今回は、引き続きサントリーオールドの古酒の中から、「ザ・サントリーオールド」を飲みます。

たった2年販売の幻のボトル

_DSC4252_01ザ・サントリーオールドは2006年に発売されました。それまでリリースされていた「マイルド・アンド・スムーズ」を置き換える形となり、アルコール度数も引き続き40度となっていました。

この当時、ウイスキーの出荷量は最も低くなっていて、ウイスキーがまだ「おっさんの飲み物」というイメージが根強かった時代でした。
しかしサントリーは敢えてそのイメージを強調するかのように、50代以上、かつてよくオールドを飲んでいた世代をターゲットに絞り込む戦略を採りました。

その上でブレンドする原酒においても、シェリー樽原酒の配分を高めることによって甘い香りと味わいを強調する方向にシフトしたと言われています。
実際に1980年代のオールドを飲むと、現行よりもシェリー樽原酒からのレーズン香、甘い味わいが強いと感じましたが、その方向を目指したのでしょう。

そしてラベルも改められ、縁取りの模様が外され、向獅子や響マークの代わりに「The」の冠詞がつけられ、名称も「ザ・サントリーオールド」とされました。

CMにおいても、発売時には、1980年代に角瓶のCMにも出演した井上陽水を起用し、その後は親子の絆をテーマに2年の長いスパンを設けて3本のCMが放送されました。


しかし2008年にリニューアルがされ、アルコール度数は再び43度に戻され、「The」の冠詞が外され、ラベルには向獅子のエンブレムが復活しました(CIの変更に伴って響マークが廃止)。

このリニューアルの際に、シェリー樽原酒を多めにしたブレンドも改められました。
なぜこのようなリニューアルを行ったのかは不明です。
角ハイボールブームが始まったのが翌2009年なので、原酒不足によるリニューアルというのは不自然です(結果的には良かったかも知れませんが)。

テイスティング

すでに前回の記事で現行品とマイルド・アンド・スムーズの比較をしましたので、今回は「ザ」のみを飲んでみます。

グラスからの香り、液色

グラスからはラムレーズンの香りがしっかりやってきます。
液色は少々薄めの琥珀色です。

ストレート

グラスからも香ったラムレーズンの香りが先立ち、その後モルト、トースト、バニラの香りが続きます。

味わいは、アルコールからの辛みはそれなりにやってきて、その後は酸味、苦みと続きます。甘さは奥にほんのり残る程度です。

ロック

レーズンの香りが深みを増した印象に変わり、その後ライム、ほんのりスモーキー、奥からハチミツ、カカオが続きます。

味わいは、苦みが少々増したものの、後から酸味、甘さが続きます。

ハイボール

レーズンとリンゴの香りが半々にやってきて、奥からバニラの甘い香りが続きます。
味わいは、苦みが少々強いものの、後から酸味がやってきます。甘味はほとんど感じられなくなります。

シェリー樽原酒の華やかな香りが目立つ

シェリー樽原酒を多く入れたことが裏付けられるほど、レーズンの香りが強く感じられ、ストレートは酸味が目立つものの、ロックでは甘味が出てきて心地よさを感じられます。
夜が更けてゆっくり飲むにはフィットするブレンドに思えます。
かといって、1980年代半ばにリリースされたボトルに比べると甘ったるさが少なく、上品にまとめている印象があります。

ハイボールで飲んでも、マイルド・アンド・スムーズよりも苦みが抑えられた印象で、サッパリしたハイボールになってくれます。

一方で現行品は比較的淡麗辛口になった印象で、和食と一緒に飲むウイスキーとしてはしっくりくる印象です。
角瓶やトリスなどの下位のボトルに比べれば香りも味わいもいいですが、単体で飲むにはあっさりしてしまっているように感じました。その場合はリザーブやローヤルを選んだ方がいいでしょう。

さて、「ザ・サントリーオールド」は2年しか販売されていなかったため、中古での流通も少なく、ネットオークションなどでも普通に「サントリーオールド」としか認識されていないため、サムネイルを見て「The」がついているかを見分ける必要があります。
しかしながら、比較的新しいボトルと言うこともあって、投げ売りになっているケースもあるため、見つけられたら手軽に入手できるでしょう。

<個人的評価>

  • 香り A: レーズンの香りがしっかり感じられる。モルト、バニラ、カカオが続く。
  • 味わい B: ストレートやロックでは甘味が前に来るが、加水で苦みが出やすい。
  • 総評 B: 現行品よりも香りが続いて甘く、単体で飲むには申し分ない。

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