リンダ・ロンシュタットの生涯を追ったドキュメンタリー映画である。一般的にミュージシャンの生い立ちを扱った物語は生前を偲んで製作されることが多いが、今年に入って公開されたセリーヌ・ディオン『ヴォイス・オブ・ラブ』しかりで、最近は存命の人を取り上げるケースが多い。『サウンド・オブ・マイ・ボイス』もそうした作品のひとつだが、過去の映像とヒット曲を織り交ぜながら彼女の生きざまをていねいに描いている。

 日本公開は4月22日だが、米国では2019年に上映済み。実は米国盤のブルーレイを既に入手していたこともあり、日本はこれから劇場公開だったのかと、ちょっとびっくり。試写より早く、ホームシアターで観ていたことになる。ちなみに本作の翻訳はニュアンスが違うかなと思う部分もあるので、英語の会話もしっかりチェックしていただきたい。

『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』

画像1: リンダ・ロンシュタットの懐かしい映像とヒット曲を織り交ぜながら、生きざまをていねいに描いた快作。『サウンド・オブ・マイ・ボイス』は、 “歌手・リンダ” のパワーが伝わってくる

●出演:リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウン、エミルー・ハリス、ドリー・パートン、ボニー・レイット、ライ・クーダー、ドン・ヘンリー、ピーター・アッシャー、デヴィッド・ゲフィン、キャメロン・クロウ
●監督:ロブ・エプスタイン&ジェフリー・フリードマン
●製作:ジェームズ・キーチ、ミッシェル・ファリノーラ
●音楽:ジュリアン・レイモンド
●撮影:イアン・コード、ナンシー・シュライバー
2019年/アメリカ/93分/ビスタ/ステレオ 提供:ジェットリンク/配給:アンプラグド
©LR Productions, LLC 2019 All Rights Reserved

 リンダ・ロンシュタットについては改めて紹介するまでもないだろう。70年代のロック界を牽引してきた歌姫であることは誰の目にも疑いのないところだが、その奔放な振舞から恋多き女性として取り上げられることも多かった。それだけにボーイフレンドだったJ.D.サウザーのインタビューが挿入されていることに感慨深いものを覚える。

 それにしても彼女の音楽に対する多様性には改めて驚かされた。オーディオファンにもお馴染のジャズの名曲を、ネルソン・リドル・オーケストラをバックに収録した経緯も語られているし、オペラ『ペンザンスの海賊』への出演についても自身の出自との関係に触れている。

画像2: リンダ・ロンシュタットの懐かしい映像とヒット曲を織り交ぜながら、生きざまをていねいに描いた快作。『サウンド・オブ・マイ・ボイス』は、 “歌手・リンダ” のパワーが伝わってくる

 リンダがカントリーでブレイクした後、ロック以外の音楽にもこれほど深く係わっていたことを知る絶好の作品だが、キャリアより音楽を重視してきた彼女の姿勢が良く捉えられている。また不覚にもぼくはドリー・パートンとエミール・ハリスを加えた三人娘での活動を知らなかったので、作品を観た後さっそく『トリオ』のLPレコードを買ってしまった。リンダはエミールの歌を聴いた時、ぜひ一緒に歌いたいと思ったと話しているように、そこから生まれた友情が興味深く描かれている。

 ドキュメンタリー作品で新旧の映像と音が入り混じっているため、画質・音質はまちまちだが、そうした中からもエネルギーというかパワーが伝わってくる。リンダはパーキンソン病を患ったことで2009年11月のコンサートを最後に活動を止めてしまったが、この映画では元気いっぱいだった頃の彼女に出会うことが出来る。

 公開劇場は少ないが、リンダのファンはもちろんのこと、オーディオファンにもぜひとも足を運んでほしい作品として大いに推薦したい。

本作を皮切りに “ROCKUMENTARY2022 極上のロック・ドキュメンタリー” 3作画が公開!

 今回紹介した『サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』、は、4月22日(金)から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで公開される。

 さらに “ROCKUMENTARY2022 極上のロック・ドキュメンタリー” と銘打ち、本作に続いて5月6日(金)から『スージーQ』『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』も公開されることが決定している。ロックファン、音楽ファンはぜひこの3作を劇場で楽しんでいただきたい。

画像3: リンダ・ロンシュタットの懐かしい映像とヒット曲を織り交ぜながら、生きざまをていねいに描いた快作。『サウンド・オブ・マイ・ボイス』は、 “歌手・リンダ” のパワーが伝わってくる

『スージーQ』
●出演:スージー・クアトロ、ジョーン・ジェット、デボラ・ハリー、シェリー・カーリー、リタ・フォード、アリス・クーパー●監督・製作:リーアム・ファーメイジャー●編集:サラ・エドワーズ●撮影:ジャック・イートン、ジェームズ・ナトール、デビヴィッド・リチャードソン
2019年/オーストラリア/104分/ビスタ/ステレオ 提供:ジェットリンク/ 配給:アンプラグド
© The Acme Film Company Pty Ltd 2019

『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』
●出演:ヘンリー・ディルツ、ジャクソン・ブラウン、ジョニ・ミッチェル、デヴィッド・クロスビー、グラハム・ナッシュ、スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、ロジャー・マッギン、ドン・ヘンリー●監督:アリソン・エルウッド●撮影:サミュエル・ペインター●作曲:ポール・パイロット●製作総指揮:アレックス・ギブニー、フランク・マーシャル
2020年/アメリカ/120分/ビスタ/ステレオ 提供:ジェットリンク/配給:アンプラグド
© 2020 CANYON FILMS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

画像: リンダ・ロンシュタットの懐かしい映像とヒット曲を織り交ぜながら、生きざまをていねいに描いた快作。『サウンド・オブ・マイ・ボイス』は、 “歌手・リンダ” のパワーが伝わってくる
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 Amazon(アマゾン)から発売された「EchoShoe15」(¥29,980、税込)が注目を集めている。

 EchoShow15は、その名の通り15.6インチの液晶ディスプレイを搭載したスマートデバイスで、これまでのEchoShowシリーズと同様にAlexa機能を内蔵し、もちろんPrimeVideoやAmazon Music、各種ウィジェットを活用できる。

 従来シリーズとの一番の違いは、画面サイズはもちろんだが、絵画、あるいは小型モニターのようなデザインにある。本体は幅402×高さ252×奥行35mm、重さ2.2kgというサイズだ。

画像1: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 先日開催されたオンライン説明会では、同社Alexaデバイス バイスプレジデントのネディム・フレスコ氏が登壇、EchoShow15の狙いを語ってくれた。

 プレスコ氏によると、EchoShowシリーズは発売から4年を迎える、成長が著しいデバイスだそうだ。その理由として、わかりやすいサイズで、いつでも情報やエンタテインメントにアクセスできる製品だからと説明していた。

 それもあり、新製品のEchoShow15は家族の暮らしの中心にあるデバイスとして考えられている。リビングに置いて、家族みんなのカレンダーやTo Doリストなどを共有するコミュニケーションツールとして使ってもらおうということだ。

画像2: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 そのために、ビジュアルIDを使った個人識別機能も搭載済み。内蔵カメラでEchoShow15の前に誰がいるかを認識し、個々人に合わせたカレンダーのイベントや最近再生した楽曲などの情報を切り替えてくれるわけだ。このビジュアルIDは複数人登録できるので、家族それぞれの顔をEchoShow15に覚えさせることができる。

 ビジュアルIDでの認識を素早く行うために、EchoShow15ではアマゾンが独自に設計した次世代型AZ2ニューラル・エッジ・プロセッサーを搭載している。これにより、従来はクラウド上で行う必要があったコンピュータービジョンアルゴリズムをデバイス上で処理できるようになったという。

 ビジュアルIDの登録はメニューからも、音声操作で「アレクサ、私の顔を覚えて」と話しかけてもOK。あとは画面の案内に従うだけでアナタの顔を記憶してくれる。ちなみにマスクをかけた状態でも結構な確率で個人を識別してくれるた(自宅でマスクをかけていることは少ないかもしれないけど)。

画像3: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証
画像4: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 さてEchoShow15のもうひとつの特長が、縦置き、横置きのどちらでも使えることだ。EchoShow15側が設置状態を識別して、自動的に画角を切り替えてくれる。たとえば横置きなら左側に写真データ(Amazon Photoとも同期可能)を、右側にはカレンダーなどのウィジェットを最大6つ表示できる。縦配置では上側に写真、下側にウィジェットという並びになる。

 なお、どのウィジェットを表示するかや、サイズ、並べる順番といった点については、ユーザーの好みや使い方に応じてカスタマイズできるようになっている。またカレンダーはGoogleやMicrosoft、Appleと連動可能で、普段使っているデータも反映できる。

 今回、EchoShow15の視聴機を借用し、自宅での使いこなしに挑んでみた。

画像5: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 EchoShow15は先述の通り額縁スタイルで、壁掛け金具が付属している。これを柱や石膏ボード(モリーアンカーなどを使い、強度に配慮すること)にネジで固定し、そこにEchoShow15を引っかけることになる。縦置き、横置きどちらでも設置できるので、方向は簡単に変更可能だ。

 とはいえ賃貸住宅の場合は壁にネジを打つわけにはいかない。そういった方のためにオプションでスタンドも準備されている。スタンド固定用の金具を本体背面にネジ止めし(あらかじめ電源ケーブルをつないでおくこと)、その金具をスタンド本体にはめ込むだけと、組み立ても簡単だ。

 金具部分は90度回転可能で、本体の縦置き、横置きどちらでもOK。ただし、スタンドの高さは縦置きした場合に本体が設置面にぶつからないぎりぎりに合わせてあるようで、回転させる場合には角をこすらないように注意したい。横置きでは設置面から10cmほどの位置に画面が来ることになる。

画像6: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 EchoShow15をスタンドに取り付け、AVラック上段の壁際に置いてみる。この置き方だと、EchoShow15本体が普段座っている位置から右斜め30度くらいに来るので、音楽や動画をしっかり見ようという場合には移動が必要になる。だが、ニュースなどの情報をチェックするといった用途なら視認性も充分で不満はない。

 この設置でAmazonMusicでお薦め楽曲を聴く。ちなみにEchoShow15は本体の左右の短辺にスピーカーを各1基搭載しており、横置き設置の場合はステレオで、縦置きにすると自動的に音がモノーラルにミックスされるという。

 ULTRA HDで配信されているコンテンツから『ボヘミアン・ラプソディ』のサントラや、ビートルズ『Get back(ROOFTOP PERFORMANCE)』を選んで再生する。なおEchoShow15はロスレスのデコードもできるので、この状態ではFLAC音声が再生されているはずだ(96kHz/24ビットクォリティではないと思うが……)。

画像7: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 EchoShow15の正面1mほどに座って聴いたが、サウンドはボーカル主体にまとめられ、音数は若干整理されている。ステレオ再生(横配置)では画面の両サイドにふんわり音場が広がっている印象。

 ここまではボリュウムバーの半分くらいの音量で聴いていたので、3分の2あたりまで上げてみた。J-POPなどはいい感じになるが、曲によっては本体がビリつくことがあった。ロック等であっても、音圧は欲張らないほうがいいだろう。

 ちなみに本体を縦配置にしたモノーラル再生では、画面に寄り添う感じで、音場がコンパクトになる。この状態でも本体の上側、下側の両方のスピーカーから音が出ているので、音量を上げる場合は設置面に布を置くなどして音の反射に気をつけたい。

画像8: アマゾン「EchoShow15」体験リポート(1)コミュニケーションツールとしての操作性から、Amazon Musicのロスレスサウンドまでじっくり検証

 とはいえ、EchoShow15の内蔵スピーカーは、BGM的に音楽を楽しむのであればそれなりに使えるという印象だ(本体は横配置がお薦め)。でも、せっかくならもう少し色々試してみたい。

 ということで、EchoShow15を活かした音楽再生術についてもう少しマニアックに検証してみたので、次回で詳しく紹介します。(取材・文:泉 哲也)

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