1人暮らし開始、オンライン激励会…受験生も周囲もオミクロン対策
大学入学共通テストが15日に迫る中、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」が急拡大している。「あなたの特命取材班」が無料通信アプリLINE(ライン)でつながる「あな特通信員」の受験生や保護者らに不安に思っていることや感染症対策について聞いたところ、コロナ禍でも冷静に試験に臨もうとする姿が見えてきた。
「マスクを着けていると頭がぼーっとすることがある」。福岡市の高校3年生は試験時のマスク着用に不安を持つ。「眼鏡が曇って集中できない」(福岡県福津市の高3)、「緊張して息苦しくなるかも」(同県久留米市の高3)といった声も。それでも、多くの受験生が「感染症対策のために仕方ない」と答えた。
大学入試センターは、試験会場でのマスク着用を義務付ける。皮膚や呼吸器系の疾患、発達障害や感覚過敏で着用が難しい場合は、出願時に医師の診断書を添付して申請し、認められればマスクなしで別室受験などが可能になる。全国から申請があった95人全員が認められたという。
感染症対策にも神経をとがらせる。医学科志望の東京都の浪人生(22)は昨年末から1人暮らしを始めた。理由は「家族が感染した場合に備えて」。外出は最低限にし、買い物もネットスーパーを利用する。試験当日はサージカルマスクを二重に着用し、アルコール消毒液を持参する。福岡市の塾講師(21)は、試験会場への送迎は時間帯をずらすよう保護者に促す。
保護者も「当日は高性能のマスクを着けさせる」「トイレ用の除菌シートを持たせる」と気を配る。
福岡県粕屋町の看護師(51)は子ども2人が受験生。夫はオミクロン株の感染が急拡大している大阪府に単身赴任中で、受験が終わるまで帰省は控えてもらっている。福岡県大刀洗町の小学校教員(45)は「普段通りの精神状態で受験させたい」と不安を与えないよう心掛けるという。
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「今回は受験に集中できると期待していたが…」。福岡市の学習塾「英進館」高等部本部の神田岳彦課長は残念がる。8日に急きょ、9~16日の塾校舎への立ち入り自粛を受験生に呼び掛けた。期間中は自習室も利用できず、顔を合わせる機会はない。激励会はオンラインに切り替えた。担任が全員に電話し緊張をほぐしているという。神田課長は「不要不急の外出はしないなど、基本的な感染対策をするしかない」と話す。
(小林稔子、四宮淳平)