特許使用料と損害賠償金を支払うことでPS2の販売差し止めを免れ、PS3にも「前世代の機能」復活の道が開けたプレイステーションですが、立て続けに明るいニュースが飛びこんできました。ソニーの「半オフィシャル広報サイト」ThreeSpeechに掲載されたフィル・ハリソンSCE WWSプレジデントのインタビューによると、欧州から発売されるコスト削減版プレイステーション3は当初から「1000本以上」のPS2ゲームと互換性があるとのこと。

欧州で発売される新プレイステーション3は製造コストを切り詰めるために一部のチップを省略したものになるため、PS2との後方互換性は「日本・米国版ほど優れてはいません」(ソニー広報)とされてきました。

プレイステーション2には世界で約8000本、欧州では約2500本ほどのソフトが存在していますが、1000タイトルならば約40%以上が動くレベルにあるということになります。(8000本のうち1000本ではないと仮定して)。また、ネットワーク経由のアップデートにより互換性はさらに向上してゆくとのこと。

ライバルXbox 360に対しては「(互換性がなければ) Xboxは自分を自分で殺してしまうことになる。それを救う唯一の方法は100%の互換性を初日から取ること」(久夛良木 健 会長)と語り、機能の第一に「プレイステーション2との完全な互換」を挙げていたプレイステーション3だけに、危ぶまれていた互換性低下も4割以上は動くという安心の結果になりました。

この新型プレイステーション3は欧州を皮切りに順次現行モデルを置きかえてゆく見込み。「ローコスト版」といえば何か中身をケチったような印象を持たれるかもしれませんが、ゲーム機が内部的に合理化や部品の変更を繰り返して製造費用を圧縮してゆくのはまったく当然のこと。世代交代ではない同じプラットフォームのまま「筆頭機能」を大幅に切り捨てるのはそれほど一般的ではないものの、同一世代間の互換性低下はプレイステーションでは常識。PS3もその伝統を守っているといえるでしょう。

一方、40%以上というほぼ完璧な互換性を守るプレイステーションに対して、最初から互換性を採らず人気ソフトの一部だけエミュレートの道を選んだXbox 360の後方互換性はゼロにも等しい30%(後方互換性リスト)。伝統を守るプレイステーション3とは比較になりません。旧作をXbox 360でプレイすると720Pや1080PのHD画質にアップスケールして遊べるという違いはあるものの、PS3も将来的にはきっとアップスケールを実現してくれるはず。いまから期待です。