ロシア制裁「適切だ」44%「強化を」41% 本社世論調査
日本経済新聞社の25~27日の世論調査でウクライナ情勢に関して聞いた。日本政府によるロシアへの経済制裁について「適切だ」との回答は44%で「さらに強めるべきだ」は41%だった。合計すると85%に上る。「厳しすぎる」は7%にとどまった。
日本は米欧と歩調を合わせて半導体の輸出制限やロシア政府関係者の資産凍結に踏み切った。ロシアの一部銀行を国際決済網から排除する米欧の方針も支持した。
避難民受け入れ「賛成」90%
ウクライナから避難する人を日本に受け入れる方針に関しては「賛成だ」が90%で「反対だ」の4%に大差をつけた。自民党支持層も野党支持層も「賛成だ」が92%だった。
ロシアは日本の制裁に反発しており、北方領土を含む日本との平和条約交渉を打ち切ると表明した。経済協力をテコに平和条約交渉の前進をめざしてきた安倍政権以降の方針への考え方を聞くと「撤回して新たな戦略を練るべきだ」が52%と過半を占めた。
「堅持して交渉再開をめざすべきだ」の37%を15ポイント上回った。近年はロシアとの交渉は停滞しており、前進機運も薄れていた。ウクライナ侵攻で経済協力もしにくく、方針の維持は難しい状況だ。
岸田文雄首相は24日、ロシアの表明を巡り「ひるむことなく断固とした対応をとる」と主要7カ国首脳に説明したことを記者団に明かした。ロシアによる侵攻後、北方領土について使うのを控えてきた「不法占拠」という表現を復活させている。
自民党支持層は交渉方針の「撤回」が57%、「堅持」が34%だった。野党支持層はそれぞれ62%と33%だった。
台湾への波及「懸念」77%
国際社会がロシアによる侵攻や国境変更を止められない場合、中国による台湾への武力行使に波及するのを「懸念する」との回答は77%だった。侵攻開始直後に実施した2月の調査と同水準だった。
ロシア軍は侵攻から1カ月経ても首都キエフを制圧できていない。米欧から武器供与などの支援を受けるウクライナ軍が抗戦しており、制裁でロシア経済にも影響が出始めている。
米欧は「力による現状変更」は高い代償を伴うとの認識を国際社会に植え付ける狙いだ。直接の軍事介入を避けつつもウクライナ支援に注力するのは中国を念頭に置いた対応でもある。
その成否はロシアのウクライナ侵攻がどのような結末を迎えるかに左右される。
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(更新)- 細谷雄一慶應義塾大学法学部 教授ひとこと解説
とても健全な世論調査結果で安堵しています。SNSでは、ロシアを擁護したり、ゼレンスキー大統領を「ネオナチ」と批判したり、ロシアの武力攻撃でこれだけ多くの無実の一般市民が殺戮されているにも拘わらず、冷たいコメントが溢れていましたが、世論調査では対ロシア制裁が「適切だ」と「さらに強めるべきだ」が85%と、とても高い数字になっています。これは、日本国民の多くが、国際社会の動向と符合して、ロシアの行動を厳しく批判している結果であり、適切な情報に接している成果だと思います。フェイクニュースが溢れる中で、日本では依然として良質な報道が残っており、民主主義が健全である証左だと思います。
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