司法書士試験における不動産登記法について
不動産登記法とは
土地や家屋といった不動産の登記に関する手続きを定めた法律です。
たとえば,不動産を相続したという登記をしたい場合,法務局にはどのような書類を提出しなければならないのか,また,登記の申請書にはどのような事項を記載しなければならないのかといった実務上な手続きについて学習していくことになります。
出題形式と配点
司法書士試験において不動産登記法は,午後の部の多肢択一式試験で16問程度,午後の部の記述式試験で1問出題されています。
また,多肢択一式試験の配点は1問3点なので,不動産登記法の多肢択一式試験で48点程度出題されることになります。
さらに,記述式試験は,全2問の出題で満点が70点となっているので,単純計算ですが,不動産登記法の記述式試験の配点は35点分あるということになります。
出題傾向と特性
不動産登記及び登記申請書の作成に関する知識が問われます。
具体的には,不動産登記法,不動産登記令,不動産登記規則,さらには登録免許税法に関する条文知識や各条文の文言解釈について出題されます。
また,「先例」についても出題されます。「先例」とは,各種法令から一義的にその内容を確定することが困難なものなどについて,法務局はどのように扱うべきかという指示をいい,「通達」や「回答」という形で法務省から示されます。
不動産登記法の勉強法
多肢択一式試験では,登記の申請における申請人や申請情報・添付情報,登録免許税,登記の更生,所有権・担保物権・用益権関係など,不動産登記に関する事項が満遍なく出題されます。
しかし,今まで誰も見たことがないような問題ばかりが出題されるわけではなく,過去問と同一だったり,過去問の言い回しを変えたりした問題も出題もされています。
そこで,過去問を繰り返し解き,柱となる正確な知識を定着させる勉強をしていく必要があります。
記述式試験では,不動産登記法の知識だけでなく,民法などの不動産登記と関係がある周辺科目の知識があることを前提として,どのように事件を処理するのか,その処理に当たってどのような事項を考慮したのか,さらには,登記申請をする際,記載しなければならない事項と記載してはならない事項を判別させ,なぜそのような判別をしたのかという理由を聞くような問題が出題されています。
そこで,過去問を何度も繰り返して解き,問題点,解答,その解答に至った理由,具体的な記載方法などを整理して,問題の処理手順を確立する勉強が大切です。
なお,不動産登記法は,憲法・民法・刑法といった身近でなじみのある法律とはいえないので,学習を進めていくうえでわかりにくく,時間がかかる科目です。
問題に関連する手続きのフローチャートや申請書の現物を確認するなどして,実感をつかみながら進めると学習が進めやすいかと思います。
不動産登記に関する業務は,司法書士の主要な業務です。
そのため,司法書士試験でも多肢択一式と記述式の両方の試験が課され,不動産登記法に関する配点割合も最も高くなっています。
そのため,勉強の優先度は最も高く,多くの勉強時間を割く必要があります。
また,不動産登記法は,一般になじみの薄い科目であるにもかかわらず,解答に当たっては深い知識が要求され,さらには,制限時間も厳しいので,他の科目と比べて難しい科目です。
さらに,受験生はそのことを前提に,きちんとした対策をしてくるため,難易度にしては平均点が高くなる傾向にあります。
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