ようこそ愛憎混じる学び舎へ   作:妄想癖のメアリー

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ちょっと前回日常パート長すぎた気がするので今回は少し端折って、ちょうどいい塩梅を探そうと思います。


第10話 堕落

「ぎゃははははは! お前それバッカ! おもろすぎだって!」

 

 2時間目の授業中、今日も池が大声で談笑していた。その相手は山内である。

 前回水無瀬にやんわりと注意されてから3日ほどは静かなままであったが、土日を挟めばこの通りである。

 入学してから3週間、池と山内の2人と須藤を入れ、それをなだめる水無瀬4人は陰で3バカトリオとその保護者という非常に不名誉なあだ名がつけられていた。

 

「ねえねえ、カラオケ行かない?」

「行く行くー! ねえ水無瀬君と清楓ちゃんも行かない?」

「こらこら、カラオケの約束もいいけど今は授業中だから集中して。放課後は2人とも空いてるし、いいかい? 清楓ちゃん?」

「もちろん」

「よし。じゃあこの話は終わりだ。いいね?」

「「はーい」」

 

 

 

 そんなこんなで3時間目の授業が始まる。科目は社会。担任の茶柱先生だ。授業開始のチャイムが鳴っていても騒がしい教室に茶柱がやってくる。

 それでもなお生徒たちの喧騒はやむことがなかった

 

「(……やはり騒がしいクラスだよホントに。現状ではAクラスへの到達が出来たとて1シーズン持つかも怪しい。やはりあの選択は正しかったようだね……)おはようございます、茶柱先生」

 

「……ああ、おはよう」

 

 内心思っている事とは裏腹ににこやかに挨拶をする水無瀬。反対に彼女の表情は少しぎこちない。

 そしてそのまま茶柱はクラスに呼びかける。

 

「ちょっと静かにしろー。今日はちょっとだけ真面目に授業を受けてもらうぞ」

 

「どういうことすかー? 佐枝ちゃんセンセー」

 

 そんな愛称で呼ばれた彼女だが特にそれに対して反応することはなく続ける。

 

「月末だからな。小テストを行うこととなった。後ろに配ってくれ」

 

 そう言うと同時にそれぞれ1枚のプリントを配っていく。

 それを見た生徒たちは不満を口にするがそれに対して茶柱はこう返した。

 

「そう言うな。今回のテストはあくまでも今後の参考用だ。成績表には反映されることはない。ノーリスクだから安心しろ。ただしカンニングは当然駄目だ……おい水無瀬、何を笑っている?」

 

「……すみません。池が変顔をしていたもので」

 

「してねえよ! いつも静かな奴がそんなこと言ったらますますほんとっぽく聞こえるじゃねえか!?」

 

 クラスに笑いが起こる。こういう二人のやり取りはすでにちょっとした名物となっていた。

 緩んだ雰囲気を戻すように茶柱は呼びかけ、テストがスタートする。

 

 

 

 side:水無瀬

 

 種がわかってからは余りにも露骨で思わず笑ってしまったが、池に擦り付けることで生き延びることができた……

 

 まあそれはさておき問題に取り掛かる。一科目4問。計20問でそれぞれ5点の100点満点問題。

 その難度は受験で受けた問題よりも2段階ほど低い。まあお遊びみたいなものだね。

 

 ……さて、おっと……これは随分と難しい問題じゃないか、最後の3問だけレベチだ。

 ふむ。それぞれが高校1年で解けるような問題じゃないし、最後の数学に関しては入試のアレよりも大分意地が悪い問題になっているね。

 入試で満点を取られたのがそんなに悔しいのかな? よし、いいだろう。この小テストに対しても100点を取ってやろうじゃないか。

 

 

 

 そういって最後の3問を諦める者も多い中、水無瀬はギリギリまで諦めずに解き終えた

 

 

 

 ──昼休み──

 

「水無瀬、今日の昼ごはん食べるとき堀北も混ざっていい?」

 

「いいけど……彼女にちゃんと許可を取ったのかい?」

 

「取っていないわよ。まあ別に一緒に昼食を食べる位。減るものでもないし」

 

 上から順に綾小路、水無瀬、堀北が話す。

 どうやらこの3週間で二人は理由もなく昼食を一緒に食べる位には仲良くなったらしい

 

「随分と仲良くなれたみたいだね。清楓ちゃんの幼馴染としても嬉しい限りだ」

 

「……彼女は時々暴走するけど基本はこちらのやりたい事を尊重してくれるの。そこは高く評価できるわ」

 

「『押しつけがましい愛はゴミだ! (意訳)』って水無瀬が言ってたから。私はそれに従っているだけ」

 

 3人は机をくっつけて席に座り、弁当を開く。

 

「……そう。でその弁当は誰が作ってるの? どうせあなた達同じのを食べてるんでしょう?」

 

「水無瀬が作ってる。水無瀬の弁当は一品。冷めても美味しいし、栄養バランス等の配慮が素晴らしい……その反面怒らせるともれなく大量のピーマンが付属する。いじわる」

「今日は野菜の特売日だったね。大量のピーマンを買ってこようか?」

「ごめんなさい……」

 

「……もう本当に親と子供みたいね」

 

 

 

 ──昼食後──

 

「水無瀬、ちょっと来てくれないか?」

 

「……どうしたんだい柄にもなく真剣な目をして?」

 

 いつもはお調子者の池がいやに深刻な様子で水無瀬に話しかけた。

 その様子に驚いた水無瀬は彼についていく。

 

「お前は俺の友だ。正直に言えば許してやるぞ?」

 

「……ごめんどういう事かな?」

 

 水無瀬ににじり寄り問う池。

 いつの間にか山内と須藤もその場にいて、彼を怪しむ目で見ていた。

 

「……綾小路のことについては良い。元からカレカノだったんだろ?」

 

「……ん? ん?」

 

 困惑する水無瀬。

 怒りに震えるように池は続ける。

 

「だが二股はさすがに見過ごせねえよなあ!? さあ吐け水無瀬! お前の間違いは友である俺が正してやる!」

 

「ああ、お前は俺の友人でバスケ仲間だ。お前を見捨てたりはしない」

 

「俺は別にそんなだけどねー」

 

 上から池、須藤、山内、が諭すように問いかける。……おい最後

 

 一体何事かと他クラスの生徒も含めて大勢が集まってくる。

 

「お? なんだなんだ? 修羅場か? ってまた水無瀬じゃん! 今度はどしたのお前?」

 

 前回の騒動の時に仲良くなったBクラスの柴田が面白おかしく問いかける。

 

 池も水無瀬も他クラスとの交流が多い人物である。そんな2人が何やら喧嘩しているような様子だったのでそこには一瞬で人だかりができた。

 

「なになにー? 喧嘩? って水無瀬君じゃん!」

「……一之瀬。どうやらお取込み中のようだ。クラスに戻るぞ」

「何でしょうか騒々しい……って水無瀬君?」

「……水無瀬ってあんたが言ってたあの水無瀬?」

「ええ、ふふふ。随分と焦っているように思えます。神室さん、端末のカメラを」

「趣味悪いわよ……あんた」

「ククク……なんだ喧嘩か?」

 

 後に争いあう事となる各クラスの代表者たちが大集合である。

 

「ちょっ、ちょちょいったん落ち着いてくれないかい池君? どういう事なんだ?」

 

 あくまでも知らないという態度の水無瀬にしびれを切らしたのか大声で言い放つ

 

 

 

「────だから! お前綾小路と付き合ってる中お前堀北とも付き合ってんだろ!? ────」

 

 

 

 空気が凍った。

 

「ッチ、なんだよただの修羅場かよ。つまんねえな」

「……え? 水無瀬君が二股?」

「落ち着け一之瀬、あれは恐らく池が錯乱しているだけだ。水無瀬のあの顔を見ろ、怒りと呆れと困惑が混じって酷いことになってる」

「……ほんとだ。ふふ、かっこいい顔が台無しになってる」

「……坂柳? ……大丈夫坂柳?」

 

「どういう事でしょうか? 水無瀬君? 説明してください、私を差し置いて綾小路さんと付き合っているという事実は本当でしょうか?」

 

「有栖ちゃん!? ちょマジで」

 

「あ! 寮の部屋の子だ! 覚えてる? 俺の名前は山うt「一旦黙ってもらえますか?」はい……」

 

「で? 説明してくれるんですよね? 皆気になっていますが? まさかDクラスの人気者である水無瀬君がお付き合い、さらには二股しているなんて冗談ですよね?」

 

 

 

 ──説明後──

 

 

 

「ということは綾小路さんと付き合っている事も堀北さんという生徒と付き合っているということも全てはそこの彼、池君と山内君の大きな勘違いってことなんですね?」

 

「ああ、そうだよ有栖ちゃん」

 

「……全く。とんだお騒がせでした。行きましょう神室さん」

「あっ、ちょっと……!」

「やっぱり神崎君の言うとおりだったね?」

「ああ、流石に綾小路と付き合っていないという情報は初耳だったがな」

「確かにそれ意外かもー!」

 

 騒がしかったオーディエンス達は蜘蛛の子を散らすように居なくなった。

 

「……何か言いたいことはあるかい?」

 

 にこにこと語り掛ける水無瀬。しかしその目は笑っていなかった。

 

「もともとは山内が言い出したんだよ! 水無瀬が女で遊んでるって!」

 

「だってしょうがないだろ! 学校から帰ってきた後さっきの子と綾小路と3人で玄関で抱き合っていたんだって!」

 

「そんな話誰も信じてなかっただろ!? 大体お前から言えばよかったじゃねえかよ! それに…………」

 

「……済まねえ……信じた俺がバカだった……」

 

 醜い言い争いを続ける2人に対して須藤は借りてきた猫のように大人しくなっている。

 

「二人とも?」「「はっ、はい!」」

 

「悪いことをしたらまずはなんていうんだっけ?」

 

「「……ごめんなさい」」

 

「……全く。次からはちゃんと確認を取るなりしてくれよ? 聞かれれば僕だって別にきちんと答えるさ……しょうがない、今回だけだよ?」

 

「「「すみませんでした」」」

 

「よろしい」

 

 

 

 ────めでたしめでたし────

 

 少しして3人は教室へ戻る。

 

「あー櫛田ちゃんと付き合いてー。つか、エッチしてー!」

 

「ばっかお前が櫛田ちゃんと付き合えるかよ! 想像するのも禁止だ!」

 

「お前こそ付き合え…………」

 

「何だと! こっちはコスプ…………」

 

 さっきと同じようにくだらない言い合いを続ける2人。

 

「……ホントに反省してんのかい君たちは?」

 

 彼がこう思うのも無理はないだろう。

 

 

 

 

 

 

 ────5月1日(朝)────

 

「やはり読みは確実、振り込まれるポイントも少しではありますが減っています」

 

「まあそうだろうねえ。清楓ちゃん。そっちはどんな感じだい?」

 

「ん、1ポイントも振り込まれていない」

 

 彼女の示す端末の数字は、4月最後の夜から変わっていなかった。

 

「恐らく今日これについての説明が行われるでしょう」

 

「ああ、そうだね。そして始まるよ。()()()()()()()()()()()()がね」

 

 

 

 




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