北海道でチーズ職人として奮闘する勝長玲美さん(29)へ、千葉県で暮らす母の想いを届ける。1年前、かつては炭鉱町として栄えたものの今やゴーストタウンと化した空知郡上砂川町に工房を構えた玲美さん。たった1人で、日本ではあまりなじみのない、強烈な匂いと濃厚な味が特徴の「ウォッシュチーズ」を作っている。フランスへの留学をきっかけに酪農に魅せられ、「ヤギのチーズを作りたい」と決意した玲美さんは、帰国後に十勝の牧場で修業。さらに、独立してヤギが飼える場所を求め、北海道内の市町村に片っ端から問い合わせた。こうして出会ったのが、炭鉱で働く人が住んでいた上砂川町の廃団地群。玲美さんしか出入りする人がいない場所でウォッシュチーズを作りながら、いずれ周辺でヤギを放牧する計画を立てている。実は玲美さんがヤギを飼う夢を叶えたいのには、チーズを作るための他にもう一つ理由があった。北海道で夢の実現に向けて歩み始めた娘へ、母が届ける想いとは。