小刻みにバージョンアップを繰り返すシステムソフトウェアとあらゆる手法を駆使して追いかけるダウングレーダのいたちごっこが発売以来続いているソニー PSPですが、現在までに出荷された全バージョンのファームウェアをダウングレードできるハック「Pandora's Battery」が公開されました。

その名のとおりPSPのバッテリー側に特殊なコマンドを書き込むことで本体を強制的にサービスモードに入らせる「パンドラのバッテリー」を作り、そこからメモリースティック起動して本体側のファームウェアを(ハック可能な)旧バージョンに書き戻すというもの。

すごいのは本体のバージョンにかかわらずダウングレードできることだけでなく、メモステ側からブートされるため、マルウェアなどで起動不能になった(Brickされた)本体すら復活させることができる点。

PSPの修理用に特殊なバッテリーがあるらしい、という噂はありましたが、この「Pandora」ハックの開発チームは純正バッテリーをトリガーバッテリーに改造する手法をリバースエンジニアリング(と主張している)によって見つけ出し、さらに認証を通過できる独自IPL(Initial Program Load)コードを書いたということになります。プロジェクト参加者として名を連ねているのはDark_AleXやFanjita、TyRaNiDなど、PSPハック界のドリームチームとでもいうべき面々。

実際の手続きにはすでに自作ソフトが走るPSPと純正バッテリー、ブートイメージ用のメモリースティック、およびPCが必要になります。PSPで走らせるバッテリーハックプログラム、PSPとPCを接続して使うイメージ作成プログラムはいずれもリンク先からダウンロード可能。


さて、バッテリー側から攻めてサービスモードに入らせるという技も衝撃的ながら、「現在までの」全バージョンに適用可能と聞いて気になるのはまもなく登場する薄型新PSPのこと。せっかくなら少し待って新型もダウングレード可能なことが確定してから公開すればよかったのに、とも思えますが、開発したチームによれば流出したコードで作成した「パンドラのバッテリー」を高値で販売する輩が現れたためこの時期の公開を判断したとのこと。今後ソニーがどのような対策を打ってくるのか・打てるのかはまだ分かりませんが、ひとまずは新PSPの登場に注目する理由が増えたといえるでしょう。いやはや、PSPは本当にトップガンの皆様に恵まれたハードです。

["Melvin"さん、ありがとうございます]