彼らの中から侍ジャパンのメンバーが生まれるかも知れない。

彼らとは、21日に開かれた「第1回 野球データ分析競技会」決勝に参加した学生たちのこと。全日本野球協会と日本野球連盟が主催。高校生から大学院生まで、全国16チームによる予選を勝ち抜いた7チームで決勝が行われ、横浜市立大大学院チームが最優秀賞に輝いた。

1チーム3人なので、決勝は21人。野球はおろか、運動経験がない人。細身でメガネをかけている人。女性も2人。だが、関係ない。必要なのは“頭脳”だからだ。決勝のお題は「野球の競技力向上」。与えられた都市対抗などのトラックマン・データの何を、どう分析するか。提言を含むプレゼンが求められた。「カーブの特性を踏まえたフォーシームの活用」「継投のタイミングを異常値から発見」「ストライクゾーンの違いがもたらす影響」等々。優勝した横浜市立大大学院は「スピンに着目した打球の傾向分析」と「空振りを取れるフォーク」について披露した。会場で熱心に耳を傾けた1人が、侍ジャパン栗山監督だ。「すごく刺激をもらいました」。

来春のWBCへ向け、まさにアナリストを探している最中。「同じ数字が出ても、これはダメ、これはいいと、言い切れるのがアナリストの仕事。代表を勝たせてくれるのは誰なのか。もしかしたら、学生の中に天才がいるかも知れない」と言い切った。就任以来「先入観は持たない」と言い続けている。今月やるはずだった台湾戦のメンバーには大学生も入れていた。

歴代の代表では、プロのスコアラーが担ってきた。もちろん、経験に裏打ちされた力は大きい。ただ、既成概念を除く栗山監督だからこそ、見いだせる知恵袋がいてもおかしくない。「ネットの世界にも、ちゃんと分析できている人たちがいる。本当にいい人がいれば、どんどん言ってくれれば」。侍ジャパンの世界一を支えるのは、あなたかも知れない。【古川真弥】