AKELDAMA
百竜呑ライカ
Prologue 漂白者
遠い昔の話をしよう。
儂が知る限りのことを話してやろう、若者よ。
そこは周囲から血塗られた土地と呼ばれ、忌み嫌われていた場所さ。
そこに、偉大なる亡霊の王が現れたのは、過去の話……いや、お主ら若者からすれば未来の話になるか。儂にとっては遥かな過去であり、遥かな未来であり、そして今日の出来事でもある。
偉大なる亡霊の王は六人の副王を従え、亡霊のための国を創ったのさ。人間から、そして魔物の皇帝から玉座を
これから話して聞かせてやることは、その偉大なる亡霊の王がいかにして玉座に登りつめたのか、ということ。
これは一言二言語ってぽんと聞かせてやれるほど楽なことじゃない。長くなるよ。それでいいのなら、腰を据えて、儂の話を聞くんだね。
偉大なる亡霊の王は、その名をレナード・クローヴァイスという若者だった。彼は特別な血を引く存在で、不老だった。だが、不死ではない。
生きるか死ぬかの戦場に身を置き、戦い、死の恐怖に屈しそうになりながらも愛する女のために死地に身を置く覚悟を固めた真の戦士だった。
彼は魔剣と――これは後の話になるが、呪われた甲冑を身に戦い続けた。過去に受けた苦痛を糧に戦い続けた。
そして副王たちも戦った。
なにと戦ったかって?
無論、それは魔界からあふれ出した魔物とさ。……はじめはね。
魔物との戦いに段落がつくと、彼らを使役していた人類が掌を返したのさ。偉大なる亡霊の王は副王たちと亡霊たちと魔物を従え、人類と戦い、見事それを駆逐してのけた。
だがそれは後日譚さ。これから語ることのおまけに過ぎない。
語るべき話は、そこではない。
亡霊王がいかにしてその道を辿ったか。いかにして副王を従えたか――いかして、魔物の皇帝を討ったか。
話の核心はそこさ。
おっと、紹介がまだだったね。
儂は『
これは、他人事じゃないよ。
これを読んだあんたが記録すべき事象の主人公となる可能性だってないわけじゃないんだからね。
さて、話して聞かせるとするかね。
飲み物の用意は? 軽食の準備は? 手洗いは済ませたかい?
いかんせん長くなるからね、相応の準備は必要さ。
じゃあ、話して聞かせようか。
偉大なる亡霊の王の、戦いの旅路をね。
さあ、あんたの名を聞こうじゃないか──。
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