2022年4月17日 13:14

目次

ナイトハイウェイ・キャンドルトーク

目次

夜路灯話

本編

  • 0章 開始前の処理
  • 1章 導入
  • ◆導入
  • ◆PCの車でチェイス
  • ◆カイリの家
  • ◆コシュタ・バワー
  • 2章 探索
  • ◆探索のルール
  • ◆『移動』チェイス
  • ◇遊園地
  • ◇墓地
  • ◇病院
  • ◇探索者の自宅
  • ◇図書館/携帯
  • ◇2人にとって意味のある場所
  • 3章 分岐/ED
  • ◆探索終了
  • ①橋を渡る
  • ①カイリとこの世界に居続ける
  • ②度胸試しを受けない
  • ②度胸試しを受ける
  • ③カイリが撃たれる
  • ④振り返る
  • ④振り返らない
  • ③カイリが撃たれない
  • ⑤現世へ
  • ⑤異世界へ

あとがき

ナイトハイウェイ・キャンドルトーク

本編

0章 開始前の処理


内容を告げず、PLにダイスを降ってもらう。
>【秘匿ダイス①1d6】PCが瀕死に陥った原
1 溺れた
2 病気になった
3 交通事故にあった
4 高所から落下した
5 火に巻かれた
6 老衰した(この時、秘匿ダイス③の結果は80になる)
>【秘匿ダイス②1d6】PCの特に重症だった部位
1 頭(目眩が起こり頭痛がする)
2 片足(全く動かなくなる)
3 片腕(全く動かなくなる)
4 内臓(食べられない。呼吸するたび痛みが走る)
5 自律神経(一人の力で真っ直ぐ立てない。ゆっくりなら歩ける)
6 眼球(視覚を失う)
>【秘匿ダイス③1d20+10】2020年から経過した年数
この値に+19した数が、現実のPCの年齢にあたる。

GMがダイスを振る。
>【秘匿ダイス④1d3】カイリが生前、PCに隠していた秘密
1 カイリはPCに恋に近い感情を抱いていた。二人で行った【重要な場所】で思わず口を滑らせかけたことがある。

2 カイリはPCのことに憧れていて、自分が惨めになるから嫌いだった。二人で行った【意味のある場所】で、PCを殺そうとしたことがある。

3 カイリはPCを神聖視しており、自分の身を投げ出したい衝動を抱えていた。二人で行った【意味のある場所】で、PCの目の前で自殺しようとしたことがある。

1章 導入

◆導入

あなたは宇月市に住む19歳だ。
あなたの親友だったカイリはヤンキーと言うには真面目で素直、平凡と言うにはタバコの似合いすぎる人物だった。あなた以外とつるんでいる姿は見たことがないだろう。

2019年6月21日の夜に、窓からふらりと外へ出てすぐ、暴走車に轢かれたそうだ。頭の損傷が特にひどく、形も変わっていたために、葬式では棺桶の蓋が開かれることはなかった。あなたはユリの花を他の参加者同様、蓋の上に手向けたのを覚えている。

今日は2020年6月21日。夏至であり、一年で一番昼の時間が長く、夜の短い日である。そして何より、大親友であったカイリの命日だった。もしかしたら昼に焼香をあげに行ったかもしれないし、やりきれなくて何もしなかったかもしれない。現在時刻は19:30ごろ。太陽が沈んでしばらく、ポツポツと雨が降っている。物憂げに任せるまま、あなたはふとドライブに出かけようと思い立った。せっかく免許を取ったばかりなのだから。

行先、車種はまかせます。お好きな車を準備していいです。高級車なら親や保護者のものとします。簡単にRPを挟みましょう。何を持って、どんなふうに出発するでしょうか?
(親がいないなら持ち物申請だけ確認する)
雨脚は少しづつ強くなっている。街灯がぼんやりと霞むなか、アクセルを踏もうとしてあなたはふと前方におぼろな影があると気がついた。あなたに向かって手をあげている人型だ。道路の真ん中で、このまま発進すると間違いなく引いてしまう。どうしますか?

>【目星、聞き耳、RP】人型をよく見る
成功→傘もささずに立っているその姿は、一年前死んだはずのカイリだった。雨が全身を濡らしている。何もなかったように手をあげてあなたに笑いかけていた。潰れたはずのカイリの頭部は、何の問題もなくついている。SANチェック1/1d6
失敗→車の中、ワイパー越しではよく見えない。降りて確認する必要があるだろう。
>車を降りる
「や、PC」と1年前に途絶えた声がかけられる。相手が近づいてきた。車のライトに照らされて、その姿が浮かび上がる。(成功情報が出る。SANチェック1/1d6)

>カイリから逃げ出そうとする
「待てよ!」と慌てた声でカイリが追いかけてくる。それは生前の姿と変わらない。
「なあ、PC!」
>【DEX】なお本気で逃げ出そうとする
失敗→「おい…!あぶねーんだよ、奴らが来るんだって!」→【PCの車でチェイス】へ
成功→振り切り、車を走らせて気分が落ち着く。やはりあれはあなたの親友で間違いない。
>1人で街の探索を行う
チェイスの群れに、自我を失ったカイリが加わる。また、探索可能箇所に【カイリの家】が追加される。
  →【2章】へ。

>カイリを殺そうとする
カイリは抵抗しない。どんな攻撃をしても、首がもげる。自我を失い、後から来る骸骨の群れに加わってPCを追いかけるようになる。また、探索可能箇所に【カイリの家】が追加される。
  →【2章】へ。

>カイリを車に乗せる
顔を近づけ、カイリは少し驚いた顔をする。
「……なあ今お前って何歳だ?」
「19歳……俺が死んで丁度1年ってところか」
「そっか、ふうん」
しばらく考え込んでいる。
「ともあれ助かったよ」「ヒッチハイクかってな」
(詳しい話は次のチェイスが終わってから)

◆PCの車でチェイス

(多少RPした後)
背後から凄まじいクラクションが聞こえてくる。すぐにゾッとするほど気温が下がり、鳥肌が立つだろう。

>振り返る、バックミラーをみる
半透明の車が4台、背後から迫っている。車は浮いており、宙を滑るように移動しているのに、なぜか音がするし雨を弾いているのがわかる。車に乗っている人物は全員骸骨だ。そのうち何人かは窓から身を乗り出して銃をむけてくる。SANチェック1/1d4

「げっしつこいな!」「あいつら追っかけてくるんだよ、早く発進しろって!」
「あいつらが何か?今それどころじゃないだろ!早く!」
(PCがやらなければ勝手にカイリがハンドルを奪って発進する。)
                                                      
それではチェイスを開始します
☆チェイス共通ルール説明
基本的にPCは3から、敵は1からスタートします。ときどきハプニングに見舞われます。その度に状況を説明するので、通常と同じく、どう切り抜けるのか言ってください。合わせて技能を指示します。追いつかれたら戦闘や特殊処理が入ります。

☆『PCの車で』チェイス

img

・PCは3から、敵は1からスタート。

・【運転】判定成功で2マス、失敗で1マス前進。

・敵は常に2マス前進する。

・6がゴール。ゴールについた時点でチェイス終了。

>追いつかれた
戦闘に入ります。DEX順に行動します。合計で一定のダメージを与えると、相手の車は2マス後退し、その状態でチェイスが再開されます。(自分のターンではハンドルをカイリに任せて攻撃してもいいし、運転技能で車体をぶつけてもいいです)

☆骸骨の群れ
車から身を乗り出して、助手席の骸骨があなたたちに銃弾を向ける。車は4つで、それぞれDexは下記を参照。

DEX①75※旧版は17 ②60※旧版は12 ③35※旧版は7 ④25※旧版は5

CCB<=50 【魂を弱らせる拳銃】
1d2 【攻撃対象の決定(カイリも含む)】

PC、NPCは回避判定が可能。
当たると銃弾は車をスッと透過して直接人体に被弾する。
HP減少はないが、SANが-5される。狂気判定は行わない。
                                                      
>【チェイスが終了する】
周囲にあの幽霊どもは見当たらない。完全に振り切ったようだ。あなたがほっと気を緩めたとき、車体が突如傾いた。タイヤに弾がかすっていたようで、しばらく走行しているうちにパンクしてしまったようだ。

>【電話をかける】
誰にもつながらない。電波はきちんと立っている。
>【周囲を見回す】
夜だからか人影はない。雨は依然、ポツポツと降り続いている。オレンジの街灯がぼんやり辺りを照らしているだろう。

(ある程度RPしたら)
「うち近くだからさ、とりあえずそっち行こーよ」
「このままここにいても、またあいつらがいるかもしんないし」

◆カイリの家

ごく普通のアパートで、核家族の暮らしぶりがよくわかる。家に伺ったことはありそうですか?OKです。「なんか親父もお袋もいないんだよね。とりあえず先に俺の部屋に行ってて、ちょっと風呂ってくるわ」カイリはシャワーを浴びに行く。小さいながらごく普通の、イメージ通りの部屋だ。目立つ場所に車の鍵が置いてある。外からかすかに見えた、車庫にある黒い車の鍵だろうことはすぐにわかる。さてどうしますか?

(※カイリは屋内、車では常にタバコを吸う描写をすること。秘密を抱えているので、気分を落ち着けようと頻繁に吸いたがる。人もいない不思議空間なので遠慮もしない。題名の『キャンドル』はタバコの火がゆらゆら灯る描写も含んでいるので、特に火の描写は丁寧に行うこと。PCに注意されたら消す。)

★探索可能箇所
・カレンダー
・車の置物(目星)
・窓の外(目星or聞き耳)

>カレンダー
2020年6月21日である。(2人で共通の記憶ではPCが優先されるため)

>車の置物(目星)
あなたが動くと、その拍子に机の上、車の置き物が転がり落ちる。
>受け止める
置物の中に隠すように紙が入っており、ひらりと落ちてしまった。
『PCの友情に報いるために誓いを立てよう。必ず、『秘密はひとつだけ』。秘密以外のことはなんでも誠実に答えよう。そして秘密は、あの日のことにする。この決まりを忘れたりしないように。2019年6月20日』

>窓の外(目星or聞き耳)
家々に明かりがついていない。ついていても、人影はないだろう。ただ向こうの方までオレンジの街灯だけが道を照らし続けている。街に点在するように光っている場所が6箇所あるだろう。(遊園地、墓場、病院、図書館、意味のある場所、自宅)

■探索終了で
>調べに出かけようとする
車が使える。キーをくるくる回しながら楽しそうに言う。
「もう見つかっちゃってるし。こっちのが早いわ、どーよ?」→【コシュタ・バワー】へ

(いつまでも外に出なかったら)21:00ごろ。ふと窓の外を見れば、遠くから青白い光の群れがこちらに近づいていることがわかる。あの骸骨の群れだろう。どうしますか?

◆コシュタ・バワー

黒い外国車である。かなり格好いい。タイヤに微かにだが青い炎がまとわりついている。トップには銀製の馬のエンブレムがついており、下に英語で『コシュタ・バワー』とロゴが打ってある。カイリはお菓子や重めの飲み物を積み込んでいる。
「ん?ワクワクするじゃん、PCと俺だぜ?」
「楽しんでこーよ」

>【知識】
こんな車のエンブレムは見たことがない。コシュタ・バワーという企業もあなたは知らない。カイリは自分が乗っていた車である、ということ以外は知らない。

★探索可能箇所
・車の中(目星)
・コシュタ・バワーとは(知識)
・トランク(目星)

>車の中
保険証が出てくる。『コシュタ・バワー』と言う車名だとわかる。また、注意書きがされている。
・この車は川を渡ることはできません。非常に怯えてしまいます。
・持ち主が車に乗っているのであれば、彼はとても従順で良い車です。
・既に積んであるものは動かさないでください。

>コシュタ・バワー
デュラハンが乗っている愛馬。首がなく、また川を渡ることができないらしい。デュラハンはワイルドハントという群れとともに行動することもあるのだとか。

>トランク
骸骨がぎっしり詰まっている。手を伸ばして触れようとしても、すり抜ける。
 →SANチェック0/1d2

>【POWがやばくなったら出します】ナビ
この街の地図と点滅して移動する骸骨マークのポインターがある。このアイテムがあれば、骸骨とのチェイスは回避できそうだ。

2章 探索

◆探索のルール

遊園地、墓場、病院、探索者の自宅、図書館、『意味のある場所』へ行ける探索パートです。順番は自由です。全ての場所をめぐるのは非常に難しいため、複数の場所から同じ情報が出てくるようになっています。

☆遊園地、墓場、病院、探索者の自宅、図書館、『意味のある場所』が暗闇の中でことさらに光っている。オレンジの街灯が、それぞれの場所までを示すように国道を照らしているだろう。どれも同じくらいの距離感で、特別近かったり遠かったりはしない。

☆初めは6箇所いくだけの時間がある。2か所目と3か所目の探索のあとにチェイスが入る。これで骸骨たちをまくことが出来たか判定する。一度でも追いつかれるとチェイスで時間を取られたと言うことで、1ヶ所探索できる時間がなくなってしまう。このため、最大で6箇所、最小で4箇所に行ける。どこかの場所がはずれ、どこかの場所があたりということはない。

☆タイムスケジュール
21:00 カイリの家を出る
22:00 1箇所目
23:00 2箇所目/チェイス
24:00 3箇所目/チェイス
1:00 4箇所目
2:00 5箇所目
3:00 6箇所目
4:00 エンディング…?

◆『移動』チェイス

・PCは3から、骸骨の群れは1からスタート。

・【運転】判定成功で3マス、失敗で1マス前進。

・骸骨は常に2マス前進する。

・追いつかれれば戦闘フェイズが挟まり、1箇所分の探索時間が削れる。以降は何度追いつかれても時間は削れない。

・ゴールについた時点でチェイス終了。

>追いつかれた
戦闘に入ります。DEX順に行動します。合計で一定のダメージ(どの骸骨でも構わない。トータルで5ダメージ)を与えると、相手の車は2マス後退し、その状態でチェイスが再開されます。(自分のターンではハンドルをカイリに任せて攻撃してもいいし、運転技能で車体をぶつけてもいいです。運転技能でのダメージは1d20)

☆骸骨の群れ
車から身を乗り出して、助手席の骸骨があなたたちに銃弾を向ける。車は4つで、それぞれDexは下記を参照。

DEX①75※旧版は17 ②60※旧版は12 ③35※旧版は7 ④25※旧版は5

CCB<=50 【魂を弱らせる拳銃】
1d2 【攻撃対象の決定(カイリも含む)】
1d2 【攻撃ダメージの決定 ①POW−1 ②SAN

PC、NPCは回避判定が可能。
当たると銃弾は車をスッと透過して直接人体に被弾する。
HP減少はない。POWが-1されるか、SANが-5される。

◇遊園地

(遊ぶ/ここが走馬灯である示唆をするための場所)

特に目を引くのはメリーゴーランドだ。ゆっくりと唯一動いているのがわかる。他のアトラクションはイルミネーションのように電気が付いているものの動かない。その脇に小さな展示スペースが2つあり、蝋燭が点っている。通常の遊園地と同じく、パンフレットや土産物屋が設置されているがどれもシャッターは開いている。ただ人の気配は一切ない。

>入る
SANチェック
成功→このエリアにいる間、「重症だった部位」の弊害が発生する。
失敗→特に何もないはずだが、何かこの街にゾッとする。SAN-1

★探索可能箇所
・メリーゴーランド
・展示スペース
                                            

●メリーゴーランド
看板を見れば、アトラクション名が「メリーゴーランド:走馬灯」となっている。他のアトラクション名はあなたが記憶する通りの遊園地だ。(スプ〇ッシュマウンテンなど)

                                            

●小さな展示スペース
小さなテント張りの場所で「アニメーションの世界」と「ユールの度胸試しコーナー」展示名が掲げられている。内部は蝋燭でぼんやり照らされているようだ。奥からカラカラと音がする。

★探索可能箇所
・アニメーションの世界
 →キャプション(図書館)

・ユールの度胸試しコーナー

・アニメーションの世界
大きなおもちゃのような展示品が1人でにカラカラと回り続けている。回転覗き絵のようだ。穴から覗くと、黒いシルエットのアニメーションだ。馬の上に骸骨の人型があることがわかるだろう。ふと気がつけば影は一つ、二つと増えていき、大きな群れとなる。そしてあなたに向かって走り出す。SANチェック1/1d3
あなたがパッと目を離すと、回転覗き絵は通常通りに回っている。

>キャプション
題名は『蒙昧の国からの死者』。このおもちゃが何かについても説明がある。
『回転覗き絵とは』

静止画を素早く入れ替えることで、あたかも動いているかのように見せる器具のことだ。ゾエトロープ、ゾートロープとも。zoetrope とは、ギリシア語の zoe(生命)と trope(回転)を組み合わせた言葉で、「生命の輪」あるいは「生きている輪」という意味がある。中国で発明された走馬灯が元になっている。走馬灯とは、/続きはこすれていて読めない。
(続きは図書館/携帯で得る『走馬灯』で入手可能)

>蒙昧の国について、携帯で調べるRPがあったら
『異世界(蒙昧の国)について』

ドリームランドとは、眠りに落ちて、現との狭間を超えた場所にある蒙昧の国。単に夢を見るのとは違って、自分以外の存在や化け物が明確に存在している異世界の一種である。かの冒険家ランドルフ・カーターはドリームランド内部に荘厳たる国を築き、彼の終着点とした。「夢みるひと」がこのドリームランドに入るには、自分の見ている夢の先に進まなければならない。その果て、階段を降った先の洞窟で、門番に認められて入れるようになる。ドリームランドと現世では時間の速さが異なり、ドリームランドで何十年も過ごしたが、覚醒世界では1分もたっていなかった事例もある。

・ユールの度胸試しコーナー
射的である。1回キリの真剣勝負だ。GMがシークレットダイスで1d6を振り、当たり的を決定する。そのあとPLに1d6降ってもらい、シークレットダイスと同じ出目ならアタリ。お菓子がもらえる。脇に解説がついている。
『ワイルドハント4』

一説によれば、北欧神話における大神オーディンが率いていると言われる。もし戸外でかの神に遭遇した時は一種の度胸試しによって「心の純粋さ」と「恐ろしい光景への敬い」を示す。合格したならば靴いっぱいの黄金をもらって家へ帰ることができるが、失敗したならば夜の旅へと連れ去られてしまうだろう。

◇墓地

(探索者の走馬灯である確信を得るための場所)
梅里家の墓がある場所だ。あなたはこの1年、何度も足を運んだかもしれない。街灯が灯っていて、この明かりが暗い街では遠くからよく見えたようだ。歩くのに支障はない。

>入る
SANチェック
成功→このエリアにいる間、「重症だった部位」の弊害が発生する。
失敗→特に何もないはずだが、何かこの街自体にゾッとする。SAN-1

★探索可能箇所
・梅里家の墓
 →見回す(目星)
 →花(アイディア)
                                                           

●梅里家の墓
変哲もない墓石だ。ゆらゆらと揺れる蝋燭に照らされるのは『梅里』の文字だった。カイリがそれを茫然と見ながら呟く。
「やっぱりそうだ。この不思議な世界の主役は俺じゃない」
「俺の世界なら、夢なら、(走馬灯の話題が出ていれば追加で『走馬灯なら、』)俺の知るはずもない死んだ後の場所が出てくる訳が無いんだ」

Q.探索者も覚えがない場所ばかりである
「そりゃお前、今は19歳だからだろ。」(深く聞こうとしてもはぐらかす)

>見回す
カイリの墓に何か手紙のようなものが置かれている。
『カイリが死ななければいけない理由はなんだったのだろう。救いを、そうとわかる根拠が欲しくて私は随分オカルトじみた話にまで手を伸ばした。それでお父さんはあまり家に寄り付かなくなり、カイリの死をきっかけに、家族はギクシャクするようになった。心機一転のため近いうちに引っ越してしまおうと考えている。これはカイリにあてた物でも、供えるための手紙でもなく、ただ私が得たひとつの救いだ。

北欧にはワイルドハントと呼ばれる伝説があるそうだ。死が間近な者、病に侵された者が窓を開けているならば、ワイルドハントは彼らを迎えにやってくる。仲間にするのか、黄泉へ安全に連れて行くのかはわからないが、少なくとも対象にとって灯火のように、迷わないように、先を照らしていくそうだ。仲間に加える時は対象者は彼らの仲間になる夢を見て、魂が肉体から離れ、そのまま引き込まれていくという。
日本では百鬼夜行のひとつと同一視する説もある。そしてワイルドハントは冬至に限らず、カイリが亡くなった夏至にも現れるそうだ。

あの夜。カイリは普段そんなことしないのに窓から外へと出て行った。その後の事故は、カイリが普段座っている窓辺まで巻き込んだ酷いもので、外に出ずとも致命傷を追っていたのだろう。ならば、そうならば、カイリはきっと導かれたのだ。ワイルドハントの灯火に。

カイリはのびのびと空を駆けているのかも知れない。ちっともやめてくれなかったタバコの火が星のように煌めいて。そうなら、きっと私は、夜に思いはせることで朝日を待ち望める気がするのだ。そう思ってようやく一歩踏み出せる。家族は元どおりにはならないかも知れないけれど、それでも。 梅里美穂(カイリの母親)』
(図書館/携帯で得る『ワイルドハント3』『ワイルドハント5』と同一情報』)

>花
なんの変哲もない献花だ。しかしあなたはふとデジャヴを感じる。いつかにこんなふうに墓参りにきた記憶が過ぎったのだろうか。それにしては、何度も、何度も、ここに訪れたように思う。

◇病院

(探索者の死因を確信するための場所)
街で特に大きな病院だ。カイリもまずこの病院に運ばれていたのを思い出す。

>入る
SANチェック
成功→このエリアにいる間、「重症だった部位」の弊害が発生する。
失敗→特に何もないはずだが、何かこの街にゾッとする。SAN-1
                                                           

●集中治療室
フットライトがポツポツと照らしている。それを辿って歩けば、集中治療室にたどり着くだろう。中には手術台や道具の乗ったカートを照らすライトがあり、奥にはさらに扉がある。
★探索可能箇所
・集中治療室
 →手術台(目星)
 →道具(幸運)
 →奥の扉
>手術台
【☆必須情報】『医者の診断レポート』
PCの瀕死の原因と重傷部位が書いてある。それ以外は専門用語が多いため、詳細な内容はわからない。(例 火傷/眼球:全身大火傷であり、特に眼球の損傷が激しい)

>道具
メスやハサミがある。武器になりそうだ。(+1d3ダメージ)

>奥の扉
奥の扉がかすかに開いている。開けばオレンジのフットライトが転々と続いているようだ。

                                                           

●病室
入院患者がいるような部屋にたどり着く。4人部屋の病室のようだった。窓がひとつ空いていて夜風が吹き込んでくる。そのすぐ脇のベットにはお見舞いの品らしき小さなおもちゃと、患者が読んでいたのであろう一冊の本がある。
★探索可能箇所
・病室
 →プレート
 →おもちゃ(目星)
 →本(図書館)
※まだ墓場に行っていないのであれば、探索項目に【手紙(図書館)】を追加してください。この場合、探索者が墓参りの際にこの手紙を発見し持ち帰って、ことあるごとに読み返していた、と言う設定になります。

>プレートを確認する
PCと下の名前は一致しているが、苗字は全く聞いたことがない人物のものだ。
>【☆強制/アイディア】
この苗字に激しいデジャヴを感じる。口に乗せれば非常に舌に馴染んでいるように思う。まるで何年も親しんだ、自分の名前のように。

>おもちゃ
小さなおもちゃが1人でにカラカラと回り続けている。回転覗き絵のようだ。穴から覗くと、黒いシルエットのアニメーションだ。馬の上に骸骨の人型があることがわかるだろう。ふと気がつけば影は一つ、二つと増えていき、大きな群れとなる。そしてあなたに向かって走り出すだろう。SANチェック1/1d3
あなたがパッと目を離すと、回転覗き絵は通常通りに回ってくる。近くにこのおもちゃについて、説明書がある。
『回転覗き絵とは』
静止画を素早く入れ替えることで、あたかも動いているかのように見せる器具のことだ。ゾエトロープ、ゾートロープとも。zoetrope とは、ギリシア語の zoe(生命)と trope(回転)を組み合わせた言葉で、「生命の輪」あるいは「生きている輪」という意味がある。中国で発明された走馬灯が元になっている。走馬灯とは、/続きはこすれていて読めない。
(続きは図書館/携帯で得る『走馬灯』で入手可能)

>本
北欧神話の小説のようだ。
『ワイルドハント4』
一説によれば、北欧神話における大神オーディンが率いていると言われる。もし戸外でかの神に遭遇した時は一種の度胸試しによって「心の純粋さ」と「恐ろしい光景への敬い」を示す。合格したならば靴いっぱいの黄金をもらって家へ帰ることができるが、失敗したならば夜の旅へと連れ去られてしまうだろう。

>手紙
本に何か手紙のようなものが挟まっている。
『カイリが死ななければいけない理由はなんだったのだろう。救いを、そうとわかる根拠が欲しくて私は随分オカルトじみた話にまで手を伸ばした。それでお父さんはあまり家に寄り付かなくなり、カイリの死をきっかけに、家族はギクシャクするようになった。心機一転のため近いうちに引っ越してしまおうと考えている。これはカイリにあてた物でも、供えるための手紙でもなく、ただ私が得たひとつの救いだ。

北欧にはワイルドハントと呼ばれる伝説があるそうだ。死が間近な者、病に侵された者が窓を開けているならば、ワイルドハントは彼らを迎えにやってくる。仲間にするのか、黄泉へ安全に連れて行くのかはわからないが、少なくとも対象にとって灯火のように、迷わないように、先を照らしていくそうだ。仲間に加える時は対象者は彼らの仲間になる夢を見て、魂が肉体から離れ、そのまま引き込まれていくという。
日本では百鬼夜行のひとつと同一視する説もある。そしてワイルドハントは冬至に限らず、カイリが亡くなった夏至にも現れるそうだ。

あの夜。カイリは普段そんなことしないのに窓から外へと出て行った。その後の事故は、カイリが普段座っている窓辺まで巻き込んだ酷いもので、外に出ずとも致命傷を追っていたのだろう。ならば、そうならば、カイリはきっと導かれたのだ。ワイルドハントの灯火に。

あの子はのびのびと空を駆けているのかも知れない。ちっともやめてくれなかったタバコの火が星のように煌めいて。もしそうなら、私は、夜に思いはせることで、朝日を待ち望める気がする。ようやく一歩踏み出せる。家族は元どおりにはならないかも知れないけれど、それでも。 梅里美穂(カイリの母親)』
(図書館/携帯で得る『ワイルドハント3』『ワイルドハント5』と同一情報』)

◇探索者の自宅

(アイテムの補充/数十年経っている示唆のための場所)

家族は1人もおらず、他の家と同じように電気が消えている。この家は確かに自分の家に間違いない。けれど家具や細々したものの配置や物自体が全く異なっている。本棚には知らない本が詰まっている。まるで家はそのままに、別の人間が何年も暮らしているようだ。奥の和室からは焼香の匂いが漂ってきていた。(ある程度望むアイテムは全て手に入る)

>入る
SANチェック
成功→このエリアにいる間、「重症だった部位」の弊害が発生する。
失敗→特に何もないはずだが、何かこの街にゾッとする。SAN-1

★探索可能箇所
・家具
・焼香の匂いを追う
・本棚
 →ワイルドハント1(オカルトor図書館)
 →ワイルドハント4(オカルトor図書館)
                                                           

>家具
1d5人分の椅子や食器が発見できる。どれも見たことはないはずなのに、どこか懐かしい感覚がある。そばにある写真たてにはあなたの全く知らない、家族に見える人々が仲睦まじそうに笑っているのがわかる。(探索者の将来の家族である)(探索者が自分の姿を探すのであれば、そっくりだが何十歳も歳をとった人物がいる)

>焼香の匂いを追う
部屋の奥には仏壇があり、あなたの両親の写真が飾られている。焼香の香りはここから漂っていたようだ。不吉な光景にSANチェック1/1d4

●本棚
骸骨について等、調べることができる。
『ワイルドハント1』
ヨーロッパ西部で主に伝えられる妖精の群れ。伝説上の猟師の一段が、馬や猟犬とともに、凄まじい音を立てて街を徘徊する。死を予言したり、執行する。彼らと地域や詳細な伝承は違えど近似した存在として『百鬼夜行』『デュラハン』などが挙げられており、ごく一部の学者ではこれらは実際はほとんど同一の存在もしくはその一部ではないかと囁かれている。

『ワイルドハント4』
一説によれば、北欧神話における大神オーディンが率いていると言われる。もし戸外でかの神に遭遇した時は一種の度胸試しによって「心の純粋さ」と「恐ろしい光景への敬い」を示す。合格したならば靴いっぱいの黄金をもらって家へ帰ることができるが、失敗したならば夜の旅へと連れ去られてしまうだろう。

◇図書館/携帯

(情報を補填するための場所)

オレンジのライトで煌々と照らされている。あなたの最後の記憶通りの図書館だ。人の気配はないが、電気がついている。(ここで出る情報は携帯で検索しても同様に見つかる)

>入る
SANチェック
成功→このエリアにいる間、「重症だった部位」の弊害が発生する。
失敗→特に何もないはずだが、何かこの街にゾッとする。SAN-1
                                                         
ここではまず骸骨について調べられます。5回、図書館orオカルトが振れます。失敗しても2回まで情報が出てきます。

>1回目成功
『ワイルドハント1』

ヨーロッパ西部で主に伝えられる妖精の群れ。伝説上の猟師の一段が、馬や猟犬とともに、凄まじい音を立てて街を徘徊する。死を予言したり、執行する。彼らと地域や詳細な伝承は違えど近似した存在として『百鬼夜行』『デュラハン』などが挙げられており、ごく一部の学者ではこれらは実際はほとんど同一の存在、もしくは群れの一部のではないかと囁かれている。
>2回目成功
『ワイルドハント2』

自分を迎えにやってきたワイルドハントを返り討ちにすれば、死を免れるともいわれる。もしまだ見つかっていないのであれば、三つの十字架を前に並べて通り過ぎるのを待つことでなんとかやり過ごせるかもしれない。
>3回目成功
ワイルドハント3

死が間近な者、病に侵された者が窓を開けているならば、ワイルドハントは彼らを迎えにやってくる。仲間にするのか、黄泉へ安全に連れて行くのかはわからないが、少なくとも対象にとって灯火のように、迷わないように、先を照らしていくだろう。仲間に加える時は対象者は彼らの仲間になる夢を見て、魂が肉体から離れ、そのまま引き込まれていくという。
>4回目成功
『ワイルドハント4』

一説によれば、北欧神話における大神オーディンが率いていると言われる。もし戸外でかの神に遭遇した時は一種の度胸試しによって「心の純粋さ」と「恐ろしい光景への敬い」を示す。合格したならば靴いっぱいの黄金をもらって家へ帰ることができるが、失敗したならば夜の旅へと連れ去られてしまうだろう。
>5回目成功
『ワイルドハント5』

ユールの時期に最も活動が活発になる。同時に北欧ではワイルドハントは夏至、冬至、春分、秋分など季節の変わり目に暴風とともに現れるとも言われている。

失敗1→テレビをつけても、ニュースを見ても、ツイッターを開いても、2020年6月21日19:24から先の情報は一切出てこない。更新が一切されない。不可思議な現象にSANチェック0/1

失敗2→様々な如月駅などの記事を統合して考えた結果、人の少ない異世界には、その場にいる人の主観や夢、妄想が入っているのではないかとふと思いつく。

                                                         

下記は調査可能な内容と技能です。上記の調査のあと、気になることがあれば、何について調べるか指定して技能が振れます。(※GMへ:なんとなく内容がかすってそうであれば判定を振らせてOKです)

>神様、ノーデンス、ドリームランドなどについて
『オーディンについて』

北欧神話で最も力のある大神。ノーデンスと同一視する説もある。ドリームランドの地下に広がる暗黒世界「偉大なる深淵」を治めているそうだ。気に入った人間を連れ去るとも言われている。
>日付や季節について
『夏至について』

2020年6月21日は丁度、夏至の日である。一年で最も昼が長く、逆を言えば最も夜が短い。19:00ごろ日が入り、朝の6:00には完全に朝が来る。日本において夏至や冬至は季節の折り目であり、お盆ほどではないにせよ現世と霊界の壁が薄くなる時期でもある。
また、黄昏時に代表される間際の境界は境界に住むものたちの力が強まる時間と言われている。先ほどの骸骨たちだってそうかも知れない。
>追加で【知識】
ワイルドハントはユールの時期に最も活動が活発になるという。同時に北欧では夏至、冬至、春分、秋分など季節の変わり目に暴風とともに現れるとも言われている。
>異世界、夢について
『異世界(蒙昧の国)について』

ドリームランドとは、眠りに落ちて、現との狭間を超えた場所にある蒙昧の国。単に夢を見るのとは違って、自分以外の存在や化け物が明確に存在している異世界の一種である。かの冒険家ランドルフ・カーターはドリームランド内部に荘厳たる国を築き、彼の終着点とした。「夢みるひと」が自分の夢(走馬灯や白昼夢も含む)の先でこのドリームランドに入るには、階段を降った先の洞窟で、門番に認められねばならない。ドリームランドと現世では時間の速さが異なり、ドリームランドで何十年も過ごしたが、覚醒世界では1分もたっていなかった事例もある。
>走馬灯、回転覗き絵について
『走馬灯(アイテム)』

影絵が回転しながら写るように細工された灯篭の一種。日本では夏の夜の娯楽として登場した。徘徊では夏の季語として用いられる。
『走馬灯 考にほのかな 煙草の香』平野みち代
>走馬灯について
『走馬灯(現象)』

死の間際にこれまでの人生の断片的な光景を見ることを象徴的に表現した言葉。突然死によって引き起こされることが多い。脳が酸素不足などによって正常に機能しなくなる、もしくはなんとか助かろうとこれまでの人生から方法を引き出そうとするなど、原因は様々だ。
『走馬灯 考にほのかな 煙草の香』平野みち代
>現世に戻る方法、宇月街について
人が黄泉の世界から現実へ戻るときには、河を渡る、坂をのぼるといった方法が伝承ではよく見られる。水場は境界線となるためだ。逆に黄泉へと向かうときは坂を下りて地下世界へと向かっていく。
また、宇月市には宇月川の上にハイウェイである宇月大橋がかかっている。
あかりはついていないものの、橋自体はこの世界にもそのまま存在する。

◇2人にとって意味のある場所

(生前の秘密を開示するための場所)

●生前の秘密
「観念しよっかな。『秘密はひとつだけ』だもんな」
「実は俺さ、(シークレットダイスで決定した秘密の公開)」
「ただの友達にこんなの気持ち悪いよな。怖いよな。わかってる。親友なんだよ、間違いなく、そうなんだよ。特別な何かがあったわけじゃあない。普通に暮らして普通に仲良くなって、それでも、少しでも、一瞬でも、そんなふうに思った気持ちがあったんだ。ごめん、ごめんな」
「お前の友情に報いれなかったんだ。ごめん。本当にごめん」
「お前が少しでも嫌だと思ったなら絶好してくれ。遠慮も容赦もしないのが俺らだろ」

Q.秘密は1つだけなら、今は何を隠しているのか?
「お見通しかあ」
「感情ってのは酷くてさ、こんなに後悔してるのにまだあの時の気持ちに囚われたまんまなんだ。今は、今はまだ、お前が俺のことを過去だって切り捨ててしまうのがこんなにも怖い。だから、だから朝が追い付くまでは秘密にさせててくれよ」

Q.その秘密って探索者が本当は19歳でないこと?
「俺は今だけはお前とあの頃みたいにバカやりたいからさ」と言って唇に人差し指を当てる。
「分かってても、まだ、秘密」

>何か言いつのろうとしたら
「過去の話は全部だよ。なあ今何やってんの。1年間、お前が辿った未来の話をしてくれよ」
「いつか大人になるならお前はどんな風だろうな」
「俺のことなんか忘れてくれてるだろうさ」
「うん、でもさ、忘れたことも思い出せるもんだ。何十年経っても。何度だって忘れて、ふとした夜の道で微かに思い出す。そうであってくれ、ってのは、やっぱ、重たいか?」

3章 分岐/ED

◆探索終了

現在時刻は朝の3時。空はごく微かにだが白み始めている。カイリが空を見上げてタバコを取り出し吸い始める。PCを向いてポツポツと言葉を連ね始めるだろう。ただその声はどこか弾んでいた。

「朝が追いついちゃったな。……こんなに楽しい夜更かしは久しぶりだ」

「死んだあとぼんやりとした意識の中で、俺は骸骨たちといろんな人間の元へ渡り歩いていた。集めて回っていたあの輝きはきっと魂って言うんだろう。はっきりした自我はなかったにせよ、何十年も。その果てに、今の、この世界がある」
「そう、これが『ひとつだけの秘密』だよ。お前はとっくに19歳じゃない」
「お前は俺たちが迎えにくる番になってしまうくらいよく生ききったんだ。俺をちゃんと置いて、たくさんの経験をして、いろんな人と会って。凄いよな。想像もできねえよな」

「さ迷える魂であるお前に、死を与えるためにワイルドハントは追いかけている。そりゃコシュタ・バワーがあれば多少は逃げられるだろうけど、いつかは追いつかれてしまうだろう。そうしたら、真っすぐ黄泉へ行ってしまうだろうさ」
「その前に、現実へ帰りな。宇月大橋があるだろ?川を渡ってひとりで行くんだ。ワイルドハントの群れが操る車は、川だけは渡れない。…死ぬ前に、きっとお前を待ってる人たちへ、別れの挨拶をいう時間くらいはできるだろうさ」

行けるとすればあと1箇所です。最後に橋へ向かいますか?それともカイリとここに残りますか?

Q.カイリはどうなるの?
「群れに戻って、また空を駆けるんだろう。きっと何十年も、その先も」
Q.一緒に帰ろう
「できないよ。俺も川は渡れない。何より、ほら、死んでるんだ」
Q.どうして宇月大橋に行かせようとしてくるの?
「俺はさよならをちゃんと渡せなかった。だからお前は、大事な人たちに、ちゃんとさよならして欲しい」
Q.カイリはどうしたい?
「そりゃ、そりゃお前と一緒にいたい。少しでも長くいたいよ。だって、お前は今19歳で、俺は18歳だ。でももう、十分すぎるくらい貰ってしまった。これ以上は、ダメだろ……」

★分岐①
・橋を渡る
・カイリとこの世界に居続ける
                                                          

①橋を渡る

車は橋の手前で自然と止まるだろう。一歩踏み出すごとにあなたの(重症だった部位)が主張を始める。きっとこれが現実の痛みだ。ハイウェイをなぞるようにオレンジの光だけが、線を引いてあなたの後ろへ通り過ぎていく。やがて、遥か後方から声が届く。

「振り返らないでまっすぐ歩け」
「きっとすぐ、さよならをやりきって、1人であんたはこの道を戻ってくる」
「その時に迷ったりしないように、タバコの火をつけておくよ」
「そのオレンジを辿っておいで」
「最高の親友だったよ」

ー……目を覚ませば、白い天井が見える。そしてあなたの右手は誰かに握られていた。暖かな、何度も何度も握ってきた手だ。
「急に容態が安定したぞ!」「早く人を呼んでこい!奇跡だ!」
医師の声が聞こえる。あなたは誰かの涙と笑顔を見たように思いながらも、再び、今度はただの夢へと落ちて行く。再び目を覚ましてから数時間、あなたは嘘のように穏やかなときを送る。あなたは取り戻した記憶と生きてきた年月の中で得た全てに、丁寧に別れを告げることができるだろう。

ゆらめく灯篭のような、キャンドルのような、小さなタバコの灯。
あなたが迷わないように光る、ハイウェイの明かり。
どうぞ、お休みなさい。

☆ED【ルート:ハイウェイ】
生還?報酬 2d10
実年齢を、秘匿ダイス③に合わせて変更。

以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用してください。
                                                          

①カイリとこの世界に居続ける


あなたたちは海から昇る朝日を見るだろう。完全に陽が昇り切るまであと1時間もない。ふと振り向けば、すぐそばにワイルドハントが迫っていた。その先頭には大柄な、髭の蓄えた立派な男がいる。大柄な馬に乗っているがその足は鱗に覆われていた。不気味な骸骨たちが霞むほど神々しい男は、淡々と抑揚のない言葉で問う。

『我らは誇り高きワイルドハント。死に近しい者を導く役目』
『凡庸な魂であれば、そのまま亡者と散れ』

『しかし汝らは逃げ延びるに違わず、反撃まで閃かせるは素晴らしい。【恐ろしきものへの敬い】を汝らは示したり』
『足りぬは【純真なる心】』
『なれば純真さは度胸試しにて示されよ』

『度胸試しをせざるは、幽鬼は仲間に引きもどす。汝はすぐさま命火を燃やし尽くし、瞬きすらなく亡者となられよ。これなるは凡百(ぼんぴゃく)なる魂の終わりである。正しき命のあり方なり』
『度胸試しにて見事その心を顕(あらわ)さば、我らが褒美与えたもう。望む行き先までの火を灯そうぞ』
『度胸試しにて失敗すれば、幽鬼と汝は共に群れに加わり、この短夜(みじかよ)を遥かに超えて長々き夜を走ろうぞ。思考すらとまり、苦しみなどもはや無い』

『さて如何する』

【要約】
・神様「純粋な心を度胸試しで見せてほしいな!」
・度胸試しをしないなら、カイリはワイルドハントに引き戻し、PCはその場で死亡するよ。
・度胸試しに成功すれば、望む場所に行くための手伝いをするよ。
・度胸試しに失敗すれば、カイリとPCは一緒にワイルドハントに加わるよ。

★分岐②
・度胸試しを受ける
・度胸試しを受けない
                                                          

②度胸試しを受けない

『ならばその命の火、微かな残滓は我らが灯火の一手となられよ。そして汝の魂は肉の器から解放される』
男が片手を掲げれば、あなたは自分の胸から今にも消えそうな灯火が抜き出てくるのを見る。それは男の元にたどり着き、近くの骸骨が掲げたランタンの中におさまると嘘のように煌々と燃え始めた。それと同時にあなたは意識が遠のいて行くのを感じる。最後に何か言わなければ、必死に口を動かす。
(一言だけ認めます)
あなたの手を柔らかく握る冷たい手を感じる。それは骨のようにも思う。霞む視界で、カイリの泣き笑いが見えた気がした。「おやすみ」耳に遠く響く声は子守唄のようで、あなたは穏やかな気持ちを抱えて目を閉じる。

☆ED【ルート:おやすみ】探索者ロスト
以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用してください。
                                                          

②度胸試しを受ける

男の後ろにいた骸骨の一体が拳銃を差し出した。受け取ればずしりと重い。銃弾は1発だ。
『此れは生者が引き金を引くならば、因果は反転しのぞむ場所へ飛ぶ必定の銃なり』
(要は、PCが打つなら絶対外れないと言っている)
戸惑いなく死する友を否定するか、その心を示されよ』
神々しい男はじっと口をつぐんであなたたちを見つめている。朝日は徐々にのぼっている。そう時間は無いだろう。現実時間で10分間測ります。それまでに結論を出してください。

>PCがすぐに動かなければ
カイリはあなたに近づき、自分の頭をその銃口にあてる。
「よかった。今度は訳も分からず死ぬんじゃなくて、お前の顔を見ていられる」

※GMへ
言葉遊びです。

カイリはこれを聞いて『戸惑なく(=PCが迷うことなく)、死する友(=すでに死んでいるカイリ自身のこと)を否定する(=殺す)か』と解釈します。そのためPCに殺されるか、PCから拳銃を受け取って頭にあて自殺しようとします。

ただしこれは『戸惑なく死する友(=PCのために迷いなく死のうとするカイリの振る舞い)を否定(カイリの死を止めようとする)するか』とも読み取れます。

神にとってはどちらでも構いません。そのときの2人の振る舞いを見ています。

このときカイリが死ねばカイリが友のために尽くす【純真な心】を持っていると判断し、カイリの願いを聞き届けます。PCがカイリを殺さなければ、PCが【純真な心】を持っていると判断し、PCの願いを聞き届けます。

★分岐③
・カイリが撃たれる
・カイリが撃たれない(PCが撃たれようとする)
                                                        

③カイリが撃たれる

その銃弾は確かにカイリを貫いた。勢いに負けてカイリは倒れ込む。しかししばらくすれば彼は呻いて起き上がるだろう。

『此の弾丸は生死を決めはせぬ。ワイルドハントは死者を迎えに行く群れなれば、当然我らが持つ銃は死を与えない。穏やかに連れて行くため、精神の力を多少なり弱めるもの』
『純真たる心は示された。戸惑なく死する友は否定された。であれば最も身を呈した者の願いから口にするが、戦士の褒章に相応しかろう』

カイリの方を向いて男は問う。
『汝が望む行先を口にせよ』
カイリはまっすぐ男を見つめ、あなたが止める間も無く願いを口にする。
「PCを現世に連れて行ってくれ。ちゃんとお別れが言えるように」

『心得た。では願いは叶えられる。度胸試しの勝者には靴いっぱいの金貨を、灯火を掲げん』
男は、神は、その手の杖をかかげた。朝日が昇る。
その杖の先からあふれた金色の光が、あなたの視界を焼いた。
ふと気がつけば、あなたは宇月大橋を歩いていた。視界の端で金色の光が、ハイウェイをなぞる車のように、線を引いて何度も通り過ぎた。手には火のついたタバコを握っている。その火が示すまま、あなたは、先へ先へと歩き続ける。ふと後ろからこの夜に何度も聞いた声が響いた。

「振り返らないでまっすぐ歩くんだ。1歩づつ」
「そのオレンジを頼りに行くんだよ」
「俺の灯だ。きっとお前の命の火も少しくらいは長くなる」
「きっとすぐ、さよならをやりきって、1人であんたはこの道を戻ってくる」
「その時に迷ったりしないように、またタバコの火をつけておくよ」
「最高の親友だった。じゃあな」

★分岐④
・振り返る
・振り返らない
                                                        

④振り返る

そこにいたのは青白く光る骸骨だった。うつろな眼孔からぽたり、と雫が落ちる。
「どうして振り返っちゃったんだ、バカ」

あたりを朝日が包み込む。同時、骸骨の群れがあなたたちを取り囲んだ。あなたは自分の手が透けていき、骸骨のようになっていく。ワイルドハントの青い光に導かれ、あなたは群れへと招待される。ただ、そばにはカイリがいるのも、ぼんやりとした意識の中理解できる。これから何十年、何百年と空を駆けるかもしれないが、それでも、あなたは捨てられなかった死者の手を掴んだのだ。

☆ED【ルート:幽鬼】探索者ロスト
以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用してください。
                                                          

④振り返らない

ー……目を覚ませば、白い天井が見える。そしてあなたの右手は誰かに握られていた。暖かな、何度も何度も握ってきた手だ。
「急に容態が安定したぞ!」「早く人を呼んでこい!奇跡だ!」
医師の声が聞こえる。あなたは誰かの涙と笑顔を見たように思いながらも、再び、今度はただの夢へと落ちて行く。再び目を覚ましてから数時間、あなたは嘘のように穏やかなときを送る。あなたは取り戻した記憶と生きてきた年月の中で得た全てに、丁寧に別れを告げることができるだろう。

ゆらめく灯篭のような、キャンドルのような、小さなタバコの灯。
あなたが迷わないように光る、ハイウェイの明かり。
どうぞ、お休みなさい。

☆ED【ルート:キャンドル】
生還?報酬 2d10
実年齢を、秘匿ダイス③に合わせて変更。

以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用できます。
                                                          

③カイリが撃たれない

男は結果を見届けると口を開いた。
『此の弾丸は生死を決めはせぬ。ワイルドハントは死者を迎えに行く群れなれば、当然我らが持つ銃は死を与えない。穏やかに連れて行くため精神の力を多少なり弱めるもの』
『純真たる心は示された。死する友は否定された。であれば最も選択を得た者の願いから口にするが、戦士の褒章に相応しかろう』
『逆境に立ち向かう気高さは戦士なり。無限に戦いを繰り返せるヴァルハラを望むならば連れて行こう。しかして汝は望むまい。であればどこへ向かうか』

『すでに死することが決まった者、すでに死んでいる者は蘇らぬ。現世に戻りたくばしかとその不可逆を心に留めよ』
『共にこれまでの長大たる時間を打ち捨て齢19でやり直すのであれば全てが異なる場へ導こう』

『さて、如何する』

【要約】
・神様「純粋な心を見せてくれてありがとう!」
・無限戦闘天国のヴァルハラに連れて行ってもいいけど、たぶん嫌だよね…。
・ふたりとも幽霊で現世に帰る?
・ふたりとも19歳で生き返りたいなら、現世とは違う世界へ導くよ。どうする?

★分岐⑤
・現世へ
・異世界へ
                                                          

⑤現世へ

『瞬く間に汝の命の灯火はたち消える。亡き者として現世へ渡ることになろう』
『曖昧なその魂の強度を多少強くしようぞ。陽の先へ向かいたまえ。振り返ってはならぬ。我らは汝らを連れていかねばならなくなる約定にて。準備はよろしいか』

男が腕を一凪すれば朝日の方へうすぼんやりとした道が敷かれているのが見える。道を照らすようにポツポツと炎が灯っており、迷うことはまずないだろう。

あなたたちが踏み出せば、背後から大きな馬のいななきが聞こえる。あなたたちの上空を、骸骨たちの車も激しくクラクションを鳴らして空へと駆け上がって行く。ワイルドハントの群れは空の彼方へあっという間に走り去り、見えなくなるだろう。

気がつけば、あなたたちは空の上を軽やかに歩いている。眼下には車で走った町が、特別美しくもなく、当たり前に広がっている。少しづつ高度は下がって行く。しかし、その足が地表に触れることはない。そうだ、あなたは選んだのだ。例え幽霊と言えどもカイリとともにあることを。
少し困ったような、でも嬉しさを隠し切れない顔で、カイリは笑いかける。
「なにして遊ぼうか?」

☆ED【ルート:うつつ】探索者ロスト
以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用できます。

                                                          

⑤異世界へ

『なれば夢の国へと導こう』
『汝らの灯火はひとつはすでに消えている。死者を蘇らせるは我の領分にあらず。さらに灯火のひとつは今にもつきかけている。我がいくら褒賞をやろうとその蝋燭の短さは変わらぬものだ』
『導くは夢の果てにあるドリームランドである。其処は現世での一瞬が永遠であり、現世での久遠が瞬きに過ぎ去る場所。そして我の力が多少は及ぶ領域である。なれば人の数えで19から重ねる一生くらいは生きられよう』
『では光を。陽を避け地下へ潜り、キャンドルに導かれて進むが良い。その蝋燭が通行証である』

男はどこからともなくあなたたちへ蝋燭を差し出した。オレンジの炎は消える様子なく安定している。そして足元には地下へと続く洞窟のような階段が出現していた。
男が大きく馬をいななかせるとともに、背後の骸骨たちの車も激しくクラクションを鳴らして空へと駆け上がって行く。あっという間に遠くに霞んで見えなくなるだろう。あたりを朝日が包み始める。もう時間はない。

……

あなたたちは一歩づつ地下へ進んでいく。心のどこかで、あなたが過ごしたはずの未来、其処で得たはずの大事な人たちが過ぎるかもしれない。しかし蝋燭に引かれるように、すぐそばのカイリに支えられるように、あなたは足を進める。蝋燭に照らされたせいだろうか。地下へ進むほどカイリの血色がよくなっているように見える。そうだ、あなたは選んだのだ。ドリームランド、夢の国へと進むことを。
少し困ったような、でも嬉しさを隠し切れない顔で、カイリは笑いかける。
「これからどう生きよっか?」

☆ED【ルート:ゆめ】
生還?報酬 2d10

以降、この探索者を継続で使用するならば、19歳から致命傷を追うまでの間の期間にクトゥルフ的事象に巻き込まれたという設定で使用できます。

またドリームランドのNPCとして登場可能です。