記者会見する京都新聞ホールディングスの松山和義社長(中央)=14日、京都市下京区のホテル

記者会見する京都新聞ホールディングスの松山和義社長(中央)=14日、京都市下京区のホテル

 京都新聞ホールディングス(HD)が、相談役だった白石浩子氏(80)に今年2月まで長年にわたって年数千万円の報酬を支払っていたことが14日、関係者の話で分かった。白石氏は同社の大株主。同社は、特定株主への利益供与を禁じる会社法の規定に抵触する可能性があるとして、第三者委員会を設置した。京都新聞HDは、本紙を編集する京都新聞社の持ち株会社。

 京都新聞HDの顧問弁護士によると、一定の契約関係がある株主でも報酬が高すぎるなど実際の業務と著しく均衡を欠く場合は違法とみなされるという。京都市下京区のホテルで記者会見した松山和義社長は、株主の氏名や報酬の額、支払い期間などは「第三者委にゆだねる」として明らかにしなかった。

 その後、京都新聞社で同社経営陣が社員向けに開いた説明会などによると、京都新聞HDは四半期ごとに相談役に事業報告し、経営の助言を受けていたことに対して報酬の支払いを続けていた。同じく相談役を務めていた別のグループ会社2社も報酬を支払っていた。3社の報酬総額は4千万円を超えるとみられ、京都新聞HD社長を大幅に上回る水準だったという。ほかにも左京区の旧宅の管理などを巡り利益供与の疑いがあり、過去に国税局から指摘を受けていたという。

 京都新聞HDなどによると、昨年3月ごろから経費の見直しを進める中で、グループ内で報酬の支払いを問題視する声が上がり、内部調査を実施した。この結果、報酬は不適切な可能性があると判断し、今年3月に相談役を解嘱し、報酬の支払いを停止した。

 第三者委は、委員長に元大阪弁護士会会長の小原正敏弁護士が、委員に元大阪高検検事長の上野友慈弁護士、元大阪地裁部総括判事の比嘉一美弁護士がそれぞれ就いた。調査期間は未定。HDは調査に全面的に協力するとしている。

 HDの松山社長は「結果が出たら速やかに公表して適切に対応する」と述べた。

 白石氏は、京都新聞HDの筆頭株主である資産管理会社の代表取締役を務め、個人や親族の保有株も合わせると持ち株比率は2割を超える。