吉野家の常務解任騒動「プロ経営者」3つのリスク コンプライアンス教育も大事だがここも外せない

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常務解任問題で吉野家の経営陣が猛省すべきもうひとつの重大事とは?(撮影:今井 康一)

吉野家の伊東正明常務取締役企画本部長が早稲田大学で行った社会人セミナーでの不適切発言で解任されました。女性顧客を取り込むマーケティング施策について「生娘をシャブ漬け戦略」とネーミングしたことがSNSで拡散された件で、吉野家も「人権・ジェンダー問題の観点からとうてい許容することのできない」問題だとして迅速に処分に及んだものです。

外資系企業からマーケティングのプロとして鳴り物入りで移籍して、科学的な手法で吉野家の売り上げ増にも一定の貢献をしたプロ経営者が、最後は吉野家ブランドに致命的なダメージを与えて会社を去ったこの事件。世間的にはコンプライアンス(法令遵守や社会的規範・社会道徳、ステークホルダーの利益・要請に従うことなども含んだ概念)の問題だと捉えられていますが私はもう1つ別の重大事にフォーカスをあてるべきだと考えます。

プロ経営者の任命責任

それはプロ経営者の任命責任の問題です。

近年、日本企業にプロ経営者の招へいブームが起きています。もちろん経営者としてきちんと機能して賞賛されるべきプロ経営者もたくさんいらっしゃいます。

しかし同時に会社をダメにするプロ経営者がいる。吉野家の場合は次期社長を狙える常務取締役企画本部長のポジションを伊東氏に託していました。これは解任して終わりではなく、もし解任事案が起きなければ吉野家という伝統ある企業に何が起きていたのかを経営陣が猛省すべき問題ではなかったのか。その観点から問題点をまとめてみます。

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