ようこそ愛憎混じる学び舎へ   作:妄想癖のメアリー

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4月から5月にかけて
没集です!初の試みでダイジェストで進行します!


番外編1 つかの間の平穏

 ──初日の夜──

 

「はぁ……全く。こりゃ明日から大変だな」

 

 心底面倒くさそうに語る水無瀬。その顔は、自己紹介後に味わったあの地獄を思い出してゲンナリとした表情だった。

 

「……その、すみませんでした。私も思いのほか子供だったようです」

 

「……私もごめん。水無瀬」

 

 その様子に申し訳なさそうに謝る坂柳と綾小路。

 

「まぁいっか。これから3人で暮らすことになるんだ、初日から喧嘩してちゃ後味悪いからね」

 

「水無瀬……それって」

 

「ほら、今日はもう遅いからスーパーに行って手軽に鍋でも食べよう。親睦会も含めてね」

 

「……うん!」

 

 

 

 買い物を終え帰宅する3人。水無瀬の働きもあってか、あんなに喧嘩をしていた割には打ち解けるのは早かった。

 

「──それで水無瀬はこう言ったの。『ホワイトルームの職員には愛が足りない!』って。今まで彼らに逆らう子達はいなかったからもうそれはみんなびっくりしてた」

 

「やはり生まれた時から既に頭角を表していたと言うことですね。こちらでも中学校で女子生徒をいじめていた男子数人に対してそれは見事な熱い説教をして、皆から尊敬されていました」

 

「さすが私の水無瀬。そこらの有象無象とはレベルが違う」

 

 ドヤ顔で語る綾小路に対して坂柳はどこか不満そうだ。

 

「『私の』水無瀬君? いつから彼はあなたのものになったのでしょうか? 私たちは中学時代から頭が良くてお似合いの美男美女と言われていましたよ?」

 

「ふっ、お似合い? 見た感じ2人は付き合っていない。お似合いと言われた中3年もひよっていた坂柳がそれを言うのは滑稽。それに──」

 

 言い合いがヒートアップしそうな中、それを察した水無瀬がすぐさま止めにかかる。

 ちなみにもうこのくだりは5回ほど繰り返している。

 

「ほらほら、もう食べる準備が出来たよ。明日から授業始まるんだから早めに食べて英気を養わないと。白だしを使った豆乳鍋、栄養価抜群でお腹にも優しいよ。簡単なもので綾小路さんには悪いけどね」

 

「また忘れてる……清楓って呼んで」

 

 ジト目で睨む綾小路。

 

「……あの白い部屋では苗字で読んでたんだ。ちょっと時間かかるのは許してくれ。よし! ほら、食べるよ」

 

 3人は手を合わせて食べ始める。

 

「「「いただきます!」」」

 

 

 

「美味しかった。水無瀬はやっぱりなんでも出来る。他の料理も早く食べてみたい」

 

「……私たちはこれから3年間共にするのです。いくらでも食べれますよ」

 

「……うん、これからよろしく! 坂柳」

 

 にぱーと笑顔を浮かべて言う綾小路。

 それに対して坂柳は笑顔で答える。

 

「ええ、よろしくお願いします。綾小路さん」

 

 

 

 ────友達ができるか心配だった綾小路だか、どうやらその心配は杞憂に終わったようだった────

 

 

 

「それにしてもベット2つしかないけど……どうする?」

「水無瀬は私と寝る。4年あってなかったのだからこれくらいは許されるべき」

「あら、私だって彼と同衾したことなんてほとんどないですのに」

「ほとんど……? それはどう言う事。坂柳」

「……もう僕ソファーで寝るよ」

 

 

 

 ──2日目の夜──

 

「ふぅ、やはりすごいね、この学校は。あんなに大きなショッピングセンターがあるなんて……っと僕は配送センターに布団を預けてくるよ。少しここで待ってて」

 

 そう言って駆け足で向かった水無瀬。普通なら気まずくなる状況だが、2日目にして2人はすっかりと打ち解けていた。

 

「確かに凄い。おかげで布団や下着とかパジャマとか小物とかをひとつの店で揃えられた。特にパジャマ。下着で寝るのははしたないから水無瀬のシャツを借りたが水無瀬の匂いに興奮して眠れなかった」

 

「……悪かったですね、小さくて。それにその発言気持ち悪いですよ。綾小路さん」

 

「あんなにいい匂いがする水無瀬が悪い。ホワイトルームでは同じ石鹸を使っていたのに彼だけいい匂いがした」

 

「……もうそれただの体臭では?」

 

「ならもうそれで良い。なんならそれが良い」

 

「そうですか……と言うかポケットに入ってるソレ。なんで買ったんですか?」

 

 坂柳の視線は右ポケットへと向かう。

 

「なんでって、使うために決まってるでしょ?」

 

「……ソレ、コンドームですよね? というか大体彼以外が買ってもサイズが分からないでしょうに」

 

「ふっふっふ、甘いな坂柳。私は既に彼のアレの大きさの予想はあらかたついてる。4年前だけど私は自由時間中に寝ている水無瀬のを握って確認してた。そこから計算するに、彼のアレの大きさはXXL級相当。ビックだでぃなのだ」

 

 ドヤ顔で語る綾小路。

 

「やっぱり気持ち悪いですよあなた……それでちなみにその話は本当なんですか?」

 

「やはり坂柳も人の子。気になるか、それは今日夜の任務で確認する!」

 

 何かを決意したように拳をグッと握りしめる綾小路。

 そしてちょうどいいタイミングで水無瀬が戻ってきた。

 

「水無瀬くん……今日は早めに食事を済ませたいです。少し疲れてしまったので」

 

「ん? いいよ。初日だからね、疲れるのは仕方ないさ」

 

「ありがとうございます」

 

 サラッと誘導する坂柳。彼女もまた大概だった。

 

 

 

 ──カラオケ──

 

「よし。着いたね、あれ? 有栖ちゃんカラオケ初めてだったよね?」

 

「ええ。あまりこのような雰囲気の遊びはした事がなかったので」

 

 そう言って水無瀬の隣にピッタリ寄り添う坂柳。数日前の同衾以降彼女のアプローチは激しさを増し、止めるライバルもここにはいないため、今日は遠慮が無くなっている。

 

「飲み物を取ってこようか。何がいい?」

 

「カルピスでお願いします」

 

 それを聞くと同時に部屋を後にする水無瀬。坂柳はそれを見ておもむろに端末を取り出すと。インターネットでカラオケについて調べていた。

 

「(前日から調べては来ましたが、やはり初めての私にとってはいささか難易度が高いように思えます……特にこの彼の足の間に座って一緒に歌うについてはそもそもどう切り出せば良いのかさっぱり分かりません……)……」

 

「お待たせ~ってあれ、どうしたの? 難しい顔して」

 

「……水無瀬くん。足を開いてください」

 

「……足? いいけど……」

 

 前回のこともあってか少し警戒しつつ足を45度程に開く水無瀬。そしてその間に坂柳はストンと座る。ちょうど彼の鼻の辺りに彼女の頭頂部が来るちょうどいいサイズ感だ。

 ふと端末の中身が視界の端に映る水無瀬。

 

「(ん……? 『彼氏とカラオケデートに来た時にしたいこと12選!』……なんだこれ)……おお、ちょうどいいサイズ感だね。頭が撫でやすくて良いよ」

 

「……歌っている最中は撫でないでくださいよ。リズムがズレてしまいます」

 

 こっそりと端末を開いて同じサイトをクリックする水無瀬。そこには何とも可愛らしい内容がズラリと並んでいた。

 

「(これ多分中学生向けのサイトだぞ……かわいいなぁ)……よし! 早速僕から歌おうか。何かリクエストはあるかい?」

 

「では昔あなたがよく歌っていたあの男性アーティストの曲をお願いします。よく耳に残っていましたから」

 

「ああ。斉藤和義か、いいね。よし『歌うたいのバラッド』っと」

 

 特徴的なスライドギターの前奏が流れる。

 

「~♪」

 

 

 

「97点ですか……凄いですね。こういうのは90点でも取れれば上手い方だと良くクラスメイトは言っていましたが……」

 

「十八番だからね。ただあんまり今時知ってる子は少ないよ……悲しいことにね。よし! じゃあ歌ってみよう! どんな曲が良いかな?」

 

「私ですか? ……うーん……コレなんかはいかがでしょうか?」

 

 その曲は有名女性アーティストの代表曲だった。今も昔もカラオケのランキング上位の曲だ。

 

「おお! いいね。採点してみる?」

 

 挑発的に水無瀬は問いかける。

 

「良いでしょう……90点以上取れたら何かご褒美をくれませんか?」

 

「ああ、いいよ。さぁ曲が始まるよ。頑張って!」

 

「はい。~♪」

 

 

 

「結果は92点。まぁ最初にしては悪くないんじゃないでしょうか?」

 

「凄いじゃないか! ご褒美は何がいいんだい?」

 

 数秒間悩んだ後、小さい声で彼女は話した。

 

「……キスをして欲しいです。この前みたいに力強く……」

 

 前回2人にやった辺りから抵抗がなくなってきた水無瀬。変わってしまった自分に苦笑いをしながら、彼は言う。

 

「……いいんだね?」

 

「ええ、もちろん。私が90点以上取ったら毎回お願いします」

 

「……参ったなぁ、安請け合いするべきじゃなかったよ」

 

「……嫌だったしょうか?」

 

 不安そうに振り返り上目遣いで語る坂柳。

 その様子を見た水無瀬は即答する。

 

「嫌なわけないだろう?」

 

「じゃあお願いしますね?」

 

 とは言ったものの、最初のキスで動揺したのかロクに点数が伸びず、二つの意味でただひたすら赤面する坂柳であった。

 

 

 

 ────その後水無瀬は先程端末で調べた内容12個全てをさりげなく執行し、それはそれは甘い空気の中カラオケは終了したそうな────

 

 

 

 ──助っ人参上? ──

 

「やっほー須藤。元気にやってるかい?」

 

 放課後坂柳と綾小路を連れて体育館を訪れた水無瀬。

 

「おお! なんだ水無瀬じゃねぇか! どうした? わざわざここまで来て」

 

「僕が須藤と1on1する約束したって言ったら彼女たちが見たいって言ってね。ついでだから寄ったのさ」

 

 綾小路は「よっ」と手をあげ、坂柳は軽くお辞儀をする。

 

「坂柳有栖です。以後お見知りおきを」

 

 それを聞いた須藤は思い出したかのように頭をポリポリと掻いて呟く。

 

「あーAクラスの」

 

「知っているのかい?」

 

「Aクラスのバスケ部のやつが言ってたんだよ『すげぇ美人がいる! 付き合いてぇ!』って。……この様子だとそいつの願いは叶いそうにねぇけどな」

 

 苦笑いをしている水無瀬とそれを笑う須藤

 突っ立って話をしている須藤に対して1年生と思われる生徒が注意しに来た。

 

「おい須藤! 早く来いよ! お前がいねぇと練習になんねえって! って誰お前ら、知り合いか?」

 

「ああ、水無瀬とその彼女たちだよ。この前行ったたろ」

 

「……だから彼女じゃないって」

 

 そこはしっかりと否定する水無瀬。

 

「やっぱり私たち彼女に見えるって坂柳」

「それはそうですよ。常日頃一緒にいるんですもの」

「写真もスレッドにたくさん載せられている。噂によれば水無瀬のファンクラブ的なものがあるらしい」

「……彼には見せない方がいいかも知れませんね、この写真等は」

「……確かに」

 

 主に水泳中の写真とか、寝顔とか。寝顔に関しては加害者が今喋っているのだが

 

「部活中だったか、ごめんね。また来るよ」

 

「いや、それには及ばねぇよ。おーいお前ら! 噂の水無瀬と俺が1on1やるぞー。見たいやつは来い!」

 

 それを聞いてか続々と集まるバスケ部達。そこには先輩の姿も多々見えた。須藤の人望は意外と厚いようだ。

 

「僕が言ったことはちゃんと守れてるみたいだね……ただこんなに人を集めなくてもいいと思うけど?」

 

「へへ、まぁな。よし、スリーポイントで2点。それ以外は1点で先7点とったやつの勝ちでどうだ?」

 

「いいだろう。よし! じゃあ先手は譲らせてもらうよ」

 

「おっ! ずりぃぞ水無瀬!」

 

 結果は7-5で須藤の勝利。水無瀬もスリーを2回決める大接戦だった。

 

「やっぱ現役には勝てないかー」

 

「……いや、普通にギリギリじゃねぇかよ。スリーの精度どうなってんだマジで……おい、お前やっぱバスケ部来いよ。お前が来て練習したら全国だって余裕だぜ」

 

「……助っ人として試合なら行ってもいいよ」

 

 彼らの会話が終わったのを皮切りに一斉に集まり出す。

 

「お前すげぇじゃねぇか!」

「水無瀬ってあの噂の水無瀬か!? 女たらしで有名な!」

「須藤相手に帰宅部が5-7はヤベエって! お前絶対入った方がいいって!」

 

「あはは……今度時間のある時見学に行きます。ではまた今度」

 

 逃げるようにしてその場を後にする水無瀬達であった。

 

 

 

「ッチ、なんだよアレ。気に入らねぇな」

 

「ああ、須藤も含めてクソウゼェわ」

 

 まぁ最も、良い感情を持った者だけとは限らないのだが。

 

 

 

 

 ──主夫水無瀬の冒険──

 

「……なんだこれ」

 

 水無瀬が洗濯中に手に取ったのは女性物の下着。それも高校生がつけるようなものではなく、赤と黒の通称勝負下着と呼ばれるものであった。

 ちらりと見えるタグにはご丁寧に「さやか」と書いてある。

 下着や靴下は洗濯する際ネットに入れなきゃいけない為、どうしても目に入ってしまう。

 

「(僕だって体は普通の高校生。人並みに性欲だってあるんだぞ? ……というか僕に見られる事になんで一切の抵抗が無いんだ!? 頭おかしいんじゃないの!?)……はあ」

 

 なるべく見ないようにしてネットに入れる水無瀬。最近は坂柳も同系統の下着を一式買ったことが確認されている。

 しかも二人ともたまに「染みている」のだ。何がとは言わないが。それを確認する度に顔を真っ赤にしながらネットに入れる水無瀬の心労は一体どれだけあるのか、それをはかり知ることはできない。

 

「(そりゃ高校生だったら男女ともに()()するだろう。それは別に構わないさ。ただせめて見えないようにしてくれ!)……」

 

 悲痛な叫びである。実際は気にしていないのではなく()()()()()()()()

 聡明な水無瀬はそれに気が付いているも必死に我慢している。が、余計にたちが悪い。嫌われているならともかく。いつでもウェルカムな状態なのだ。

 

「(って言うかクリーニング出すために清楓ちゃんの制服のポケット掃除したらコンドーム出てきたし……サイズぴったりだったし……)一応中身は40くらいなんだけどなあ……」

 

 彼自身自覚は無いが、肉体の年齢に精神が引っ張られている事。そしてホワイトルームでの教育によって前世での記憶がほとんど塗り潰されてしまったため実際はほとんど影響はないのである。

 基本的に1.2日に一回ほど処理している水無瀬。彼も健全な高校生である。その時ふとゴミ箱に入れた未開封のゴムが気になってしまったらしい。

 気になってはめてみたらこれまた驚き、サイズがピッタリだった。しかしあのはめた後の言い知れぬ虚無感は一体何なのだろうか? そしてそのまま水無瀬は眠ってしまった。

 

「1か月経たないうちにこれなんだ。一度3人でしっかり話し合う必要がありそうだね……」

 

 その決断がどういった結果を生むのか、それはまた別のお話である。

 

 

 




斉藤和義に関しては僕の趣味です。
よく友達とカラオケに行く時はほぼ毎回歌って布教しているのですが効果はいまいち。水無瀬君の気持ちは痛いほど分かりますw(隙自語)

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答えられると確約はできませんが、ここはどうして?という質問や本文の指摘などでも嬉しいです!よろしくお願いします!

皆がこの小説に求める要素

  • 綾小路や坂柳とのイチャイチャ
  • 上記以外のヒロインの追加
  • 恋愛要素以外の日常パート
  • 本編を早く進めること
  • その他(感想で書いて頂けると助かります)

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