大型肉食恐竜のイメージ図(山本匠氏制作、福井県立恐竜博物館提供)

築地さんが発見した恐竜の足跡化石(白山市提供)

 ●19年ぶり

 白山市尾口地区の約1億3千万年前(白亜紀前期)の地層「手取層群桑島層」から大型の肉食恐竜とみられる足跡化石1点が発見された。同市が5日発表した。足跡は長さ41・2センチ、幅33・5センチで、これまで石川県内で確認された恐竜の足跡化石の中では最も大きい。全長7・4メートルの恐竜だったと推定され、当時の生息域や環境を調べる上で貴重な資料となるとしている。

 化石は2019年10月、尾口地区目附谷(めっこだに)で発見された。白山市内で恐竜の足跡化石が見つかるのは19年ぶり。

 ●福井博物館の築地さん発見

 足跡化石は3本指でそれぞれの指が細長く、先端がとがっているなどの特徴から、獣脚類と呼ばれる二足歩行する肉食恐竜の右足とみられる。長さが25センチ以上あり、指の間の角度が狭いため、エウブロンテス科に属すると考えられるという。発見した福井県立恐竜博物館の築地祐太主事(30)が白山市役所で会見し、恐竜の種類は特定できていないとした上で、イメージ図を公開した。

 築地さんは、白山市手取層群化石調査団と合同で現地調査し、桑島化石壁から東に6・5キロの地点で露出する岩に残る足跡化石を発見した。

 目附谷では2000年にも大型肉食恐竜の足跡化石3点が発見されており、今回の発見場所はその場所から直線距離で400メートル離れており、地層は100メートル深かった。調査に同行した大野市教委の酒井佑輔主任学芸員(33)は「今回の足跡化石が見つかった地層の方が古い」と説明。年代が異なるため、同じ恐竜の個体ではないという。

 国内の肉食恐竜の足跡化石の中でも大きな部類に入るとし、築地さんは「白山市で大型の肉食恐竜の骨の化石が見つかる可能性もある」と指摘。会見には山田憲昭市長も同席して白山手取川ジオパークのユネスコ世界認定への弾みになることを期待した。

 国立科学博物館の真鍋真副館長は「この足跡化石をつけた恐竜は、どのような大型獣脚類だったのか、突き止めることは日本だけでなく北半球の恐竜進化の研究の上でも重要だ」とコメントした。

 市は23日から1カ月、同市桑島の白山恐竜パーク白峰で足跡化石の実物大パネルや過去に見つかった化石の標本などを展示する。

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