ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「モハメド・アリ」の解説
モハメド・アリ
Muhammad Ali
[没]2016.6.3. アリゾナ,スコッツデール
アメリカ合衆国のプロボクサー,社会運動家。本名 Cassius Marcellus Clay, Jr.。人種差別の強い南部で育ち,12歳のときボクシングを始める。1960年ローマ・オリンピック競技大会のライトヘビー級で金メダルを獲得し,その後プロに転向。1964年ソニー・リストンに勝利して世界ヘビー級チャンピオンとなった。その後,アフリカ系アメリカ人のイスラム運動組織ネーション・オブ・イスラムの信徒であることを公表,リング名をムスリム名(→ムスリム)に改名。1967年にはベトナム戦争への徴兵を拒否したことで 9回防衛したタイトルを剥奪され,裁判でも有罪の判決がくだされたが,4年後に無罪となった。1974年ジョージ・フォアマンからタイトルを奪回し,1978年にレオン・スピンクスに敗れるまで通算 19回防衛。同 1978年スピンクスを破り,史上初 2度の王座返り咲きを果たした。1979年チャンピオンのまま引退。1980年復帰してラリー・ホームズの王座に挑んだが失敗し,1981年に再び引退。自身を評した「チョウのように舞い,ハチのように刺す」ということばは,モハメド・アリのボクシングスタイルを形容する語として知られる。引退後,パーキンソン症候群を患い,長年闘病した。1996年アトランタ・オリンピック競技大会ではオリンピック聖火の点火役を務めた。通算成績は 61戦 56勝(37KO)5敗。
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