「3月に入るとすぐに輸入が止まり、他国から調達するにも価格が昨年末の4倍にも跳ね上がって……」
電子部品メーカー、ニチコンの岸義和・生産統括部長は2月末から頭を悩ませ続けている。ロシアのウクライナ侵攻で、主力製品の一つであるアルミ電解コンデンサーの生産過程で使うホウ酸のロシアからの輸入がストップしてしまったからだ。
ロシアは、米国、トルコと並んで世界のホウ酸の大生産地。ニチコンは10年前から全量をロシアから輸入している。「2月24日の侵攻の一報を聞いた時から『これは危ない』と思ったのだけど」と岸部長は苦しそうな表情をのぞかせる。
当面は数カ月分ある在庫でしのげるが、米国など他国からの輸入に切り替えるには時間がかかるだろうと予想する。「調達がうまくいってもコストの大幅増は避けられない。そうなれば、次は価格転嫁に苦労することになる」(岸部長)と嘆く。
韓国に次ぐGDP世界11位
世界を震撼(しんかん)させたウクライナ侵攻から約1カ月余り。世界の目は戦況と共にロシア経済の動向に注がれている。西側の厳しい経済制裁でロシア経済が疲弊すれば、国民の反発と共に戦争維持が困難になる可能性がある。ただそれは世界経済に返り血を浴びせることになる。ニチコンの例はその一コマにすぎない。耐久力競争の様相も帯びているのだ。
ロシアの2020年の名目GDP(国内総生産)は1兆4785億ドル。10位の韓国に次いで世界11位の経済規模だ。原油供給量は米国、サウジアラビアに次ぐ3位、天然ガスも米国に次ぐ2位で、パラジウムやアルミニウム、ニッケル、プラチナなどの希少金属も3位内に入る資源大国だ。
原油とガス産業からの税収などが歳入に占める比率は、原油価格が大きく下がった20年を除いて、この15年余りは約40~50%を占めている。製造業を中核とする日本と中国、ドイツや、金融とIT(情報技術)で世界の頂点に立つ米国とは産業構造が異なる。日本を含む西側の経済制裁は、そこを狙った。
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この記事はシリーズ「田村賢司の経済万華鏡」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
3件のコメント
春
プーチンが死ぬまでは、脱炭素やグローバル化は棚上げですね。
【カーボンニュートラル、グローバル化が、ブチャ大虐殺を引き起こした】責任を感じずにはいられません。
たぬ子
自然界
長いこと不便を我慢して使ってたiPadAir2の16Gを、やーっと最新のやつに買いかえることにしたわ。なんか戦争も長引きそうな気配だし、なんでもカネ払えば普通に手に入った時代も終わりそうに思えてきて…
Taramisaki
広大な領土と
豊かな地下資源を持つ
お金持ちの国は
なぜバカになるのか?
という
歴史的というか
はとんど人類史的大問題が根底にある。
<資源の罠>
そしてそこから抜け出せなくなる
<資源の呪い>
目の前の富を奪い合い
金ピカと暴力に終
始する権威主義。
...続きを読むそれは国家だけではなく
わずかばかりの親の遺産をめぐって
骨肉の争いを繰り広げるアホな庶民も
似たようなものだろう。
光り輝く富と
その影が作り出す深い闇。
人も国家も
それに捕らわれる。
それが愚かだとわかっていても
そこから抜け出すことができない。
だからこその<呪い>
その連なりが
悲しい人類の歴史
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