが受けるプレッシャー
また、別の高校の関係者はいう。
「世間が思っている以上に、今ではスポーツ強豪校であっても体罰を厳しく禁じている。簡単にスマホで動画を撮影してネット上で拡散されるし、殴った人物もあっという間に特定され、教諭であれば職を失うリスクもある。また、連盟なども敏感になっているので、監督やコーチによる体罰だけでなく、上級生から下級生に対するものなど部員同士の暴力も、公になれば一発で出場停止処分となってしまう。
今回問題となっている動画を見る限り、コーチが大きく部員を蹴り上げたり殴ったりと、生徒が重症を負う危険も感じ、“軽い体罰”で済まされるレベルではない。生徒に暴力をはたらいたり暴言をはく教師というのは、その人に染み付いた資質みたいなものなので何度も繰り返す。将来、このような教諭による被害者が出ることを防ぐためにも、刑事事件として警察がしっかりと介入して捜査し、しかるべき処分が下される必要がある」
部員による謝罪動画投稿、そして削除の背景について、この関係者はいう。
「秀岳館がスポーツ推薦の制度をとっているのかはわからないが、スポーツ強豪校の場合、全国大会出場などチームの成績や試合での個人成績が、進学や、プロ入りまでいかなくとも社会人チーム加入というかたちでの就職など、その後の進路に大きく結びつく。それだけに“部活をやめられない”“チームに迷惑をかけられない”という心理が働きやすく、理不尽な目に遭っても声を上げられないという圧力を受ける。