「育児は“手伝う”ものじゃない」変わる男性育休、3ヶ月取った僕が伝えたい10のポイント
育児休業の制度はどう変わるのか。そもそも、どんな内容なのか。実際に3ヶ月取得した記者が、自らの体験とともに、ポイントをまとめました。
「男性育休」などに関して改正された育児・介護休業法が、4月1日から段階的に施行されます。
男性の育児休業取得率は12.7%(2020年度)に留まり、育児の負担が女性に偏っている現状があります。法改正には、これを是正させる狙いもあります。
育児休業を取得しやすい環境整備のため、個別の周知や意向確認が企業側に義務づけられるようになり、秋からは「産後パパ育休」が新設されます。
いざ、男性が育休をとるとなったら、どのようなことに気をつければいいのか。
実際に3ヶ月の育休を取得した記者が、自らの体験とともに、ポイントをまとめました。
1. まず、制度をおさらいします
出産直後から原則子どもが1歳(最長2歳)になるまでの間に取得が可能です。実子や養子は問われませんが、法律上の親子関係(事実婚であれば子の認知)が必要です。
休みの間、原則就労はできませんが、最初の半年間は給料の「実質約8割」が保証されます。雇用保険から給与67%の「育児休業給付金」(上限あり)が支給され、非課税、社会保険は免除されるためです。
ただし、6ヶ月以降の給付金は50%になります。原則1歳までですが、保育所が見つからないケースなどでは2歳まで支給があります。
なお、正社員でなくとも、パートや契約社員も条件を満たせば対象です。4月1日からは働いてから1年未満でも取得ができるよう、条件が緩和されます。
2. 秋からは「産後パパ育休」も…!
改正された法律の施行に伴い、いくつかの変更点も。ただし、いずれも10月1日からの適用になります。
「産後パパ育休」が新設されます。男性版産休制度ともいわれ、産後8週間以内であれば、育休とは別に4週間まで取得できます。
期間中は、育休と同様の給付金が支給されます。休業中の就業(労働者が合意した範囲)ができるのが、育休と異なる点です。
産後パパ育休は分割して2回の取得が可能で、育休も同様の仕組みに変わります。保育園が見つからない場合の延長や再取得も柔軟化されます。
3. どう取得する? 家族や上司とよく相談を
「実質8割」と言っても2割は家計にとって少なくない金額。また、一定の期間仕事を休むことになれば、会社の同僚にも大きく関わってきます。
制度上は1ヶ月前(産後パパ育休は2週間前)の申し出で取得が可能ですが、できるかぎり前から、家族や会社との調整や連携、計画づくりを進めることが大切です。
3ヶ月の育休を取得した僕の場合、育休が取りやすい環境や上司の理解もありましたが、妊娠がわかった初期の段階から相談をし、妻が安定期に入ったころから具体的な調整を進めてきました。
あわせて、仕事の引き継ぎも入念に。期間中に業務はできないため、自分がいない期間の資料準備などはかなりしっかりと用意する必要がありました。
4. 出産前にすべきこと / できることも…
赤ちゃんが産まれると、バタバタと落ち着かないまま、あっという間に日々が過ぎて行くことになります。
我が家では、同じく3ヶ月の育休を取得した妻とともに出産前から育休期間中の過ごし方の話し合いや準備をし、必要なものを揃えて確認しておいたことが、あとになってとても役立ちました。
育児関連の本を読んでおいたり、育児用品店に足を運んでみたり、父親教室に参加してみたり、体験者に話を聞いてみたり……。
知人のパパには「友人の家庭で1日育児体験をしてみたらとても勉強になった」という人もいました。
5. 母親だって「育児」は初めて
第一子の育児であればなおさらですが、母親だからといって、育児のノウハウをもともと知っているわけではありません。
スタートラインは、性別にかかわらず同じです。問題や疑問を抱えるタイミングだって、ほとんど同じです。
相手に聞いたり任せきりにするのではなく、一緒に調べたり、考えたりしながら解決をしていく。それを繰り返すなかで、僕も妻とのあいだで「子育てチーム」としての結束力が高まりました。
また、前述したような事前の「予習」も大きな力になりましたが、最初はトラブルが続発するため注意も必要です。その場その場で対処し、学んでいくこともたくさんありました。
6. 産後のパートナーのサポートも大切です
産褥期の女性は身も心もボロボロ。「出産は交通事故と同じ」というような例えがあるほど、心身に大きなダメージをもたらします。帝王切開だった妻の場合も、1ヶ月ほどは思うように動くことができない状況が続いていました。
睡眠や食欲に影響を及ぼしたり、自分を責めてしまったりする「産後うつ」の原因には、ホルモンバランスの乱れや環境の変化、育児への不安のほか、サポートの不足があげられることもあります。
育休だからと「休む」のではなく、育児・家事などに積極的に取り組んで、パートナーが回復する手助けをするのも、大切な役目です。
これは妊娠中にも言えることですが、女性の心身が出産を通じてどう変化するのか、事前に知っておくだけでも、とることのできる対応の幅が広がるようになりました。
7. 育児は「手伝う」ものではない
育児はやることがたくさん。おむつ替え、授乳、寝かしつけ、お着替え、お風呂、肌のケア、予防接種。少し月齢が進めば離乳食、遊び相手、お出かけ、病気の対応、それに加えて洗濯、炊事、掃除、買い物などの家事も……。
いまの社会では、こうした負担の多くが女性に偏っている実情があります。実際にやってみるとわかりますが、これらをすべて一人でこなす「ワンオペ」は本当に、本当に大変です。毎日続けば、精神的にも体力的にも追い込まれてしまいます。
これらに、母親でなければできないことはほとんどありません。おっぱいから母乳を直接あげること以外は原則、すべて父親にできることです。
育児をめぐっては、男性が「手伝う」という言葉を耳にすることもありますが、それは違います。すべての動作が主体的に、当たり前に、偏りなく同じぶんだけできるようになることが大切だと感じています。
8. 育児情報の取り扱いにはご注意!
育児情報はとにかく玉石混交です。都市伝説から根深いデマ、誤情報があちらこちらに転がっています。
特に一番頼ることになるであろうインターネットでは、体験談などをベースにした収益目的のブログや、真偽不明の情報などが飛び交い、必要な情報になかなかたどり着きけないことも……。
また、善意による「アドバイス」の扱いも慎重になりましょう。上の世代はもとより、数年前でもノウハウや仕組みが変わっているなんていうことも、よくあることです。
もっとも必要になる医療情報については、誤った対処法や知識が子どもの命に直接関わってくるケースも少なくありません。
複数の専門家でつくられたグループや学会、公的機関など、信頼できる最新情報のソースを先に見つけておくと、もしものときにとても助けられます。
9. 復帰後からが本番。分担のプランづくりも
ただでさえ慣れない育児をしながら保育園を探す「保活」をするのはとても大変。情報収集や見学、書類のさばきなど、やることが仕事のプロジェクト並みにあります。
仕事の復帰準備も同様です。いきなり復帰のスタートを切るのではなく、時短勤務の制度を活用するという手や、パートナーと復帰時期をずらすなど、さまざまな選択肢があります。
復帰後はどう育児と家事、仕事を分担していくのか。どうそれぞれが息抜きの時間をとる(とても大事!)のか。育休前、そして育休期間中に「その後」の話を話し合ってみると良いかもしれません。
参考までに、我が家(共働き、1歳児、保育園)のタイムラインを置いておきます。もちろん正解などはなく、子どもや家庭の状況によってそれぞれの形があるはずです。「イメトレ」をするだけでも大きく変わるかもしれません。
10. 育休が終わっても、育児は終わりじゃない
育休が終わっても、育児は終わりではありません。育休を取ることがゴールでもありません。
育休中に得たスキルを存分に発揮して、それ以降も主体的に育児に参加できるようになるーー。こと「男性育休」にとっては、それがいちばん大切なことだと思っています。
ここまで紹介してきた日本の育休制度は「世界最高水準」とも評価されますが、課題も多く残っています。
フリーランスや個人事業主、日雇い労働者は、そもそも取得できません。「法律上の子ども」をめぐる問題から、同性カップルが取りこぼされているという側面もあります。
家族のあり方や働き方には、さまざまなかたちがあります。ジェンダーによる役割分担を前提とせず、また、さまざまなあり方の家族それぞれが、前向きに子育てに関わりながら、サポートも受けられる社会になれば良いと願っています。
UPDATE
制度に関する一部記載を追記しました。
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