屏風の単位を覚えよう。

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尾形光琳「燕子花図」(1701-1704年頃) 根津美術館 六曲一双屏風
美術館で屏風が展示されるとき、解説パネルには必ず謎の四字熟語があります。 六曲一双。 四曲一隻。 二曲一双。 使われているのは、漢数字と曲・隻・双という漢字。 この3種類の漢字は、屏風を数える単位だってご存知でしたか? 知っているふりをしがちな屏風の四字熟語について解説します!

曲とは?

まず、。読み方は、きょく。 これは、屏風の面がいくつ曲がっているかを数える単位です。 でも、面そのものの単位は曲ではなく、です。読み方は、せん。 これがややこしい! 屏風の最小ブロックは「扇」で数えるのです。 右側の面から第一扇、第二扇…と数えます。 絵の物語が右から左に進むからですね。
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「曲」は曲がった面の数、つまり全体の形を見て、いくつ曲がっているかを示す単位。。 「扇」は最小単位の面の数そのものなので、着眼点が違うのです。

隻とは?

次に、。読み方は、せき。 これは、屏風本体の数です。 屏風が1個の時は、一隻。
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2個の時は、二隻。
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この後説明すると関係するので、合わせて覚えてくださいね。

双とは?

最後に、。読み方は、そう。 双子、双眼鏡といった熟語に使われる漢字なので、「ペア」という意味です。 屏風は、1個で足りる作品もあれば、2つセットで飾る作品もあります。 ペアの作品を一双と数えるんですね。 つまり、双とは2つ1組という意味。 なので、一双は二隻です。
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これは一双であり二隻

ここまでをまとめる。

実際は○曲一双というペア形式が多いです。

二曲一隻

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四曲一隻

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六曲一隻

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二曲一双

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俵屋宗達の風神雷神図がこれですね。
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俵屋宗達「風神雷神図」(江戸時代、17世紀) 建仁寺

四曲一双

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狩野永徳の檜図屏風がこのタイプです。
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狩野永徳「檜図屏風」(安土桃山時代、16世紀) 東京国立博物館

六曲一双

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冒頭に載せた尾形光琳の燕子花図もこれです。
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応用問題:右隻と左隻

一双の屏風を横に並べて飾るとき、右のやつと左のやつは、必ず決まっています。 右の一隻を「右隻」、左の一隻を「左隻」と呼ぶのです。 屏風の面を数えるときは、必ず右からスタートします。 右隻第一扇、右隻第二扇、… ときて、右隻が終わったら左隻に行きます。 左隻第一扇、左隻第二扇、… となるのです。 これも、物語が右から左に進むからなのです。 六曲一双屏風の場合、次の写真のように数えます。
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まとめる。

曲・隻・双という単位の使い方、お分り頂けたでしょうか? もう謎の四字熟語を見て見ぬ振りしなくて済みますね! 最後に、ここまでの解説で使った手作り屏風学習キットをまとめて販売します! 販売価格は100万円です。 値引き交渉には応じられません。 キャッシュのみ、ノークレーム、ノーリターンでお願いします。
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