戦略シミュレーションをメインにゲームや漫画などの紹介や感想などを行っているブログです

業・卒は一体何が悪かったのか？

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結論から先に言いますと、
業・卒はファン層を見誤っています。

旧作の「ひぐらしのなく頃に」「解」などは
確かに凄惨な殺戮があり、猟奇的な描写がありました。
しかし、その根底にはあったのは

「不条理な現実を、仲間を信じと協力する事で打破する」
という内容になっています。

つまり
友情・努力・勝利です。

ところが、業・卒は、これから真っ向から反対する内容です。

というのも、業・卒は
「親友の古手梨花が自分を裏切ったと信じた沙都子が、
　邪神の力を借りて、無限ループを行い、古手梨花の心を砕き
　自分に依存するために永延に惨劇のループを味合わせる」
という内容となっています。

そのためには、本来家族以上の関係であった仲間を無残に殺します。
なぜなら、沙都子にとってはループが何度でも起こせる以上、

最高のエンディングを迎えれば、
悲劇の世界は無かった事にできるからです。

はい、もうおわかりですね？

つまり、業・卒とは

ヤンデレ沙都子の殺戮ショータイム！
～梨花、貴方を逃しませんわよ♥
なのです。

従来のファン層と被るわけがありません。

旧ひぐらしのファンの大半は、惨劇が行ったとしても
それを若い仲間の力で解決していく。
そういうミステリー風ジュブナイルファンのはずです。

なのに新作業・卒では
沙都子が謀略を行い、悲惨な殺戮劇を起す内容であり
言ってみれば、マーダーライド・サスペンス物語です。

業・卒の評価を著しく下げた原因は何だったのか？

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訴求対象がまるで違うのにも関わらず
強行した竜騎士07先生には頭が下がります。

しかし、それを実行に移したアニメ制作会社にもかなり問題があります。

というのも、表現にアラが多く。
それが、竜騎士07先生の仕込んだ推理のためのものなのか、
単純に作ミスなのかわからないというところがあるのです。

なるほど、物語の中心に居る
梨花ちゃんと沙都子ちゃん関連は良くできていますが、

それ以外が大雑把です。

それは単純に作画ミスというだけにはとどまらず、
作中の人物が何を考えているとか、内心描写が無いため良くわからない。

それなのに、
やたらとグロや猟奇シーンに力がこもっている。

業卒の評価がやたら低くなった理由の九割が
「訴求対象を無視して行った事」には間違いありませんが、

これらの要因が深くかかわっていることは間違いないでしょう。

「ひぐらしのなく頃には、猟奇やグロの作品では無い！」
と従来のファンが言っていた内容を6000％無視したグロ要素など
だれが欲しがるのでしょう？

少なくとも、梨花ちゃんの内臓描写や脳が砕ける描写をみたいわけでは無いでしょう。
困ったことに、これら「手を抜いたからダメ」なのではなく「気合いをいれたからダメ」
という妙な感じになっています。

ありていにいえば
「なんで、そんな部分に力をいれているの？
　もっといれる場所があったでしょ？」
ということです。

アニメ会社は悪乗りしすぎです。

少なくとも、私が押している魅音ちゃんが
手のひらに穴をあけられて、脳天を打ち抜かれているシーンを見て
嬉しいとは微塵も思いません。

沙都子ちゃんと梨花ちゃん以外のファンが
次々脱落していったのもそのせいです。

貴方が、ひぐらしのキャラクターを大事にしているのなら
見るのは全くおすすめしないでしょう。

私は、旧来から沙都子ファンだったので、何とか重症ですみましたが、
それ以外のファンの方は、残念ですが瀕死の状況になるのもやむ得ないでしょう。

ひぐらしのなく頃に業・卒の素晴らしい点

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さて、醜悪な部分もあれと、もちろん素晴らしい点もあります。

まず、過去に悪役とされていた北条鉄平や間宮リナが善人になっている点です。
また、最終回にはほぼ公式では初めてとなる北条悟志の復活もえがかれました。

これによって完全なるハッピーエンドを迎えたと言っても良いでしょう。

やったね！

また、この物語の中心にある
沙都子ちゃんと梨花ちゃんの関係がとても尊いのです。

お互いに深く想いあっているのにも関わらず、その気持ちがすれちがい。
最後の悲劇を招く…

その巨大な想いをぶつけ合うさまは、
百合好きには心を揺さぶられることは確かです。

致命的な失敗。あまりにもヘイト（憎悪）を集めた沙都子

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さて、業卒で旧来のファンから「こんなのは沙都子じゃない」と言われ
視聴者から蛇蝎のように嫌われてしまった沙都子ではありますが、
これは竜騎士07先生の致命的な失敗によるものです。

どういうことかと言いますと、
沙都子は、梨花を求めるあまりにクレイジー・サイコレズになり果てますが、

沙都子というキャラクターの過去…それは両親が死に、叔父夫婦に虐待され、唯一の肉親である兄の悟志を喪失し、
梨花という心の支え出来ていた彼女をかえりみれば「キャラクターの変貌」と一蹴することはできません。

竜騎士07氏は誰よりも、
キャラクターの心情描写の上手い方です。

沙都子がどうして、そうなったのか物語でたびたび語られますが

肝心かなめの「300年も梨花に尽くして、それでもダメで心が折れた」
という描写があるのが、なんと最終回なのです。

それまで視聴者は沙都子を見て
「なんてワガママなヤツなんだろう」
と苛立ちをもって見ていました。

もっといえば不快感MAXです。

原作者の竜騎士07氏がそれらをわからないわけがありません。
つまり、この「300年も沙都子が苦しんで心が折れる」という描写を最後に入れる事で

視聴者が一斉に手のひらを返す事を期待していたのは間違いありません。

だけどそんなことはなりませんでした。
平たく言えば「遅すぎた」のです。

せめて物語の最初の段階で、
本来、尽くすタイプであった沙都子が300年費やし、
それでも力及ばずも苦しみ続けていたことが分かれば、

凄惨なる殺戮劇に手を染めた理由もわかり

沙都子があらゆる外道と非道を繰り返していても、
沙都子にある程度の感情移入ができていたでしょう。

だが、それがなかったために、沙都子ファン以外には
全く伝わらない結果となりました。

要するに、沙都子を擁護できなかったのです。

家族であり、仲間であった部活メンバーを、
笑いながら自分の愛欲の為に殺していく沙都子を見て、
大半のファンは折れる結果となりました。

当たり前ですが
私のように最終回まで視聴するような者達は
沙都子を愛して、梨花と沙都子の尊い関係性に賛美する者達だけです。

もっといえば、そんな状況でも「ひぐらしのなく頃に卒」
見るのをやめなかった精鋭とも言えるでしょう。

そういう者たちから見れば、あまりにも遅い告白は
「遅すぎたんだ…」という感想しかできません。

もう心が離れていったファンには届かないのです。

業・卒にこめられたテーマとは何だったのか？

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本作品に込められたテーマを考える時やはり題名は大きなヒントになるでしょう。
業が、そのまま沙都子の業（カルマ）だとして卒は何を意味するのでしょうか？

最終回、主人公の前原圭一は
お互いに死力を尽くして疲れたはてた梨花ちゃんと沙都子に言います。

「親友とは、例え距離があったとしても絆が切れない存在なんだ」

さすが主人公の前原圭一です。良い事を言います。
この台詞こそが、まさに「卒」のテーマを語る上でかかせない発言だと言えるでしょう。

これは単純に
「沙都子が梨花から卒業する」という意味でありません。

沙都子にとって梨花は、
梨花にとって沙都子は、
かけがいの無い存在なのです。

しかし、それでも信念がぶつかり合うのであれば
お互いに少し距離を取って見守るのも良いでしょう。

最後、梨花と沙都子は電車で別れを告げます。

梨花は自分が望んで言えたルチーア学園に行くために
沙都子は雛見沢に残り、梨花の帰りを待つために。

ですが、これは、あくまでも一時的なもの。
三年後には帰ってきます。

梨花は言います。
沙都子も言います。

「貴方が探せば私が逃げる。探すのを止めれば私が追いかける
　私達は、この世でたった二人の繰り返す者」

これはしばしの別れはあるものの間接的に
二人は永遠に一緒であることを明示しているとも言えるでしょう。

百合ファンとしては、ここで是非ともキスをしてもらいたかったところですが、
それは、まぁ、いいでしょう。

これらのテーマは全く悪くはありません。

もし問題といえるのならば、沙都子の「300年の苦痛」と同じく
テーマを開示するのが遅すぎた。という事実でしょう。

前作「ひぐらしのなく頃に」「解」では、
物語の後半に「仲間を信じる事、絆を確信すること」を掲示し、
それを一貫して最後まで掲げて走っていきます。

本作品も「卒」あるいはしばしの別れを掲示するのであれば
それを物語の後半…少なくとも三分の一ぐらいの部分で
「親友とは別れていても絆は切れない」事を示すべきでした。

最終回の最後の最後になって、
よくわからないタイミングで圭一に言われても｛？｝です。

いきなり卒のテーマをぶっこんできたな。
ぐらいにしか思えません。

なぜ、こんなことになったのでしょう？
冷静に理由を考えると

竜ちゃん先生が殺戮描写をノリノリでやって
尺がおかしくなったんやろな。

という身も蓋も無い結論しか出ませんので、
もう少し別な理由を考えていましょう。

おそらく、竜騎士07氏は「業・卒」を
ミステリー風作品として作っていたのでしょう。

それならば、最後にどんでん返し的な流れにしたかったのも頷けます。
最後の最後で謎が解き明かされ、ファンは驚愕する。

そういう物語にしたかったんだと思います。

ただ、最初に言ったように「業・卒」は
（原作者の竜騎士07氏が意識してはいなかったかもしれませんが）
ミステリーではありませんでした。

多くの視聴者は沙都子がノリノリで殺戮をする
マーダーライド・ショーとしか見ていなかったのです。

作者とファンの見解がちょっぴり違っていた。
そういう不幸だったのかもしれません。

結論：業・卒はどういう人間が見るべきなのか？

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まず、旧ひぐらしのなく頃にの視聴者は見るべきではありません。
仲間との絆・信頼・友情…貴方の求めているモノは何も無いでしょう。

沙都子が好きな方で天真爛漫な彼女が好きな人は見るべきではありません。
そこには、愛憎を拗らせてクレイジーサイコレズに成り果てた鬼がいるだけです。

前原圭一、園崎魅音、竜宮レナのファンは見るべきではありません。
悲惨な最後と気分の悪くなるグロ描写を存分に見せつけられるでしょう。

園崎詩音と北条悟志が好きな方は見る所がありません。
お好きなさってください。

綺麗な北条鉄平や、間宮リナが見たいと言う方。
出番は少ないですがおすすめできます。特に鉄平は要所要所で美味しい場面にであいます。

グロや猟奇、無意味な殺戮が好きな方。
おすすめします。貴方が欲しがっている全てがそこにあります。

梨花ちゃんと沙都子の地獄の底まで深い百合が見たい方。
絶対に見るべきです。貴方の望みを叶えてくれるはずです。

曇り百合が見たい方。
遠慮はいりません。是非見て下さい。
業・卒でしか得られない上質な「曇り百合」がとれます。

さて、話は以上になります。

ここまで書いて、なお見たい方はお好きなって下さい。
何度も言いますが、私はこの作品が好きです。

私好みにクレイジーサイコレズになった沙都子ちゃんが好きです。
クソ重い沙都子ちゃんと梨花ちゃんの百合が大好きです。

ちなみに、私の推しは圭魅です。