2021年度の開催に関しましては、新型コロナウィルス感染拡大の状況、ワクチン接種の浸透などの社会的状況などを鑑み、どのような形での開催がベストなのかを医学博士とともに逐一協議、判断、調整し進めて参ります。
2020年度実施
大阪城ホールでの
スモークテストについて
サントリー1万人の第九では、感染症の専門医と医学博士の計2名を「1万人の第九感染対策アドバイザー」として招聘し、開催に向けて逐一アドバイスを受け、準備を進めてまいりました。以下、皆様にご入場いただく大阪城ホールのアリーナでの安全性の検証結果について詳しくご報告いたします。
まず、大阪城ホールのアリーナには、排気システムは2系統あります。通常の空調システムで、天井の6列からなるレーンに多数開口した給気口から冷房暖房の空気が給気され、アリーナの内周沿いの溝に設けられた排気口へと流れる気流による排気と、天井に設置された4台の排気ファンによる排気がもうひとつ。これらの換気をフルで行うと、アリーナ内は、約20分に1回程度空気が入れ替わる状態になることを前提にスモークテストを行いました。
- 実施場所
- 大阪城ホール(アリーナ)
- 実施日時
- 2020年9月16日
- 立ち合い
- 藤田医科大学 医学部 吉田友昭(医学博士、ICD)
- 使用機材
-
1)アリーナ
コンセプトスモークマシーン1台、
DF50スモークマシーン1台、
バイパースモークマシーン1台、
送風機2台
2)客席
コンセプトスモークマシーン2台、
DF50スモークマシーン2台、
バイパースモークマシーン2台、
送風機2台
- 試験方法
-
アリーナ全体の気流の流れについては、以前大阪城ホールが行った。
スモークテストの結果映像を参考とし、今回は基本的にポイントごとにスモークを焚き、気流の流れの確認を行った。
スモークの熱対策
スモークは熱で焚くため、出してすぐは温度が高い。
そこで、直径20cmほどの蛇腹(長さ約2m)を経由して、体温くらいまで冷ましてから放出することで、熱による上昇要素を排除した。
- 合唱スタイル
-
パーソナルファンでエアロゾルを上方へ飛ばして排除
クリアマスクが飛沫の受け皿になることで感染防止の合唱が可能に
合唱者本人は、クリアマスクを着用し、首掛け式の簡易扇風機でエアロゾルを上方に飛ばすことで、クラスターの発生を防ぐ。
したがって、歌唱者の頭上に上方の気流を確保することが必須となる。
その気流を確認するテストを以下の手順で行った。
①アリーナ内の空調、換気システムの確認から稼働の指定
アリーナ内は、空調(給気は天井全面に放射状に16列配置された給気口から。排気はアリーナの周りを1周する側溝からと天井全体の4台のファンから。)
通常、コンサート開催時は空調をきかせている。(天井より給気+下方より排気)
アリーナ内の排気を強制的に行う際は、天井の排気ファンをまわす(上方排気のみ)
上方排気のみ行う際にはアリーナの減圧を防ぐため扉を開けなければならない
そこで、アリーナ内の気流について、上方排気4台と下方排気4台の強さの組み合わせで、アリーナ内のスモークの流れを確認した。
Aパターン | Bパターン | Cパターン | Dパターン | |
---|---|---|---|---|
上方排気 | 2台 | 4台 | 4台 | 4台 |
下方排気 | 4台 | 2台 | 0台 | 4台 |
スモーク流れ | スタンド席からアリーナへ | スタンド席に滞留 | スタンド席から上方へ排気 | スタンド席に滞留 |
表1. 排気の組み合わせとスタンド席の気流の関係
表1の結果、スタンド席での合唱者の安全を確保できるのは(スタンド席で上方への気流を確保するには)Cパターンのみの結果となった。(歌唱時)
しかしながら、Cパターンの上方排気4台のみ稼働すると、気温調節ができないうえに、減圧のために開けたアリーナの扉から寒気が流入する可能性があるため、歌唱のない時間帯は、合唱者に通常のサージカルマスクを装着してもらうことで「観客」とみなし、空調を稼働させ、下方排気を稼働しても可能とする。
結果
リハーサル、本番など合唱者が歌唱するときは、Cパターンで換気を行い、それ以外は、観客とみなし、サージカルマスクを着用してもらうことで、空調を稼動させる。
①アリーナ及びスタンド席の気流の確認
-
スタンド席の53ポイント、アリーナの7ポイントで、スモークテストを実施した。
順次問題のある気流を生むポイントを探しつつ1周まわった。(資料1参照) - 2~6人の合唱者を想定したスタッフに首掛け扇風機を装着し、頭の上30cmあたりからスモークを焚いた。
- スモークがゆっくり上昇するか、巻き込んでシートにまで下がりこんでくるかを目視で観察した。
結果
- スタンド席の最前列から3列は、気流がアリーナのほうに巻き込むため、合唱ポイントには適さない。
- スタンド席の最後列から2列は、気流がよどむため、合唱ポイントには適さない。
-
スタンド席の南北の方向の場合、気流が乱れる場合がある。
そのため何か所か合唱に適さない場所あり。 - アリーナは基本的に上昇気流なので、どのポイントでも合唱に適す。
- ただし、Cパターンの上方排気のみにすると、アリーナの南北のドアを開けるためそのドア同士の風の導線は、さえぎらないほうがいい。
合唱に必要なディスタンスは、2mとされているので「横2席 縦2列」でカウントしていたが、現場で、吉田先生の判断で「横2席 縦は空けずに前の二人の真ん中に位置する」でも1.5mは取れるため、写真のように1.5mディスタンスで実施した。
〇スタンド席のスモークテストの様子
〇アリーナのスモークテストの様子
このスモークテストを受けて・・・
後日、吉田先生と浮村先生、事務局スタッフとで議論を重ね、大阪城ホールで合唱を行うのに安全と思われるポイントを割り出しました。 その結果に重ねて、後日、音響担当者、佐渡総監督、舞台監督と意見交換し、ステージ後方のスタンド席は合唱を行わず観客席とし、合唱団と観客席その間は1ブロック座席を開けることとしました。
その結果、安全な合唱団の配置、観客席を下記のように割り出しました。
なお、今後お社会的な感染症の拡大状況によりましては、大阪城ホールへの入場者人数や配置の編子、また、予定している公演内容を変更せざるを得ない場合もございますので、悪しからずご了承ください。
感染症対策アドバイザーより
「1万人の第九」では、通常の会話よりも10倍近い飛沫を飛ばすと考えられる危険な歌唱を、多人数が集まって行うことから参加者相互の感染伝播が危惧されます。そこで1万人の第九クラスター発生を避けるためには、一人一人が放出する呼気が周囲の人の口に届く前に排気する工夫が必須で、事務局スタッフと8月から徹底的に検討を重ねました。
大きな飛沫はマウスシールドでかなり止めることができますが、微小飛沫はマウスシールドの上や横からどんどん漏れていきます。それを避けるために、一定の理論的な対策(首掛け扇風機の採用)は立てたものの、実際の微小飛沫の動きは会場での気流の可視化が必要でした。
そこで会場に、首掛け扇風機を使った模擬的な合唱グループを設置してスモークを焚き、すべての場所で気流の実証実験(スモークテスト)を行いました。
第一に、会場の持つ空調と換気機器の組み合わせの可能性をいくつも比較し、天井にある排気ファンのみを動かすことで、全体の気流をスムーズに上方に流せることがわかりました。
このことから、床からの排気を伴う空調を起動するところを歌う直前で停止し、合唱中は変則的な排気ファンのみフル稼働とすることにしました。
この天井の排気ファンをフル稼働することで、スタンド席のほとんどの場所で安定した上昇気流が確保できることが確認されましたが、それはさほど速い風ではありません。
そこで第二に個々の合唱メンバーが首掛け扇風機を活用して放出した微小飛沫を連続的に頭上1m程度に舞い上げることで、周辺の人にかからないようにしています。
微小飛沫をこの高さまで上げて会場の上昇気流に載せれば、合唱メンバーの放出した微小飛沫は連続して天井の排気口に流れ、休憩による換気も無用なくらいの安全性を確保できたと考え、この度、参加可能な人数の発表に至りました。
今後本番のための感染対策マニュアルを作成し、さらに様々なお願いをすることになると思いますが、「1万人の第九」の安全な実施のため、参加者のご理解とご協力をお願い致します。
『1万人の第九感染対策アドバイザー』
大阪医科大学附属病院 感染対策室 室長
浮村聡(医学博士、ICD)
藤田医科大学 医学部
吉田友昭(医学博士、ICD)
安全、安心の上、
ご参加いただくために
当事務局の取組み
- スタッフの体調管理・マスク着用の徹底
- 接客スタッフには飛沫感染防止シールドの設置、マスク・フェイスシールド・手袋の着用
- 館内空調および換気の徹底
- 手指消毒、館内各所(扉・手すり・エレベーターのボタン等)の除菌清掃の徹底
- エレベーターは、車椅子・お身体の不自由な方を優先
合唱に当選された方々へ
- 11月23日(月)以降、WEB問診票のご記入をお願いいたします。
-
以下の方は入場、参加をご遠慮いただきます。
- 直前2週間以内に発熱や感冒症状で受診や服薬等された方
- 咳、呼吸困難、全身倦怠感、咽頭痛、鼻汁・鼻閉、味覚・嗅覚障害、目の痛みや結膜の充血、頭痛、関節・筋肉痛、下痢、嘔気・嘔吐等による体調不良を訴えられた方
- 新型コロナウイルス感染症陽性とされた方と濃厚接触があった方
- 直前2週間以内に政府から入国制限、入国後の観察期間を必要とされている国、地域への訪問歴及び当該在住者との濃厚接触があった方
- 上述の症状があり来場を控えていただく方には、事務局までご連絡ください。なお感染症拡大状況に鑑み、密集回避策として随時変更する場合がございます。悪しからずご了承ください。
- 公演が中止となる場合や、開場時刻・休憩時間等の変更が生じた際には、公式HP、Twitter等でお知らせします。
当日、大阪城ホールでのお願い
- チケットは入場口にて係員にご提示の上、ご自身で切り離し、ボックスにお入れください。
- 入場口に検温いたします。37.5 度以上の方は入場、参加をご遠慮いただきます。
- マスクを着用していない方は、ご入場いただけません。
- プログラムなどの配布物は所定の場所に設置しますので、ご自身でお取りいただきます。
- 「厚生労働省コロナ新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA))を事前にご登録願います。
- 入場時に「大阪府新型コロナ追跡システム」にご登録をお願いいたします。
- 当公演が感染経路となった疑いが生じた場合には、来場者の氏名および連絡先を保健所等の公的機関へ提供いたします。予めご了承ください。
- チケット購入者とその同伴者以外の方が来場された場合は、来場者カードへ氏名、連絡先、座席番号等の記入をお願いします。(※)
- 座席の間隔を空けて配席しています。座席の移動は固くお断りいたします。
- 十分な換気を施すため、客席内の室温が適温にならない場合があります。寒暖に配慮した備えを各自でご用意ください。
- クロークは利用できませんので、手荷物は少なめにしてご来場ください。
- 会場内で体調の異変を感じた場合は、公演中でも遠慮なくお近くのスタッフにお声がけください。
- 咳エチケット、マスク着用、こまめな手洗い・手指消毒の徹底をお願いいたします。
- 来場者同士の接触や大声での会話、ブラボー等の声援は、お控えください。
- 分散しての入退場にご協力をお願いいたします。