実は、昨年の3月頃、何か新しい秋田のお土産はないかと、社内でアイデア募集をし、いろいろ検討していた。その中に、戌年を迎えることもあり秋田犬のぬいぐるみを作ったらどうかという意見があり、製造先などを模索していたところ、7月になって、丁度、大館能代空港ターミナルビルから同様の提案があったことから、意気投合して即座に両社共同での製作が決定した。その後、両社でぬいぐるみの大きさや販売価格などを検討し、特に表情については、大館能代空港ターミナルビルの担当の方が何度も何度も修正を重ね、可愛らしいものに仕上がって、ようやく12月下旬の入荷となった。
販売時期がちょうど年末・年始のUターン時期と重なったことや、価格も手ごろでプレゼントとして順調に売れ始めたが、当初、5,000個を完売するのは平成30年度末頃だろうと見込んでいた。ところが、今年2月に開催された平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックの女子フィギュアスケートで金メダルを獲得したロシアのアリーナ・ザギトワ選手に、大館市から秋田犬を世界に発信していただいたお礼に秋田犬グッズがプレゼントされ、その中にこの秋田犬のぬいぐるみが含まれていたことから、ニュースにも取り上げられ、3月3日~4日の2日間で約1,000個が一気に売れてしまい、ほぼ完売となってしまった。ザギトワ選手さまさまであり、この後、発注・完売を繰り返している状態である。
秋田犬に限らず、本県にはこうした大人気となるような素材や資源が数多く存在していることに、改めて気付かされる。当社の直営売店「あ・えーる」では、秋田県内の特産品を中心に約2,500点の品数を取り揃えている。空港ならではの土産品に加えて、季節に応じた地元産の採れたて食材や数十種類の秋田の銘酒なども販売しており、空港利用者のみならず、県内在住の皆様にも広くご利用いただいている。今春には、売店レイアウトの一部見直しとともに、会計コーナーの横に宅配サービスを併設するなど「見やすい・買いやすい」売店作りに努めている。また、地域の隠れた特産品の商品化や効果的な売り出し方等の相談なども多く寄せられており、秋田犬に続く他社とのコラボ商品の開発なども進めているところである。当社は、今後も空港を基点とした「地域の活性化」に積極的に取り組んでいきたいと考えており、国内線ビル1階にある市町村情報発信コーナーや2階のにぎわい広場なども気軽に利用していただきたいと思っている。
また、当社では、秋田空港を利用されるすべてのお客様に「安らぎのある空間」と「まごころを込めたサービス」を実感していただくため、平成27年度から空港内に入っている各社の力 を結集し、空港全体でお客様満足度の向上に向けたCS活動を実施している。目標テーマを、秋田(あきた)の頭文字をとり「あったか・きれい・たのしい空港」とし、5つの行動指針により、その具現化に向けてあいさつ運動や美化活動、接遇研修やお客様のご意見に対する改善状況のフィードバックなど様々な活動に取り組んでいる。
【CS行動指針】
1 家族のようにあたたかい笑顔と、歓迎・感謝の気持ちを込めた挨拶で、お客様をお迎えします。
2 お客様の声を真摯に受け止め、秋田へまた来たいと思っていただけるよう、誠実に対応します。
3 お客様に信頼され、わくわく感に溢れた身近な空港になるよう、チャレンジし続けます。
4 一人ひとりが“あきたブランド”になるように努力し、秋田の代表としてさまざまな魅力を発信します。
5 個々の強みが発揮できる環境づくりに取り組み、チームとして最大限の成果を生み出します。
さて、2020年の訪日外国人客を4千万人にするという国の目標のもと、本県の外国人延べ宿泊者数は前年比56%増の104,600人となり、統計が開始されて以来、初めて10万人を突破した。特に台湾人の伸びが目立つが県別では43位と発表された。やはり何と言っても、国内のみならず海外からのお客様がいかに多く秋田に興味をもってもらい、お越しいただけるかが、交流人口拡大のポイントだと考えている。
国内については、北東北の5空港ビル会社が連携して観光情報誌を制作し、中国・四国地方などからの観光需要を掘り起こすため、平成20年度から現地でのPR活動を行っており、今年は福岡で実施することとしている。一方、国外については、国際定期便の再開あるいは新規路線の早期実現が望まれる。この8月からは、隣県の花巻空港でLCCのタイガーエア社による台湾との定期便が就航したほか、山形県の庄内空港・山形空港では、台湾チャーター便が昨年の秋田以上の運航が見込まれる状況にあって、当社としても、路線誘致や運航促進にしっかりと役割を果たしていく所存である。
終わりに、この8月には、国内の航空会社が東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに空港関連のサービス強化に100億円規模の投資をすると発表した。うち70億円はスマートフォンなどを通じた情報提供を充実させる新システム投資に充てて、羽田空港などの拠点空港から地方路線へ乗る訪日外国人客を今の3倍超の200万人以上とする計画を示している。今こそが秋田へ人を呼び込む好機であり、当社も空港内の利便性・快適性をより一層高める工夫と努力をしていきたい。