露出が増えることで楽曲もイメージしやすくなる
――今回3曲続けてデジタルリリースされるシングルの聴きどころをそれぞれ教えいただきたいのですが、まず『青、その他』についてはいかがでしょうか?
大倉 夏や教室がイメージされている曲で、すごく爽やかな印象の曲になっています。衣装は白と青を基調としたもので、ジャケットでも僕たちの顔を前面に出すことによって楽曲がもっと色づいてイメージもしやすくなっています。応援してくれているファンの方は僕たち自身も応援してくださっているので、こういう形で露出が増えるのはいいことだと思います。
――これまではイラストを使ったイメージが多く、ミステリアスな雰囲気でしたので、大きな変化ですね。
大倉 『結末は次のトラフィックライト』は歌詞にもあるように「行く」「行かない」という二択の世界が、『青、その他』とは別の軸で描かれています。『青、その他』とは違って、まだ何も始まっていない、動き出していない曲。アップテンポでノリやすい曲ですが、歌詞だけを聴くと切ない曲です。
――連続リリースの最後を飾る『キミヲナクシテ』。
杢代 今回の楽曲の中では一番げんじぶらしさが残っていて、歌詞も哲学的で切なくなっています。『青、その他』『結末は次のトラフィックライト』は聴き手にゆだねる部分が多かったのですが、『キミヲナクシテ』は内容がダイレクトに伝わる曲で、3曲のなかで一番ストレートかつ、新しい「げんじぶっぽさ」が込められています。歌割も細かくなっていますね。
大倉 そういうところからも「げんじぶ味」を感じるよね。
杢代 観測者(ファンの呼称)の方にも喜んでもらえるんじゃないかなと思います。
大倉 最初の1サビや2サビに比べて、ラスサビはテンポ感もちょっと変わっているんです。その中で『キミヲナクシテ』の悲しい世界観は、『ネバーエンドロール』(1stアルバム『多世界解釈』収録)を思い出させるような曲になっていると思っています。
杢代 3曲ともそれぞれ違ったエモさがあるよね。今年はエモですね(笑)。
――衣装も透明感がすごいです。この3曲中、ティーンに響くと思う曲を1つ選ぶとしたら?
武藤 卒業シーズンだから『青、その他』かな?
小泉 俺は意外と『結末は次のトラフィックライト』。春が近づいてきた青空の中で聴きたい曲です。「行く」「行かない」、行くという歌詞がちょっとだけ共感できると思うので、オススメです。
卒業式ではちぎったボタンを受け取りました
――もうすぐ新年度ということで、皆さんの入学式、卒業式のエピソードを聞かせてください。
長野 小学校の卒業式でみんな号泣しているのに、涙が出てこなくて、泣いたふりをしながら退場したという思い出があります(笑)。感動はしていたんですが、感情を表に出したくなくて。1人で泣くタイプで、ライブでも泣かない方なんです。あとは中学校の卒業式のとき、めちゃくちゃ仲がいい子と焼肉に行きました。
杢代 うすい~!
――桜木さんはちょうど卒業のタイミングだと思います。
桜木 そうなんですけど、特に思い出はないですね。
杢代 ないんかい!
長野 青春してよー!(笑)
桜木 小学校の卒業式でも、全員笑っていたから(笑)。
卒業のタイミングではないので、別の質問ですかね?そういえば、中学校の入学式の帰りに同級生から「芸能人ですか?」って声をかけられたことがあって、「自分は芸能人に見えているんだ!」という驚きがありました。
大倉 2人続けてエピソードがやばいよ(笑)。
杢代 もっと濃いのちょうだい!
――小泉さんはいかがでしょうか?
小泉 中学校の卒業式で、僕が芸能活動していることを知っている仲がいい先生がいたんですけど、「有名になったら芸能人になることをすすめた恩師だといって俺を紹介してくれよ!」って言われました(笑)。高校のときは、基本的に褒めるということをしない、ツンデレの先生がいて。でも卒業式の最後に「芸能活動を頑張れよ」って声をかけてくれて、それがすごく心にきました。今でもその先生とはやり取りをしていますし、僕の活動もチェックしてくださっているようで、嬉しいかぎりです。
大倉 僕は小学校から同じクラスだった親友がいたんですけど、高校からは別々になってしまいました。その親友が中学校の卒業式のときに「違う学校に行っても、俺はずっと(大倉)空人の芸能活動を応援する」って言ってくれて。普通、中学生のときに言っていたことなんて忘れてしまったりするじゃないですか。でも、その親友は約束通り、今も応援してくれているんです。「これ見たよ」とか「友達から聞いたよ」とか、都度報告をしてくれるのがすごく嬉しいし、もっと頑張ろうと感じるから、この友情は一生大切にしようと思っています。
――身近な人からの応援は嬉しいですし、勇気づけられますよね。
武藤 僕は高校の卒業式です。ちょうどコロナ禍が始まったので、卒業式自体ができるのかな、とずっと心配していたんです。体育館を使わずにクラスごとに教室で校長先生のスピーチを放送で聞くという形で卒業式を行いました。校長先生の「コロナ禍になってしまったけれども、卒業式はやりたかったし、私自身も皆さんの前で祝辞を言いたかったんです」という言葉にはうるっときました。校長先生が「卒業おめでとうございます」で締めくくったと思ったら、最後に急に「この放送の様子はYouTubeに投稿しますので、ぜひ見てください!」と。「ここで告知するの⁉」って、涙も止まりました(笑)。みんなで総ツッコミで、楽しい思い出になりました。
杢代 中学校の卒業式ではボタンを渡すという文化があったのですが、オーディションで制服が必要だということもあり、絶対渡したくないと思っていて、ボタンをもらいに来た子に「無理だよ」と言っていたんです。そうしたら「それなら逆に私のボタンを渡す」という子が多くて、僕がちぎってくれたボタンを受け取っていました。みんな僕が芸能活動していることを知っていましたが、暗黙の了解があったのか、あまり言わずにいてくれたんです。でも、卒業式のときに「実は応援していたよ」と声をかけてくれたことが嬉しかったし、すごく優しいなと思いました。
吉澤 僕は中学校の卒業式で、生徒会長と二人で生徒代表としての挨拶をしました。二人がそれぞれ書いた文書をまとめて、前半部分を生徒会長、後半は僕が担当。生徒会長が挨拶をしている時に、緊張もあって自分が書いた文章を先読みしていたのですが、我ながらめちゃくちゃ泣ける文章で(笑)。「これはやばいかも」って焦り始めて、実際にしゃべり始めたら、2行目ぐらいで全校生徒の前で泣き出しちゃいました。今まで学校で泣いたことがなかったのに、卒業式で初めて泣いたのはずかしかったですね(笑)。
杢代 そのスピーチ観たよ。すすり泣いてたよね?
吉澤 メンバーに動画を送った気がする。体育館のマイクの前で泣いていたんですけど、涙をふくためのハンカチをポケットのどちらに入れたかわからなくなって、文章を読みながら片手でハンカチを探してる姿は今見返しても恰好悪いなと(笑)。ただ、それだけ中学校の濃かった3年間がよみがえっていたんだなと思います。
――その文章力は今後、作詞方面にも活かせそうじゃないですか?
小泉 確かに書けそう!
吉澤 いやあ……それはないかな(笑)。
杢代 そこは「頑張ります!」でいいじゃん(笑)。
止まらずにステップアップしていきたい
――今後のグループとしての目標を教えてください。
杢代 着実にステップアップはしていきたいです。今回のワンマンツアーは3カ所のZeppでしたが、次は5カ所、そして今後の目標はパシフィコ横浜のようなでっかいホールでパフォーマンスがしたい。とにかく「止まりたくない!」、そう思いながら毎回ライブをやっています。観測者の皆さんもどんどん大きくなっていく僕達を一緒に応援してもらえたら嬉しいです。日本全国に行きたいですし、「げんじぶってこういうグループなんだ」ということを知ってもらって、もっとたくさんの方に来てもらえるよう、今年は頑張りどきだと思っています。
――SNSでの観測者の皆さんとのつながりも支えになりそうですね。
吉澤 めちゃくちゃ支えになっています。
大倉 2月限定企画だった「げんじぶディスカバリー」では、僕たちがそれぞれの曲の思い出を話しながら、みんなにとってそれがどんな曲なのかを教えてもらうという企画を実施しました。こういった交流を通して、観測者の皆さんの気持ちは僕たちにもきちんと届いています。
――最後に進路選択を控える読者にメッセージをお願いします!
武藤 子ども以上大人未満の時期、僕らの新曲3曲の中には心に響くフレーズが絶対にあると思います。これからいろいろなことが待っていると思いますが、大人なっていくことは、何かを間違えたとしても、それを糧に再び正しい道を歩んでいくことの繰り返し。ミスをしても、そのころに頑張っていた自分、もがいていた自分、葛藤していた自分のことを忘れないで頑張ってほしいです。
杢代 僕は今年、高校3年生になるんですけど、進路が決まっていない高校生が人生の選択肢が一番多いんじゃないかと思います。だからネガティブになってほしくないです。人と違って当たり前だし、自分ができていないと思うのではなく、自分ができるところを見つけることで自信を持って選択してほしいです。もし「手を出せる挑戦」とちょっと難しいけれど「手を出してみたい挑戦」があったら、絶対に「手を出してみたい挑戦」を選んでほしい。もし失敗したり無理だと思ったとしても、まだまだ他の選択肢が待っていると思ったら気持ちも楽になると思います。僕も高校3年生の今、いろいろなことに挑戦しているので、皆さんも挑戦しながら自分の人生を作り上げていってほしいです。
Information
Digital Single
『青、その他』
2022年3月12日リリース
『結末は次のトラフィックライト』
2022年3月21日リリース
『キミヲナクシテ』
2022年4月6日リリース
SDR
原因は自分にある。
7人組ボーカルダンスユニット
2019年8月に「BATTLE STREET」から改名し、新たに活動を開始した7人組ボーカルダンスユニット。メンバーは大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、杢代和人、吉澤要人。通称・げんじぶ。「ある物事や、ある状態・変化を引き起こすもとになること。」という意味を持つ“原因”という言葉を肯定的に捉え、 この名前の響きのように、インパクトを与え続ける前衛的なユニットとして躍進し、新時代のエンターテインメントを生み出していくという思いとともに精力的に活動をしている。
Photographer:Toshimasa Takeda,Interviewer::Tetsu Takahashi