大体5000文字で3時間くらいかかるので、はーいよーいスタート
あ、あとちょっとエッチな描写があるかもしれません。まずかったら修正します。
「ほら。早く帰ろう? 水無瀬!」
そう言って早足で先を行く綾小路。
水無瀬は唇に感じた感覚が記憶に残って消えなかった。
呆けた顔で唇を触り、その感触を思い出しながらその後を追う水無瀬。
「(清楓ちゃん。ほんとに君は……)……全く……これは1本取られたな。こりぁ私より先に行ってしまうもそう遠くはないかもな……」
どこか懐かしそうに語る水無瀬だったが。その顔はどこか希望に満ちて見えた。
「清楓ちゃん」
「ん?」
「ありがとう」
「……ふふふ。それはこっちのセリフ。……ねえ水無瀬、私はあなたに出会えて本当に幸せなの。あなたがいなかったら私はあの白い部屋で父の傀儡として多分その人生を過ごしていた。そして人として当たり前の幸福を感じられずに、そのまま死んで行ったんだと思う。……私は多分あなたの愛を知ってから弱くなってしまった。人の温かさを知ってしまったから。でも私はそれを後悔していない。私はあなたに人肌の温もりは、けっして悪いものでもないという事を教えて貰えた」
「私は今幸せ。それは水無瀬、あなたが私に愛を教えてくれたから。私は成長できた」
「……だからあれは私のほんの些細なお返し……迷惑だった?」
不安そうにこちらを見つめる綾小路。
その視線を受け、覚悟を決めたように強く足を踏み出す。
そしてその柔らかい頬に手を添えて水無瀬は言う。
「……覚悟は決めた。私は君をもう手放すつもりは無い……もう私から離れられると思わない方がいい」
「え? 水無瀬何をんん!?」
今度はお返しというように彼女にキスをする水無瀬。そのキスは力強く。絶対に、二度と話さないという固い意思のようなものであった。
一体それから何秒経ったのか? 離れた両者の唇からは白い糸がたらりと垂れていた。
腰が抜けたのか上の空で地面に座り込む綾小路。
彼女に対して水無瀬はしゃがみこんで彼女を抱き寄せ、耳元でもう一度語る。
「いいかい? 君が悪いんだ。君があんまりにも愛らしいから、私は君が本当に欲しくなってしまった。今から君は私のモノだ。いいね? ……まぁ、だからなんて言うか……その、これからもよろしく頼むよ」
真面目な表情からいってん苦笑いで語る水無瀬。
締まらない男である。こちらも大概動揺していた。
その言葉を聞いた綾小路は、頬を赤らめ涙目になりながらこう語る。
「……元から私はあなたのもの。私は今までもこれからも変わらずあなたを愛する」
だが続けて抗議する綾小路。
「たださっきのキスはずるいと思う……舌を入れてくるなんて反則、今までした事ないくせにそういう所まで優秀さを示さなくて良い。おかげで私は腰が抜けてしまった。もう暫く立てない」
下腹部に感じた疼きについては何も語らない綾小路だった。
「……参ったな。じゃあ私がおんぶしていこう」
それを聞いておもむろに背を向ける水無瀬。
いつもなら喜んで行くであろうに渋い顔をする綾小路。
「……おんぶはダメ、抱っこして。多分今抱っこしたら水無瀬の制服が汚れてしまう……」
「えっ……」
その言葉と恥ずかしそうにもじもじと語る様子で察してしまう水無瀬、無駄に勘のいい男である。彼が自分の勘の良さを呪ったのは、生まれて初めての事だった。
「……」
「……」
気まずい沈黙が両者の間で流れる。
先にそれを破ったのは水無瀬であった。
「……しょうがない、荷物を持ってくれ。僕は君を抱っこして寮まで運ぶとしよう」
そう言ってお姫様抱っこで彼女を運ぶ水無瀬。行き先は言葉の通り寮の方向だった。
心の中でナニを期待していたのかは分からないが、綾小路は不満そうに呟く。
「……いくじなし……本で読んだけどこういう時男は草むらに連れて行って『野外ぷれい』なるものをすると書いてあった。私は何時でも水無瀬のおっきいモノを受け入れる準備は出来ている」
至近距離で彼の顔を見ていた彼女は、水無瀬の動揺がハッキリと見て取れた。
「おいそれ絶対薄い本だろお前。それとなんで私のモノの大きさを知っている!? 内容によっては僕は学校に部屋変えを申請する!」
彼の口調が崩れている時はかなり動揺している証だと綾小路は証明しただろう。
「……寝ている時の水無瀬の股を触って計測した、安心して。通常時と勃起時の平均拡大率を元に計算すれば、水無瀬のソレは優に日本人の平均を遥かに超える」
「ふっざけんなマジで……それに余計なお世話だよ! ……はぁー全く……いったん君も僕も落ち着いた方がいい。ほら、行くよ」
そう言って彼女を抱きかかえる。
「あっ、戻った」
「ん? 何がだい?」
「口調、昔約束した。自分のこと私って呼ばない事」
「あー……感情的になると戻ってしまうみたいだね、なるべく気をつけるよ」
「うん……それはそれとして、早く帰ろう。周りに見られてる」
「そうだね……この一週間だけでも数々の噂がたってしまった。また来週から忙しくなるぞ……」
前回山内によって広められた情報は人伝に1年生中に広まり、噂の男女を一目見ようとそれぞれの教室を訪れる者も多かった。
最終的に功を奏したのか、他クラスとの交流も広まったが、めんどくさい事には変わらないため、勘弁して欲しいと思う水無瀬だった。
それからまた少しして寮へ向かう2人。綾小路に関しては自分の部屋があるが荷物を持ち出したきり1度も入っていないのだから驚きである。
「もうここの生活にも慣れてしまった……所でどうして2人だけここの大きい部屋に住めたの?」
当たり前の疑問である。平等を掲げる学校にしてはあまりにもそれに噛み合っていない現状だった。
「先輩たちから教えてもらった情報によると、元々ここはポイントを貯めた上級生が一定の額を払って部屋をアップグレードさせるための物だったらしい。坂柳理事長が入学式当日に有栖ちゃんに頼まれて無理やりここに入れたらしい。元々の僕の部屋を解約させた代わりとしてね」
「じゃあ私の使っていない部屋も解約すればもっと大きい部屋に住める?」
「うーん、厳しいと思うよ。有栖ちゃんが入学後に1人部屋であると身体的に不都合が生じるからって訴えた体にして、元々一緒に住んでた僕との同居を特例で許可させたらしいからね……目的のためなら自分の病気をも使ってくその積極さは彼女のいいところだね」
うんうんと水無瀬は語る。
「そうなんだ……残念。水無瀬と一緒に住んでるって言いたかった」
男女が学校の寮で同棲するなんて公的には認められないだろうと気落ちする綾小路。
それを見て励ますように語る水無瀬。
「何を言ってるんだ。さっきも言っていた通り部屋をポイントを使ってアップグレードすればいい。見た感じシェアハウスもできるみたいだしね。ふむ……僕らが買える限りの部屋で最も大きいのは……これここの従業員用の部屋じゃないか。一括払い3年契約で4LDK、200万ポイント。随分と破格だね、恐らく空き部屋なんだろう、これ以上従業員が増える予定もないだろうし投げ売りしているかな? これを買おっか。なるべく早くポイントを集めないとね」
続けて優しく語りかける水無瀬
「そしたら3人で暮らそっか? 清楓ちゃん?」
その言葉に嬉しさを隠せない綾小路。そっぽを向いてこう話す。
「……本当は2人がいいけど、坂柳が可哀想だから我慢する」
「そんなこと言って随分と仲が良さそうだけどね。この前やってたチェス、楽しそうだったじゃないか」
「今のところ5勝5敗。チェスは先手が有利。一生決着がつかない……来週水無瀬にお弁当を作る権利を賭けて勝負してた」
「またくだらないことを……よし、着いたね。立てるかい? 清楓ちゃん」
なんとずっとお姫様抱っこの状態で会話をしていた。傍から見ていた人からすればただのバカップルである。
「ん……ありがとう」
「ああ。ただいまー!」
そう言って帰宅する2人。
それをソファに座って端末を見ていた坂柳が答える。
「……おかえりなさい」
どこか様子がおかしい坂柳。
それを見た2人は心配そうに尋ねる。
「あれ、有栖ちゃん具合でも悪いのかい?」
「いいえ、お気になさらず……今日は多く外に出て疲れているだけなので」
「……そうか、分かった。今日はチャットで送った通り焼肉だよ。食べやすいように脂身の少ない部位も買ってきたから、これを食べて体調整えようか。ほら、早く着替えてきなさい。臭いが着いたら大変だ」
そう言って準備に取り掛かる3人。
和気あいあいとした雰囲気の食事だったが、皆それぞれいつもと様子が違って見えた。
時が経ち寝る支度を整え就寝する3人。
前回ソファで寝た水瀬は、前回買った布団を敷いて眠りについていた。
「(……何だ?)」
布団に入って少しした後眠っていた水無瀬は違和感に気づいて目が覚める。
ぼんやりとした視界の中、至近距離で目が合う。よく見たら坂柳だった。
よく見たら両手も指を絡めて繋がれていた。焦りもある中水無瀬はこうも思ってた。
「(……明日言おうと思っていたが、大分情報が伝わるのが早いみたいだね……)」
いつになくしおらしい態度で坂柳は呟いた。
「8年前……私はあの白い部屋であなたにチェスを教わってからずっとあなたに恋焦がれて来ました。それを自覚したのは割と最近でしたが、どうやら私は存外チョロい女だったのかもしれません」
小さくボソボソと語る坂柳、その目には小さな涙が浮かび上がっていた。
「私は沢山我慢してきたつもりでした……彼女があなたに会えない中抜けがけするのは良くないと思いまして。そしてここで決着をつけ、あなたの隣に並ぼうと思っていました。私は……私にはその資格はないのでしょうか?」
「有栖ちゃん……それは「聞きたくありません」……」
「言葉ではどうとでも言えます。態度で示してください……その……綾小路さんにやったのと同じように。あなた達の雰囲気でまだ交際していないのは分かっています。付き合っていないのであれば特に問題はありませんよね?」
そう言って2人の鼻が付く距離で目をつぶった坂柳。
彼女の白くサラリとした頬は、赤く色づいていた。
覚悟を決めた水無瀬はその小さな唇にそっと口付けをする。
目を開けた坂柳。そこには先程の表情とは真逆で、してやったりと言った表情で水無瀬に告げる
「ふふふ……やはり優しいのですね? 水無瀬」
その代わり用を見たら嘘泣きであったことは容易に見て取れる。
「私はあなたを諦めたつもりはございません。先手は譲りましたが、いつか彼女に勝って、必ずあなたを愛する権利をいただきます」
そう言って名残惜しそうに布団から出ていく坂柳。
それを止めたのは水無瀬だった。
彼女の小さな体を優しく包み、サラサラとした頭を撫でながら彼は告げる。
「ごめんね……有栖ちゃん。言い訳はしないさ……ただ1つ、一つだけ見逃せない事がある……人を愛することに権利なんて要らないんだよ、有栖ちゃん。ありがとう。私は君を愛してる、君は僕の大事な愛する人なんだ。でも一方通行の愛は寂しいよ、だから君も僕を愛して欲しい。どうか僕のワガママを聞いてくれ」
そう言って強く抱きしめる水無瀬。
坂柳は彼の胸に顔を伏せ、小さく震えていた。
続けて水無瀬は穏やかに語る。
「今日は一緒に寝よっか。君が眠る時まで頭を撫でてあげよう。好きだっただろ? 撫でられるの」
少し時間を置いて、しゃくりあげながら彼女は語る。
水無瀬は胸に濡れた感触を感じながら、彼女を撫で続ける。
「……ずるいです。これじゃあ私がバカみたいじゃないですか。意気地無し、童貞、女たらし」
「童貞は関係ないだろ、全く……」
そう言って彼女の頬を両手でそっと支え、こちらを向かせる、こちらをむく彼女の目元は確かに赤く腫れていて、その頬には一対の涙が落ちていた。
その涙を親指で払った水無瀬はこう囁く。
「────愛してるよ有栖ちゃん。次は君から来てくれると嬉しいな────」
それは偶然にも彼が綾小路にしたものと同じ、強く、絶対に離さないという意思が込められたキスだった。
油断していたのであろう。一瞬にて口内を蹂躙する彼の舌に、坂柳は顔を真っ赤に染め、小さく喘ぐことしか出来なかった。
暫くして2人の唇が離れる。下にいた水無瀬の下唇に2人の唾液が垂れ落ちる。
それを見た坂柳はもう一度彼の頭に手を回しキスをする。それは、捕食者が獲物を捕えるかの如く強いものだった。
続けて坂柳は語る。
「……上の初めては彼女が綾小路さんのものです。それは認めましょう。なので私はもう1つの方を頂きます」
「えっ」
おもむろに小さい手を彼の服を脱がそうとする坂柳。
パジャマのボタンを外そうとする彼女に水無瀬は焦りながら話す。
「ちょ、ちょちょ落ち着いて有栖ちゃん。君は今冷静さを失おうとしている!」
「私は至って正常です。強いて言うなら今下腹部に疼きを感じているせいで思考能力が低下していますが」
「それを言っているんだ私は! 君は今性的興奮のせいでおかしくなっている!」
「何を言うと思えば、私がそんなに破廉恥な真似をするとでも? というかもしそうだったとしても私は悪くありません。こんな体にした責任を取って大人しく私に初めてを捧げてください」
「バスの中で言ってたことそのまま君にお返しするよ! いいから服を脱がす手を止めるんだ! 成り行きに任せては行けない! 第一子供が出来たらどうするんだ!?」
「産みます、きっとあなたと私の子なら優秀でとても可愛い子が生まれてきます。そしてそう言って力で押さえつけてこないあたりあなたも望んでるのでしょう? 双方の同意があれば問題ないはずです」
「それは君の体を心配しているからだ! おい! ズボンを脱がすな! ほんとに取り返しがつかなくなるぞ!」
「水無瀬君──覚悟はいいですか? 私は出来てます──」
「清楓ちゃん! 起きてるなら助けに来てくれ!」
──パチン──
月明かりの差す部屋が唐突に明るくなる。そこには彼のパジャマのズボンを左手に、上着を右手に持った坂柳とジト目でこちらを見つめる綾小路の姿があった。
「坂柳の様子がおかしかったから、こうなるとは思ってた。坂柳、気持ちはわかるけど今は抑えて」
「……気付かれていましたか」
「友だちがあんな様子なのに見過ごせるほど私は冷たくなれない、今回に関しては水無瀬に任せた。私から言っても逆効果だから。水無瀬は意気地無しで女の敵。私たちは厄介な男に惚れてしまった。彼を落とすには根気が必要」
「そうですか……分かりました……私はトイレに行って寝ます」
「声は抑えた方がいい。防音はばっちりだけど、聞こえてくると気まずくてしょうがないから」
「……余計なお世話です。おやすみなさい。2人とも」
そう言って震える足で歩き出す坂柳。
それを見て水無瀬は力なく語る。
「助かったよ、清楓ちゃん……」
「節操なしに女に手を出すとこうなる。次やるなら受け入れる覚悟とコンドームを用意して」
「……分かったよ、今回に関しては完全に僕が悪い」
「いや、そうは言ってない。あれをしなかったら坂柳が可哀想だった。これを見て」
そういって坂柳の端末を見せる綾小路、そこには在校生のコミュニティ掲示板の画面が映っていて、そこには一枚の写真と箇条書きの短い文章が記載されていた。
「……『夕陽を背に熱いキスを交わす美男美女(写真付き)』ふざけんなよ……肖像権もへったくれもないじゃないか……」
「これを見たらああなるのも分かる。あれで貴方からキスしなかったら坂柳は落ち込む。最初に泣いてたのも泣いていたこと自体は多分ホント、嘘泣きじゃない」
「見ていたのか……まぁなんにせよありがとう清楓ちゃん」
「ん、またカラオケ行ってくれるなら許す。おやすみ、水無瀬」
「ああ、おやすみ」
そこから坂柳が戻ってきたのは10分後の事だった。
一言謝ろうと待っていた水無瀬だったが、彼女は彼の布団に入り込む。
「有栖ちゃん……その」
「謝罪はいいですよ……その、嬉しかったですし」
「そっか」
「それより一緒に寝てください。あの言葉は嘘じゃないですよね? ……謝る気持ちがあるなら、朝までずっと撫でてください」
「……ああ、満足いくまで撫でてあげるよ、お嬢様」
そう言って電気を消して布団に入り、彼女を抱きしめる水無瀬。
「……水瀬君のいい匂いがします……私臭くないですよね? 一応ちゃんと洗ってきたのですが……」
「ううん、大丈夫。綺麗な香りがするよ。僕が好きな香りだ。前と同じシャンプーを使ってるんだろう? あれ結構な値段するだろうに」
「4年前にあなたに選んでもらってからずっと同じのを使ってます。それと、さも私だけが撫でられるのが好きと言われるのは心外です……あなただって私の髪を撫でるのが好きと言ってくれたでしょう? 忘れてしまいました?」
「覚えてるよ。もちろん。そして今も大好きさ」
「さっき私を受け入れておけば一生撫でられたかもしれないのに……」
「……そんなのに甘んじてないで僕は君が離れないように努力するさ。僕は一生君を愛するつもりだよ」
「……筋金入りのバカです。貴方は」
「そりゃどーも」
────それから昔の事やこれからの事を楽しげに語る2人。その会話は止まることなく、そして彼の撫でる手は、朝まで1度も止まらなかったらしいが、それはまた別のお話────
割とスマホでもそんなに変わんないかもしれません。
この話が詰まらずにスラスラかけたのも要因の一つでしょうが
結構頑張って書いたので、もし良いと思ったら高評価感想よろしくお願いします!
皆がこの小説に求める要素
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綾小路や坂柳とのイチャイチャ
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上記以外のヒロインの追加
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恋愛要素以外の日常パート
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本編を早く進めること
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その他(感想で書いて頂けると助かります)