2019年3月に発売した「牛丼 超特盛」、5月に発売した「ライザップ牛サラダ」などヒット商品を連発する吉野家。同社の持ち株会社、吉野家ホールディングスは19年2月期の赤字決算から業績が急回復している。このV字回復をマーケターとして支えるのが、P&G出身の伊東正明常務だ。成功の方程式を聞いた。

「ヒット商品を作るうえで大切なのは、原点に立ち返ること。吉野家とは何ぞや?と歴史を遡って考えてみると、創業した1899年(明治32年)頃には、牛肉を食べることは恐らくハレの食事だったはず。それを日常食にしたのが吉野家だった」。そう話すのは吉野家ホールディングス傘下の中核事業会社、吉野家の伊東正明常務だ。
「商品力で1位を取れる商品なら、シェアでも1位になれる」。それがマーケターとしての伊東氏の持論。では、その1位を取れる強みとは何かを考えるときに立ち返るべきなのが、そのブランドの原点だという。
ブランドのDNAを今の時代に合わせよ
「ブランドは生まれたときから成長のドライバーとなるDNAが書き込まれている。それと違うことをしてはダメで、時代に合わせてブランドの見せ方をアップデートすることが大切」。そう考えるようになったのは、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)時代の経験からだという。簡単に言えば、ブランドにはそれぞれ「高性能」「利便性」など消費者が期待するものがある。それを探し出して、時代に合わせた提案ができたときには販売数が必ず増えた。逆に、消費者が期待していない部分を広告などでアピールしてもその努力は無駄に終わる。
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コメント4件
holmes
こういう胃袋と直結した話題には食指が動きます。AIやIot、maasや5Gは、速くて便利で快適であることは理解できるが、満腹感はない。吉野家の商品開発やラインナップ、タイアップの戦略は、発想はアナログなのに、そのスピード感はデジタル的でさえ
あります。商品の持ち味が確率していることが基本なのでしょうね。...続きを読むH Imagine
会社員
P&Gマフィアのマーケティングが注目を浴びて久しいが、B2Bに応用が利くものだろうか?どなたか詳しい方がおられたらご教授願いたい。
基本は同じだと考えるが、どうもしっくりこない。買う側が自分の金、会社の金ということで、マーケティング理論とは
異なる消費行動をとるせいではないかと推論しているのだが。。。...続きを読む水野孝彦
日経クロストレンド編集 副編集長
少子高齢化・人口減少の中でも発想を変えれば打つ手はあるというのは、勇気づけられる取材でした!
杉本昭彦
日経クロストレンド/日経トレンディ/日経デザイン 発行人
「B2Bに応用が利くものだろうか」という、H Imagineさんのコメント、私も気になり、取材にご対応いただいた伊東さんににぶつけてみました。伊東さんの関係するBtoB企業でも、「マーケティングフレームワークをB2Bに当てはめてサービス設計
や商談ストーリーを作っています」とのこと。そして、「消費者であろうが、法人であろうが競合より『買いたくなる理由』をつくり、価格が適正であることを納得いただけば購入していただけると思っています」とアドバイスをいただけました!...続きを読むコメント機能はリゾーム登録いただいた日経クロストレンドの会員の方のみお使いいただけます
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