学問についてーあるいは知りたいという感情

わたし自身は、教育とか教養一般は生きていくのに必要なことを修めれば良いのだと理解しています。
画にしても、音楽にしてもその人の生活を豊かにしてくれますが、職業とする以外は直接役立つわけではありません。
学問もまた、ある程度のことを修めていれば良いだけですし、専門的な知識は職業とする以外には必要はありません。
江戸時代に和算として普及した数学に夢中になって商売を潰して、各地を放浪して土地土地の愛好家と交わって教えたり、互いの能力を競ったりしたことがあったそうです。
現在ではインターネットで似たようなことがあるようです。
中には夢中になって会社を辞めたりする人もいるようですから、この系統は連綿と現代まで続いているようです。
ある武道家はその著書の中で、武道は生きるうえで必要な場面があるから一通りのことは修めるべきで、その中から武道に向いている人が専門家になれば良いと述べています。
学問でも同様ではないでしょうか。
・・・それがわかっていても、なおかつ必要の無いことにのめり込んでいくのもまた人間なのでしょうが。

それはともかく、人間は感情が基本で行動しています。
より良い生活をしたいというのは多くの人の感情です。
科学者もまた、自然や人間を理解したいという感情に基づき行動し、考えるわけです。
オカルト番組で否定的な科学者がとても感情的になったりすることがありますが、彼らは非論理的で非科学的な主張が嫌いなのです。
社会的には論理的で冷静だと理解されている科学者たちもまた、感情から逃れられているわけではなく、合理的に理解したいという感情に基づき研究しているわけなのです。

あるノーベル賞を受賞した科学者は長年主流学説に対して異論を唱えてその説を主導している科学者に論戦を挑みましたが、相手にもされなかったそうです。
後年発達した技術によって主流学説が否定される観測事実が出るまで彼は無視し続けられたそうです。
このようなことは歴史的にけっして珍しいことはないようです。
赤ん坊が生まれるときに妊婦が産褥熱で死ぬことが十九世紀まで良くあったのですが、その主な原因は医者が自分自身を良く消毒しないことであったそうですが、医者自身が原因であるという事実は当時の医者たちには受け容れがたいことでもありなかなか認められず、発見者の医者は晩年を不遇に過ごしたようです。
お産に立ち会う医療関係者が消毒すると産褥熱で死亡する妊婦が激減するにもかかわらず、彼らはそのことを認めようとはしなかったのです。
日本でも、明治時代脚気が麦飯で治るという事実を西洋学説には無いということで、時の陸軍軍医であった森鴎外はその治療法を拒否して陸軍に多大な被害者を出しています。
後年ビタミンの発見でこの治療法が認められるのですが、否定の急先鋒であった東大医学部はこの歴史的事実を隠蔽する挙に出ています。

科学者もまたわたしたち市井の人間と同じように感情で行動していることが理解されるでしょう。

では現代の科学界はどうなのでしょうか?
わたしは科学もまた人間の行動の一つですから、感情に基づいているに違いないと理解しています。
ですから自分が長年正しいと考えていることを批判されるととても感情的に反応することはとても自然なことではないでしょうか。

現在では認められている科学理論でも、当初かなり否定的に扱われたものが多いようです。
現在でこそ銀河系は多く存在することが認められていますが、二十世紀当初はそうではなかったことが近藤陽次氏の「世界の論争・ビッグバンはあったか 決定的な証拠は見当たらない」という著書の中で述べられています。
有名な大陸移動説も数多くの証拠を挙げているのにもかかわらず、否定的に扱われたようです。
天動説論者は地動説に対して、地球が丸いのならば下の人たちはどうして落ちないのかと反論していますが、ガリレオは、それは後世の人が考えてくれると述べています。

仮にある新説が、ある程度根拠があるにしても、わたしたちもまた天動説論者のように振舞うように思えるのですがいかがでしょうか。

竹内薫という方が、欧州、とくに英国辺りではその過去の経験から新説でも根拠がありある程度整合性があれば、可能性を認め全面的に否定するような態度はとらないと述べ、わが国の現在の科学の主流学説をもってあれは間違いとか言って嘲笑するような態度を批判的に書いておられますが、森鴎外のとったスタンスは現在もあまり変わらないことが窺われます。
とくに宇宙論などは、近年も主流学説の変更を迫るような天文観測結果が出ているのですが、近藤陽次氏の本をほとんど根拠の無いunko本として紹介しているインターネットサイトもあることは、わが国の科学という学問の成熟度を語っているように思えます。

じつはわたしが科学に再び興味を持つようになったのは、宇宙論の主流学説であるビッグバン学説を知ったことに因りますが、わたしもまた信じていた哲学を覆すような学説の詳細を検討してみようと思い立ったのが動機です。
そしてこの学説の検討は、自分の信じていた哲学を深化させることにもなりました。

これからそのことを述べてみようと思っています。

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