東京・グランドプリンスホテル新高輪にてソニーの第90会定時株主総会が開催され、経営報告および決議がおこなわれました。中鉢社長による前年度事業報告に続き、ストリンガーCEOが語った07年度の方針は「復活から利益を伴った成長へ」。エレキ事業およびエンターテインメント事業の好調を背景に今期の営業利益率5%を目指す方針があらためて表明されました。

またPS3の立ち上げ費用などにより前期に2323億円の赤字を計上したゲーム事業については、プレイステーション3はソニーの事業戦略にとって重要な製品であり、グループをあげて必ず成功させるとの力強い言葉のほか、今年度にパッケージタイトル200本・ダウンロードタイトル180本を投入するテコ入れ策も明らかにされました。

質疑応答については各紙の報道やリンク先AV Watch 大河原氏のリポートに詳しいところですが一部を抜き出せば:

(ウォークマンのiPodに対する惨敗について):理由は「ソニーは音楽配信と著作権について長年研究開発を進めてきた」「著作権の問題と製品投入のバランスで後れをとった」(オーディオ事業本部長 吉岡SVP)。ストリンガーCEOからはアップルに対しソフト面で後れをとったのは事実だがソニエリの音楽携帯は好調、また「ビデオの時代ではオーディオ時代の敗北を繰り返さない」

プレイステーション3とゲーム部門低調の責任をとった事実上の更迭ではないかとも語られる久夛良木氏のSCEグループCEO退任については、以前からの本人の意向であり後継者の育成にも取り組んできたとして、「会社との関係をすべて絶って離れていくわけではない。経営陣に対して、とくに私(ストリンガー)に対して、アドバイスをしてくれることになっている。彼自身も、きっと、今後数年で、輝かしい発明をするであろうと期待している」

ソニーらしさとはなにか?についての中鉢社長の回答は:「ソニーらしさとは、社会から尊敬されなければならないということ。」「ソニーに対しては、普通の会社でいるだけでは、多くの人が許してはくれない。」

ソニー製品の信頼性については:「ソニータイマーという言葉については認識している。」「ソニーは品質を第一に考え製品を投入することに全社を挙げて取り組んでいる」。(中鉢社長)


今回のハイライトは、ストリンガーCEOが「わたしは外国人だが、ソニースピリットは理解している(......)」といった回答のあと、「いまの私の発言に間違いがあった。私自身は外国人でなく、ソニーで戦うソニー戦士である。株主のみなさんも同じくソニー戦士である」と語り満場が喝采に包まれた場面。ストリンガー卿が優れた英国人ビジネスマンとして正式に叙勲を受けた「女王陛下の騎士」であることは周知の事実ですが、ソニーを守り戦う「ソニー戦士」、SONY Warriorでもあることが高らかに宣言された瞬間です(2005年にもこんな発言をしている。語感としてはChampion of SONY?)。

ストリンガー卿の定義によれば卿本人と株主、およびおそらく他の経営陣が「ソニー戦士」に含まれるのではないかと思われますが、役員と一般社員、本社とグループを問わず、ソニーのために戦う者は広義のソニー戦士であると考えて間違いはありません(たまにソニー錬金術師もいらっしゃるようですが)。社外あるいはボランティアでソニーのために日々戦闘のような行為に勤しむ皆さんも、戦士は駄目かもしれませんがソニー足軽・ソニー雑兵・ソニー自警団くらいならストリンガー卿も認めてくれるんじゃないでしょうか。

ソニーユーザであってもなくても、強いソニーはコンシューマエレクトロニクス業界全体にとって歓迎できることはたしか。ごくごくまれに戦う相手を間違えてしまう お茶目な点もあるものの、自社と産業と人類のために戦うソニー戦士ならびソニー戦士見習いの皆様には満腔の敬意を表します。戦士に敬礼!

Read - ブルームバーグ
Read - Yahoo! / AP
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