近畿財務局は非公表にした理由について、2016年6月の売買契約の際に森友学園からの要請があったためとしている。財務省は「取引相手が公表に同意しない場合は公表していない」と説明しているが、上記の事実が示すように、非公表とされたのは森友学園への売却のみである。
豊中市の木村真市議会議員が国有地売却価格非公表に対して開示請求を行ったことが、今回の問題発覚の原点である。朝日新聞が取引の不透明さを報道した結果、近畿財務局は一転して2月10日に売却価格を公表した。
価格を公表したことについての財務省の説明が傑作である。「非公表のままだと、森友学園が国有地を不当に安く取得したという誤解を受けると判断し、公表に同意した」麻生太郎氏が大臣であるとはいえ、日本語を正しく用いてもらいたい。
正しく表現すれば、「非公表のままだと、森友学園が国有地を正当な価格で取得したという誤解を受けると判断し、公表に同意した」ということになるのではないか。
さらに、驚くべきことは、財務省の佐川宣寿理財局長が2月24日の衆議院予算委員会答弁で、「国有財産を管理する財務省近畿財務局が学園側との交渉記録を既に廃棄した」と表明したことである。
財務省の行政文書管理規則によると、面会などの記録の保存期間は1年未満で、事案の終了時に廃棄するとのことで、佐川氏は、「16年6月の売買契約締結で事案は終了したので、記録は残っていない」と説明した。しかし、これは虚偽である可能性が強い。このような特殊な事例に関する「応接録」は職員が管理して保管しているはずである。