経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。 * * * 近頃、気になる言葉がむやみに飛び交う。「悪い円安」だ。突然のはやり言葉にありがちなのが、定義があいまいで、人によってその理解が違うということだ。「悪い円安」がそれだ。
輸入物価の上昇が国内の生産と消費を冷え込ませる。だから悪い。ガソリンや食品価格の上昇が家計を圧迫する。だから悪い。円安が株高をもたらさなくなった。だから悪い。これらは日本の内需に関わる「だから悪い」論だ。 日本の対外収支との関わりでの「だから悪い」論もある。 円安がモノの輸出増につながりにくくなった。だから悪い。円安化で対外投資が低調になれば、今の日本の経常収支の黒字要因である利子配当や投資収益による海外収入が低下する。すると、日本の経常収支は構造的に赤字化する可能性がある。その場合、日本は海外からの資本流入に依存しなければ、経済を回せなくなる。だから悪い。 内需系の「だから悪い」論も、対外収支系の「だから悪い」論も、大外れというわけではない。「円安が株高をもたらさない」については、「だからどうしたの?」と問いたいが、状況描写としては、確かにそうなってきている面がある。 問題は、これらの「だから悪い」論がなぜ今まで出てこなかったのかということである。 「悪い円安」という言い方の背景には、円安は基本的に良いことなのだという思い込みが根を下ろしている。何はともあれ、円安ならめでたい。円安につながる政策はウェルカムだ。円安でなければ、日本経済はやっていけない。これらの何とも根強い心理が、「悪い円安」という言葉の中から染み出してくる。 円安に良いも悪いもない。 円安になるべき時に円安になり、円高になるべき時に円高になる。それが正しい。それが経済に均衡をもたらす。今の日本経済は、円安にしがみつけばしがみつくほど、みずからを痛めつける。
ところが、日本銀行が頑として異次元金融緩和をやめない。だから円安が止まらない。本当に悪いのは日銀だ。というか、黒田東彦総裁だ。彼が政府の債務返済負担軽減のために、超低金利の保持に固執するからだ。 これが諸悪の根源である。 浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演
※AERA 2022年4月11日号
https://news.yahoo.co.jp/articles/b6ecbefbd54e99d598cfbb9124c2094d2ea04207
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紫ババアが何かほざいているみたいです。しかし、円安は日本の国益です。
もちろん円高にも円安にもメリット、デメリットの両方があります。しかし総合で考えれば円安の方が圧倒的に有利です。
19世紀末に世界の工場と言われたイギリスがその地位を失った原因はイギリスポンドを高く維持しすぎた事にあります。
1960年代に日本が高度経済成長が可能だった原因は1ドル360円という極めて安い固定レートで固定されていたからです。1971年のニクソンショックで円高になると高度経済成長は終焉し、低成長時代に入りました。
1980年代にアメリカの製造業がほとんど空洞化してしまった原因はドル高によるものです。逆に、ドル高によって日本の製造業は、アメリカに有利な競争を行う事が出来たので世界最強になりました。
1990年代後半から中国の高度経済成長が始まりますが、この原因もアメリカドルに対して中国の元が極めて安い為替レートで固定された事です。これによって日本の産業もかなり空洞化してしまいました。
1997年から1998年に起きたアジア通貨危機の原因は日本の円安によってアジア諸国が産業競争力を失った事が原因です。それによって韓国では財閥が外資に片っ端から売られ、インドネシアではスハルト政権が崩壊し、タイでは暴動が起こりました。
最近では、日本のシャープが中国資本に売られてしまった原因は民主党政権における1ドル70円台の超円高政策によるものです。この状態が後数年続けば日本の大企業の多くが外資に売られるようになっていたかもしれません。
逆に安倍政権のアベノミクスで円を増発しまくりました。それで1ドルが120円台にまでなりました。その結果、トヨタ自動車は2兆円の利益という史上最高益を記録しました。
例を挙げればキリがないです。