県民割からブロック割に拡大、「第7波来る前に」観光業者ら効果期待…秩父では予約1・5倍
2022年04月04日 13時50分 読売新聞
2022年04月04日 13時50分 読売新聞
2022年04月04日 07時42分 読売新聞
新型コロナウイルスの経済対策として旅行費などを割り引く「県民割」で、これまで居住する県内や隣接県に限られていた対象エリアが、1日から北海道・東北、関東といった「地域ブロック」に拡大された。28日の宿泊分まで、1人1泊最大7000円分が支給される。新型コロナの感染拡大で落ち込んだ観光産業の活性化が期待されている。ただ、感染が収束していないことから、現時点で適用に慎重な自治体もある。
県民割は、感染拡大を受けて2020年末から停止している全国規模の「Go To トラベル」の代替策として、昨年4月に導入された。旅行者1人1泊につき旅行代の半額(上限5000円)と、飲食店などで使えるクーポン(上限2000円)を付与する。各都道府県が国からの補助金を受けて運用する。
観光庁は先月25日、県民割の拡大を発表。全国を6地域のブロックに分け、出発地(居住地)と到着地(宿泊地)の都道府県同士の同意を条件に、各ブロック内の旅行を補助対象とすることにした。旅行者が利用するにはワクチンの3回接種か、検査での陰性の証明が必要になる。
県民割拡大の効果に大きな期待を寄せているのが山梨県だ。観光客の約7割は、東京や神奈川など関東圏からが占める。観光庁の発表を受け、県は3月末までに関東ブロックの茨城、群馬、埼玉、千葉、長野、神奈川の各県と適用で同意した。
県の担当者は「第7波が来る前に一日も無駄にできないと考え、4月1日のスタートに間に合わせた」と話す。
埼玉県は最大7000円分の支給に加え、全国どこからの旅行者でも指定施設に宿泊すれば、1泊で最大3000円分のクーポン券を贈る独自策も用意する。秩父市の旅館「ゆの宿 和どう」では、割引適用の予約が始まった1日朝から電話が相次ぎ、担当者によると「4月の予約は3月の1・5倍ほどになった」という。川越市の「蔵造りの町並み」にも2日、多くの観光客の姿が見られた。
■東京や青森 適用見送り
一方、青森県は3日現在、県民、県外住民のいずれにも県民割の適用を見送っている。10日を期限に独自の新型コロナウイルス感染対策を実施しているためだ。同県では3月29日までの1週間で人口10万人あたりの新規感染者数が284人と、全国平均(240人)を上回った。青森市の酸ヶ湯(すかゆ)温泉の大西卓爾・宿泊係長(54)は「感染状況を踏まえれば仕方がない」と、県の判断に理解を示す。
東京都も、国のGoTo事業と足並みをそろえるとして、停止中の旅行代金補助事業「もっと東京」(都民割)を当面再開しない考えだ。都内の新規感染者は「まん延防止等重点措置」の解除後、じわじわと増えてきている。都の担当者は「感染状況を考えると、再開に踏み切るのはなかなか難しい」と語る。
山梨県富士河口湖町のホテル「四季の宿 富士山」の山下茂社長(78)は「県内への観光客が多い東京都が適用してくれれば、ありがたいのだが」と話している。
コメント0件