植草一秀[経済評論家]
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大阪府豊中市にある不動産鑑定評価額9億5600万円、8770平米の国有地が2016年6月20日に学校法人森友学園に1億3400万円で払い下げられた。
国は地下埋設物撤去及び処理費用が8億1974万円と算定し、この金額を鑑定評価額から差し引いて売却した。しかし、地下埋設物の撤去に8億1974万円が支出された事実は確認されていない。しかも、国は森友学園に対して、土壌改良、埋設物撤去工事代金として、2016年4月6日に1億3176万円を森友学園に支払っている。
また、森友学園に上記国有地を1億3400万円で売却したが、その支払いは約2200万円の頭金と2017年5月から2026年5月までの10年にわたる分割払いとされ、国庫に納入された金額は2200万円しかない。つまり、現時点で国は森友学園に対して、1億2900万円の資金を支払い、8770平米の国有地を提供したことになる。
さらに、これとは別に、この土地に建設中の建物が、国土交通省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択され、6194万4000円の補助金支給が決定されている。この「国有地激安売却」について、財務省は売却額を非公表とした。
東京新聞報道は、2014~16年度の国有地売却963件のうち、非公表としたのは今回の森友学園への売却1件のみだったと伝えている。国有地の売却結果は1999年の大蔵省(現財務省)の通達で原則公表することになっている。