【4月6日 時事通信社】ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャで多数の遺体が見つかった問題で、ロシア軍が撤退した他の地域でも民間人の犠牲が明るみに出ている。キーウ中心部から約30キロのブチャより遠方で、被害状況の確認が遅れたためだ。大統領府高官はキーウから約60キロ離れたボロディアンカについて「ブチャよりさらにひどい」と述べた。

 ゼレンスキー大統領は5日、インターネットに投稿した動画で「ボロディアンカなどでは、犠牲者がさらに増えるという情報がある」と指摘。「(ロシア軍は)80年前のナチス・ドイツ占領時代にさえ見られなかったことをやった」と糾弾した。

 ボロディアンカは、キーウへの侵攻ルートの要衝で、当初から激しい空爆に遭った。英BBC放送などによると、行方不明者は約200人。集合住宅の地下室に逃れた人々が空爆で生き埋めになった。「がれきをかき分け、犠牲者を運び出す人も銃撃された」(地元当局者)という。

 国内にはまだ占領地や激戦地が多く、ブチャやボロディアンカは「氷山の一角」の可能性もある。南東部マリウポリでは「5000人以上が死亡した」(地元当局)とされるが、ロシア軍が完全制圧すれば、惨状の解明は困難になる。

 「さらなるブチャを生まないように」。クレバ外相は5日、ロシア産資源の不買を含む大規模制裁を改めて国際社会に呼び掛けた。(c)時事通信社