2回にわたってサントリーオールドの古酒を特集したので、ここで改めてサントリーオールドについてまとめてみます。
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ダルマと愛されて70余年

サントリーオールドは、1950年にリリースされました。
当初から丸っこい黒ボトルは現在まで継承され、「ダルマ」「タヌキ」という愛称もつけられました。

ブレンドや開発は1940年に完了していましたが、戦争の激化によって当時の壽屋は海軍の軍需工場に指定され、軍艦などへのウイスキーの製造を行うことになり、販売に至りませんでした。

「オールド」の名は、戦前において有名だったスコッチウイスキー、「オールドパー」に肖ったものだとされています。
正面のラベルに記載された「SUNTORY」「OLD」(1970年代までは「WHISKY」)の頭文字が赤色になっているのも、オールドパーのラベルを踏襲したものだとされています。

和食にもウイスキーを

1950年代から60年代にかけて、当時の日本ではスコッチウイスキーの輸入は禁止、後に解禁されるも高い関税によってスコッチウイスキーは高嶺の花であったため、サントリーオールドは高級なウイスキーとしてボトルキープをされていたようです。

1970年代に入ると、料亭、割烹、寿司屋などにウイスキーを置いてもらうよう「二本箸作戦」が行われました。この「二本箸」とは、当時のサントリーの東京支社が二本橋にあったことと、日本料理店と家庭という2つのルートにオールドを普及させようという目的を掛け合わせたものだとされています。

その結果、和食の料理店のお酒として定番になったほか、高度経済成長で裕福になった一般庶民の家庭にもオールドが飲まれるようになりました。
1980年代初頭において、ウイスキーの販売の1/3をオールドが占めるようになりました。

ウイスキー冬の時代、それでも改良

1980年代半ばになると、焼酎甲類やそれを使ったチューハイ(サワー)、ワイン、そして関税引き下げで手に入りやすくなったスコッチウイスキーやバーボンによって、日本のウイスキーの販売は下がっていく一方でした。
その中でオールドは、幾度のリニューアルを行いました。

1988年には、白州蒸溜所のモルト原酒を加え、翌年には消費税導入と酒税の等級制度廃止に伴って値下げを行いました。

1994年にはアルコール度数を40度に引き下げ、よりまろやかなブレンドに改めました。

そして2006年には1980年代中頃の甘味の強いブレンドに改めるリニューアルを行いました。

現在のボトルは2008年にリニューアルされたもので、比較的淡麗辛口のブレンドになっています。

改めてオールドを飲んでは

歴史をたどると、日本人になじみのある定番ボトルの一つと言っても過言ではないですが、近年ではテレビCM展開も無く、ハイボール人気で角瓶やトリスに負けてしまっているイメージで、影が薄くなってしまっているのは否めません。

いろいろウイスキーは飲んでいるけど、オールドはまだ、と言う方は、一度試してはどうでしょうか。