大企業宣伝の仕事、安田菜津紀さんが断る理由「依存したら取材が…」

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聞き手・桜井泉 聞き手・池田伸壹 聞き手 シニアエディター・尾沢智史
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 ネットメディアが立憲民主党から資金提供を受けていた。近年は報道において新聞や放送のほか、ネットメディアの存在感が増している。政治とメディアの「適切な距離感」を考える。

フォトジャーナリスト・安田菜津紀さん「特定政党の支援受ければ…」

 今年1月、ネットメディア「Choose Life Project(CLP)」の資金問題に関し、出演経験のあるジャーナリストの津田大介さんらと連名で抗議文を公表しました。CLPは公共メディアを名乗りながら、立憲民主党から、公表せずに資金提供を受けていました。報道倫理に反し、公正な報道の根幹を揺るがすものです。

 CLP問題 ネットメディア「Choose Life Project(CLP)」は安倍・菅政権への厳しい評価やコロナ禍での五輪開催の是非に関する論評動画などを配信してきました。立憲民主党から番組制作・運営目的で2020年3~8月分で約1500万円の提供を受けていたことが今年1月に発覚し、現在は番組の制作・配信を中止して外部の専門家による調査を進めています。

 かつて私がインタビューで運営資金について聞いた際、CLP代表は「手弁当でやっている」と答えていました。虚偽説明で広く寄付を募っていたわけで「だました」と言われても仕方ない行為です。

 番組の司会を務めるなど私が協力を惜しまなかったのは、大手メディアであまり取り上げられない問題を掘り下げるCLPの姿勢に共感したからです。今回の問題で、見て見ぬふりをしたら、ジャーナリストとしての信用も失われかねなかったでしょう。

 CLPにはお金の流れがどうなっていたかを詳しく公表したうえで、利害関係者ではない、第三者による徹底した検証をするよう求めています。出演者や視聴者、サポーターへの詳細な説明も必要です。こうした手順を踏んで、自浄作用があることを示して欲しい。今後、どうしていくかは、それからの議論です。

 一方、資金を提供した立憲民主党は「違法ではないが、適切ではなかった」として早々と調査を終えました。何のために約1500万円も提供したのか。十分に解明されていません。こんな身内に甘い対応では、与党で同じようなことが起きたとき、徹底した調査を求めて批判することなどできないでしょう。

安田さんが、メディアと政党・企業とのあるべき関係を語るほか、記事後半では神保哲生さんが「報道機関の必要性」を訴え、大屋雄裕さんは「メディアは収入源を公開すべき」などと論じます。

 私は認定NPO法人をつくり…

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    前田直人
    (朝日新聞コンテンツ戦略ディレクター)
    2022年2月23日4時6分 投稿

    【視点】CLPの問題は、「不偏不党」と資金調達の透明性にポイントがあります。スポンサードコンテンツというものは、むかしからあるし、あっていい。ただし、それはスポンサーがだれかを明らかにすることが大前提。不偏不党のジャーナリズムの領域とは線引きされて…続きを読む

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    常見陽平
    (千葉商科大学准教授・働き方評論家)
    2022年2月23日1時23分 投稿

    【視点】■CLPに呼ばれなかった一人として 常見陽平(評論家)  私、よくパヨク、反日と叩かれるのですよ。実際、親子3代自民党に入れたことのない家庭に育ったのですけどね。この前も普通の会議で「炭鉱のカナリア」「警鐘を乱打」「ルビコン川」「非妥協的…続きを読む