伊予鉄土橋駅の真裏に飲み屋街の廃墟のような長屋がずらりと並ぶ不気味な一画がある。二つの路地に二階建ての長屋があり「司」「家紋」などと屋号が書かれた古風な看板が掛かっているのみで、家々はほぼ廃墟化している。路地の奥に入ると一部にはまだ住人がいるようで、生活音が聞こえてきたり、また別の家には犬の多頭飼いをしているようで複数の犬の鳴き声が玄関越しに聞こえてくる。まるで妖怪屋敷。
戦後に勃興した松山市駅前にあった青線(私娼街)が当地に移転させられたものらしく、やはり私娼街としての歴史を今まで細々と歩んできたそうだ。
日が落ちた後にこの場所に再びやってきたら、一番手前の「司」の玄関口が赤い灯で照らされていた。気になって近づくと中からゾンビ…否、細身のお婆さんが上半身を覗かせてこちらに手招きをしてきた…よもやこの青線、現役だったとは…