ようこそ愛憎混じる学び舎へ   作:妄想癖のメアリー

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今回も短め!

水無瀬と茶柱がどんな取引していたのか、明らかになります!


第13話 胎動

 ────時は入学してから1週間後にさかのぼる────

 

「失礼します。1年Dクラスの水無瀬柊です。茶柱先生はいらっしゃいますか?」

 

 水無瀬は放課後職員室を訪れた。ドアをノックし入室する。

 

「水無瀬か、こちらへ来るといい」

 

 事前に連絡をしていたのが功を奏したのか、茶柱は準備を整えていたようだ。

 生徒指導室へと移動し着席する2人。

 

「失礼します」

 

「それで? 話とはなんだ水無瀬。わざわざ他の人間の耳に入らないような場所がいいと言ったな、そんなに大事なことか? ……まさか白昼堂々と綾小路と熱烈なキスを繰り広げた事ではないよな?」

 

 そう言って掲示板に貼られていた画像を見せて、ニヤニヤしながらいう茶柱。

 水無瀬は苦笑いをしながら語る。

 

「あんまりからかわないでくださいよ……まあ本題に入ります」

 

 そう言って真剣な顔で続ける水無瀬。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

「……お前が一体何の話をしているか分からないな」

 

 少し間を置いて答える茶柱。それに対して水無瀬は真顔で答える。

 

「ああ、誤魔化さなくても大丈夫です。僕は今この学校のシステムについて完全に把握しています」

 

「……どこから聞いた。上級生にはSシステムについては教えるなと達しがあったはずだ」

 

「僕がそれを答える義務はないはずです。続けますよ?」

 

 水無瀬はカバンから1枚の紙を取り出す。

 

「この契約書の内容に同意していただきたい。これはコピーです。あなたが持つ用、学校に提出する用、そして僕が持つ用の3枚があります」

 

 そこには堅苦しい文章で契約の内容が書かれていた。内容を要約すると

 

 ・現在の残りの1年Dクラスのクラスポイントをすべて学校側へ売却し。その分振り込まれるはずだったポイント40人分を、永久的に水無瀬柊に振り込む事。この契約はDクラス担任茶柱の元保証されるのもとする。

 ・この契約の内容を水無瀬、茶柱、坂柳理事長以外の何人にも漏らしてはいけない。漏洩した場合は、それぞれ相手に対して1000万ポイントを支払うものとする。

 

「……話にならないな。第一こちら側にそれを結ぶメリットがないだろう?」

 

 呆れたように語る。その反応を見越してか水無瀬は語る。

 

「まあそうでしょうね、ではこういう条件を付けたしてはどうでしょう?」

 

 水無瀬は茶柱の紙にボールペンでとある一文を書き足す。

 

 ・水無瀬柊は、今後のクラス間闘争において己がAクラスに行くことに対して努力義務を負うこととする。

 

「……意味が分からないな。仮にお前が想像しているSシステムの内容が事実だったとて、なぜAクラスに上がる必要があるのか甚だ疑問だな? 私がそれを望んでいるとでも?」

 

 内心の動揺を隠すかのように大げさに語る茶柱。

 しかしそれを見抜いていたのか水無瀬は続けて問い詰める。

 

「望んでいないのですか?」

 

「……ああ。望んでいないが?」

 

「そんなあなたに僭越ながら一つアドバイスです。あなたは嘘をつくときに右手を首筋に当てる癖がある。今後とも様々な取引をするんだ。直した方がよろしいですよ?」

 

 それを聞いて無意識に首筋を触る茶柱。それを見た水無瀬はにこやかに笑う。

 

「……カマをかけたな?」

 

 苛立ちを隠さずに茶柱は言い放つ。

 

「反応が答えを示してるようなものです。……それに失礼ですが上級生の間であなたは有名ですよ? 『茶柱佐枝は教師として失格だ』って。さらには卒業時のクラス評価はそのまま教師の評価につながるだそうじゃないですか? 万年Dクラスのあなたはさぞかし悔しいことでしょう」

 

「…………」

 

 言い返せないのか押し黙る茶柱。それを気にせず水無瀬は語る。

 

「だから僕がこのクラスをAまで上げて差し上げようという話です。悪い話ではないでしょう?」

 

「……はあ、いいだろう。その条件を飲もう。だがクラスポイントについてはクラスの過半数の同意が必要だ。それについてはどう考える?」

 

「『この学校にはポイントで買えないものはない』とあなたは言っていましたね? 僕はクラスの同意をポイントで買い取ります。これでどうでしょうか?」

 

 茶柱は呆れたように返事をする。

 

「……よくもまあこんな短期間でここまでたどり着いたもんだ。いいだろう、多少強引に理事長に掛け合ってみるさ。だがこちらからもう一つ条件を提示させてもらう」

 

 そう言って彼のボールペンで条文を付け足す。

 

 ・水無瀬柊または綾小路清楓のポイントを使用したAクラスへの昇格を禁ずる。

 

「これを飲まない限りは認めない。お前は()()と言っていたな? Dクラスをという事ではなく。そこから推測するにお前は自分自身と綾小路を()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()な? ……全く油断も隙もない生徒だよお前は、危うく騙されるところだった。……そして契約を今更白紙にするという話もダメだ。お前は私に対して見逃すことのできない侮辱、偽装行為をした」

 

 絶対に逃がさないと強い視線を向ける茶柱。水無瀬はそれに呆れたように返答する。

 

「仮に僕がそれを認めないとして僕に何か不都合でもあるのでしょうか?」

 

「不都合ならあるさ、これを見てもらおう」

 

 そう言ってとある映像を見せる茶柱。そこには毎日水無瀬と坂柳の部屋に出入りする綾小路の様子が映っていた。

 

「随分と仲がいいじゃあないか? 何故か理事長から許可が下りた坂柳はともかく、綾小路は不味いんじゃないのか? 不純異性交遊を筆頭にお前らを退学させることだって私は可能なんだぞ?」

 

 先ほどコケにされたお返しなのか勝ち誇った様子で茶柱は続ける。対する水無瀬は苦い顔だ。

 

「そしてお前がこの契約を結ばなかった場合、私はお前を退学させ、この証拠を持って強制的に綾小路をクラス間闘争へと巻き込むつもりだ。それはお前の本意ではないだろう?」

 

 その言葉を聞いた水無瀬は怒りを抑えながら小さく言い放った。

 

「……いいでしょう。あなたの条件を飲みます。その代わりに清楓ちゃんには一切手を出さないことも条件に入れてもらいます」

 

「ああ、それくらいは全然かまわないさ。だがお前が努力を怠った場合私は一切躊躇することなく先ほど内容を実行に移す。いいな?」

 

「……わかりました。では確認しましょう」

 

 改めて契約書の内容を確認する水無瀬。

 

 ・現在の残りの1年Dクラスのクラスポイントをすべて学校側へ売却し。その分振り込まれるはずだったポイント40人分を、永久的に水無瀬柊へと振り込む事。これらの内容はDクラス担任茶柱佐枝の元保証されるのもとする。

 ・綾小路清楓に対して茶柱佐枝は、脅し等を含めたクラス間闘争の強制的な参加を禁じる。

 

 ・水無瀬柊または綾小路清楓に対して2000万ポイントを使用したAクラスへの昇格を禁ずる。

 

 ・この契約の内容を水無瀬、茶柱、坂柳理事長以外の何人にも漏らしてはいけない。漏洩した場合は、それぞれ相手に対して1000万ポイントを支払うものとする。

 

 ・この契約は、両者どちらかがこの学校に在籍している限り永久の物とする。

 

「ではこれでいいでしょう。詳しい内容については後に書きます。……そして僕は清楓ちゃんに手を出そうとした貴方を許す気はない。彼女に手を出すことは即ち僕を敵に回すということを常々留意していてください……失礼します」

 

 そう言って生徒指導室から出ていく水無瀬。それを尻目に彼女は一人呟いた。

 

「……やはりいくら能力値が高いと言っても子供だな。実に愚かで扱いやすい」

 

 

 

 

 

 

 

「────とか思ってたんだろうなー! ────」

 

 場面は変わって5月最初の日の夜。堀北を部屋まで送り届けた水無瀬はその後3人で賑やかに食卓を囲んでいた。

 彼は端末に表示される168万という数字を見て心なしかテンションが上がっている。

 

「分りやすく罠を張ったのも、わざわざ監視カメラに証拠が残るようにしたのも、僕が怒っていたのもぜーんぶ予定調和だったのにねえ……今更したり顔で『バカなガキは扱いやすくていいねえ』とか言ってんじゃないのかな? ざまあないね」

 

 笑いながらこちらを見つめて来る2人に水無瀬は続けて語る。

 

「彼女は爪が甘いよ。何もかもね。1つは僕と有栖ちゃんのお父さん、坂柳理事長との背後関係をロクに洗ってないままこの契約に応じた事。2つ目は条文の抜け出た内容に気が付かなかったこと。僕と彼女のどちらかが在籍している間について。僕が退学した際の話だと思ってたみたいだけど、()()()退()()()()()()()()を考えていなかったのかな? そして最後は清楓ちゃんに手を出すとわざわざ僕を脅してきた事。まあこれは僕が仕組んだことなんだけどねー」

 

 笑いながら語る水無瀬だったが、最後は真剣な表情だった。

 

「僕の愛する人に手を出したんだ。そのくらいの落とし前はつけてもらわないとね?」

 

「ん……水無瀬……愛してる」

「僕ももちろん愛してるさ」

 

 頬ずりをする綾小路とそれを笑顔で撫でる水無瀬。目を放っておくとすぐいちゃつき始める2人だった。

 それを見た坂柳は呆れながらこう問いかける。

 

「……それにしても珍しいですね。水無瀬君がそんなに簡単に突き放すなんて?」

 

 確かに彼の思想的には珍しいであろう。その質問に水無瀬は綾小路を撫でたまま答えた。

 

「彼女はもう大人だよ、自分の行動には責任が伴う。さらに己の野心のために子供を脅して従わせるなんて事も躊躇なくする。到底許せる所業ではないさ」

 

「では彼女を退職させるおつもりで?」

 

「……いや、それはまだ考えていないよ。彼女には自分の行ってきたことを反省してもらいたいんだ。彼女が心から謝ってきた時には、僕は彼女を許すつもりでいる。居なくなったら皆が悲しむだろう? それになるべくなら彼女含め誰一人欠けることなく卒業したい」

 

 穏やかな顔で語る水無瀬。こんな時にも周りの人間のために動く様だ。

 

「……相変わらずですね。あなたは」

 

「でも、それが水無瀬の良いところ」

 

「ふふふ、確かにその通りですね」

 

 にこやかに笑顔で語る2人、気まずくなったのか水無瀬は呼びかける

 

「……っとほら! 早くご飯食べないと! 3人で難関クイズ番組を見るんだろう? もうすぐ始まるよ……あ! ちゃんと噛んで食べなさい! 清楓ちゃん! 健康に悪いじゃないか!」

「そうですよ綾小路さん。ちゃんと噛まないと太ってしまいますよ?」

「太るのは困る。キチンと────」

「────」

 

 

 

 ────彼らが暮らし始めてから今までたったの1か月しか経っていない。が、しかしそこには確かに家族としての『愛』が繋がっていたであろうに思えた────

 

 

 

「……そういえばこの契約の内容って他者に漏らしてはいけなかったのでは? 水無瀬君」

「あっ……」

「水無瀬は少し気が抜けすぎかも。……それはそれで嬉しいけど」

「私達2人で2000万ポイントですか。……水無瀬君? お願い、聞いてくれますよね?」

「……何が望みだい、有栖ちゃん?」

「そうですね……ではこれから私達、3人で寝ましょうか?」

「……はい」

「やったー!」

 

 ────そう言って2つのベットをくっ付け、3人で寝始めた水無瀬達。3人で寝るには狭すぎるベットと、意図的にやっているとしか思えないような2人の酷い寝相に、水無瀬は慣れるまでロクに眠ることができなかったそうだが、それはまた別のお話────

 

 

 

 

 




イチャイチャがご要望とのことなので最後少しおまけです!
胸に顔をつけさせて来たり、太ももに足を巻き付けて来たり大変だったそうですよー。もっとイチャイチャしろ()

高評価や感想していただけると作者の励みになります!
答えられると確約はできませんが、ここはどうして?という質問や本文の指摘などでも嬉しいです!よろしくお願いします!

皆がこの小説に求める要素

  • 綾小路や坂柳とのイチャイチャ
  • 上記以外のヒロインの追加
  • 恋愛要素以外の日常パート
  • 本編を早く進めること
  • その他(感想で書いて頂けると助かります)

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