「柱状節理」が織りなす知床の断崖絶壁
「柱状節理」とは、溶岩が冷えて収縮するときに形成された、柱上の裂け目のことをいいます。いま現在も活火山である羅臼岳から生まれた、かつての溶岩流が、幌別台地を形成しているのです。
あるテレビ番組では、柱状節理(ちゅうじょうせつり)ができあがる仕組みを、片栗粉を使って実験していました。片栗粉は水を含みやすく、かる乾燥すると収縮する性質を持っています。乾燥させた片栗粉は、収縮して表面にヒビが発生します。そこを指で崩すとヒビから縦に割れて、まさに柱のようになります。これが「柱状節理」の仕組みなのです。つまり溶岩流が海面近くで冷やされた時に、収縮しても同じ現象が生じるということです。
このような断崖絶壁が、知床半島には数多く存在しているため、色々な個性的な形をした岩壁も並んでいます。それらを観光船に乗って身に行くと近くまで行って見ることが出来るため、柱状節理の発達した岩肌なども、より一層リアルに感じ取ることが出来るのでオススメです。
知床半島の秘境の地「岩尾別温泉」とは
岩尾別温泉(いわおべつおんせん)とは
2005年に世界遺産にも登録された「知床半島」の北側、斜里町にある温泉地です。知床五湖からも近く、大自然と静寂に包まれた場所にあります。標高約215mほどの山深い場所にある「知床国立公園」の秘湯として有名です。カムイワッカの滝や知床五湖にも近く、三段の湯・滝見の湯などの名が知れた野湯があります。93号線の終端に「ホテル地の涯」と木下小屋だけが佇み、羅臼岳の登山基地としても利用されます。レストラン・カフェ・スナック・コンビニなどといった独立したお店がなくまさに秘境の地といえます。冬期は93号線が通行止めになるため、休業となります。
岩尾別温泉「ホテル地の涯」
そんな岩尾別温泉の中でも有名なホテル地の涯(ちのはて)をご紹介いたします。温泉宿としては日本最北東に位置し、93号線が通行止めとなる11月上旬~4月下旬以外の期間のみ営業していています。羅臼岳登山道が近くにあるため登山客の拠点として、また知床の自然散策に訪れた人向けのお休み処としても人気を集めるホテルとなっています。
詳細情報
住所:〒099-4356 北海道斜里郡斜里町岩尾別温泉
TEL:0152-24-2331
入浴料:500円
時間:11:30~18:00
定休日:冬期 (11月~4月)
駐車場 あり:(無料)
構成 露天風呂:(混浴5)
内湯 :(女1、男1)
ホテル地の涯の温泉詳細情報(身体への効能など)
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩泉
ph:6.9 (中性)
タオル巻き:OK(水着も可)
効能:神経痛・冷え症・肥満・痔疾・リウマチ・慢性皮膚病…etc.
「五湖の断崖」から流れ落ちる伏流水
五湖の断崖から染み出ている
この上には知床の名所で知られる「知床五湖」があります。流れ込む小川がただのひとつも無く、流れ出すものも同じくありません。すべてがこの断崖から浸み出すことで水の量が調整されているのです。季節によって、その浸み出す流れを見ることが出来ます。流れる水は知床連山に降り積もった雪が、数年かけて伏流水となり、この湖に辿りついたものです。
散策コース
知床五胡を観光したいのであれば、一周3kmの散策コースがオススメです。原生林に囲まれた大小五つの湖を見て回ります。晴れていて空が穏やかな日には、知床連山が湖面に美しく浮かび上がります。ただし、こちらはヒグマの出没状況によっては閉鎖になる場合もありますので確認が必要です。
また、断崖絶壁を目指して歩くツアーもあります。草木が生い茂ったようなところを歩きますが、知床の原生林の良さは背丈が高い植物があまり多くなくて、遠くまできれいに見渡せるところです。森の中にも関わらず景観がとてもキレイです。
information
名称:五湖の断崖
住所:北海道斜里郡斜里町遠音別村
駐車場:有料(乗用車76台、バス8台)
利用期間:4月下旬~11月下旬
売店:知床五湖レストハウス
トイレ:有
「象の鼻」象の長い鼻のような巨岩
長い鼻が特徴の岩「象の鼻」
観光船に乗って、知床八景の一つでもあるフレペの滝を超えてしばらく行くと、象の長い鼻のように特徴的な形をした巨岩が見えてきます。こちらがまさに「象岩」です。
地元の人たちはこれを「象の鼻」とも呼んでいます。その周りにはアイヌ語でクンネポールと言われる黒い穴が並んでいて、なんとも特異な地形をしています。知床観光船ではどのコースを選んでもここを通過します。
「長い鼻」への散策コース
像岩(別名:長い鼻)は、海に突き出るような地形になっているため、陸の上からは知床岬方面へと続く断崖を眺めることができ、知られざる散策コースとして人気を集めます。ここを訪れる際は、自然ガイドさんなど知床の森に詳しい人と一緒に散策することをオススメします。
知床観光船で向かう「象の鼻」
観光船には、大型船と小型船の2種類があります。
大型船には大人数が乗れるので、船内が広くゆったりとしていて、安定した航行で優雅に景色を楽しむことができます。
小型船は、断崖や滝に近づくことができるため、ダイナミックな自然を間近で満喫でき、さらには船長さんによる生ガイドも聞きことができます。
港を出ると、プユニ岬→フレペの滝→湯の華の滝→象の鼻といったような流れで進みます。
知床は断崖続きなため、こういった面白い形をした色々な岩を見るのが楽しみのひとつでもあります。
象の鼻は、正面から見ると本当に象の鼻と右耳のような形を見ることができます。
information
名称:象の鼻
住所:北海道斜里郡斜里町
迫力満点の水量がまるで「男の涙」のような「湯の華の滝」
手つかずの自然が数多く残る「知床半島」
オホーツク海の断崖の間から、山々の雨や雪が地下水となって吹き出し、滝となって水飛沫が舞う「男の涙」
こちらも大自然を感じられる場所の一つとなっています。
「男の涙」という名は通称です。由来は、すぐ近くにあるフレペの滝(別名:乙女の涙)と比べると季節によっては水量が多く豪快に流れているからだとか、また海の上からしか見ることができないため人目を避けて泣く男のようだとか、諸説あるそうです。
陸路で向かう「男の涙」(ガイド付き)
少し前までは陸路からも見ることができたそうですが、今は遊覧船やクルーザーに乗り海上から見るのが一般的となっています。陸路で向かうにはヒグマが出没する場所を通らなければならなかったり、散策路がないため道筋が不明瞭な山道を歩くことになったりと、危険も伴うのでガイドさんなどの詳しい方の同行が必要です。
山林に入るとはじめは踏み固められた散策路があるため比較的気軽に歩くことができます。
続いて、腰から胸くらいまである草むらの中を進みます。平坦な道もあれば、アップダウンが多い道もあります。背丈のある木に囲まれた森を進む場所もあれば、木はなく背丈のある草だけの見通しがよい場所もあります。
散策途中では、国立公園のため倒木が撤去されずにそのまま残っていたり、野生動物が身近にいる証があったりと、自然の営みを数多く感じることができます。
自然豊富な散策ルートを抜ければ、海岸線の断崖の上へ到着です。断崖はかなり高さがあるので海岸線まで下りることは危険です。草木の緑色と真っ青に澄み切ったオホーツク海のコントラストがとても美しいです。
この入り江の崖に、「男の涙」があります。
クルージングで楽しむ「男の涙」
知床半島には、海岸線が断崖絶壁になっている箇所が数多くあります。だからこそ断崖にギリギリまで近づき見ることができる小型船のクルージングは迫力満点です。
船でフレペの滝から1分ほどで見られる「男の涙」ですが、すぐ近くにある「フレぺの滝(別名:乙女の涙)」と比較すると水量が対象的でこれもまた楽しみ方の一つになります。
また、滝に太陽の光があたるとまるでオーロラのようにゆらゆらと揺れる虹が現れることがあり、またの名を「虹の滝」と呼ぶ人もいるくらい美しい光景に出会えます。
information
名称:湯の華の滝
別名:男の涙
住所:北海道斜里郡斜里町 知床国立公園内
TEL:0152-24-2639(知床観光案内所)
料金:見学自由