生産管理システム導入のメリットとパッケージ製品13選を解説
2022年02月25日
生産管理ERPサプライチェーン効果的な生産管理を行うためには、部門間の連携と俯瞰的な視点が欠かせません。従来のように部署・担当ごとに表計算シートを手入力し、人手を介して統合を図ろうとするやり方では、効率のよい連携や全体最適化は達成困難です。それに代わる管理方法として多くの企業で導入されているのが生産管理システムです。
近年では企業規模によらず容易に導入することが可能なシステムが登場しています。この記事では生産管理システムのメリットと導入時の留意点をまとめ、おすすめのシステムパッケージを紹介していきます。
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生産管理システムを導入するメリットとは
生産管理システムの概要を紹介しながら導入のメリットを解説します。
生産に関する情報を一元的に把握・管理
生産管理の目標は、顧客のニーズ(納期や品質)にできる限り応えつつ、コスト(在庫や原価)をなるべく低く抑えて生産を行えるようにすることです。そのためには生産に関係する情報を網羅的に把握し、さまざまな角度から俯瞰的にトレードオフを検討することが必要です。
生産管理システムでは、在庫、納期、進捗状況などの情報を一元的に把握してリアルタイムに一覧化・可視化することができます。これにより、生産計画、受発注、原価管理などの各業務をつねに全体と関連付けながら遂行することが容易になり、業務のムダ・遅延や在庫の不足・過剰などを防いで全体的な最適化を図ることが可能となります。
生産管理システムの主な機能
生産管理システムにはさまざまな業務を自動化・効率化する機能が搭載されており、相互の連携にも配慮されています。ここでは主要機能の概要を紹介します。
生産計画
リアルタイムに更新される受注情報や在庫データをいろいろな視点で一覧化しながら、管理画面上で効率よく生産計画を立てることが可能です。システムが自動で基準生産計画を作成する機能や、資材所要量計算(MRP処理)を高速で行う機能をもったパッケージもあります。
予定外の注文や飛び込み作業の影響をシミュレートしたり、需要を予測するなど、生産計画に先見性を持たせる機能も提供されています。
工程管理
保有工数・標準工数・負荷工数を統合的に把握して柔軟な負荷調整を行い、生産計画や受発注などと連動しながら効率よく工程指示を出すことが可能です。
進捗状況をリアルタイムに可視化する機能を利用すれば、適宜調整を加えたりボトルネックを特定することが容易になります。
販売・在庫管理
受注状況や納期変更などの情報を一括管理し、生産計画・在庫管理・購買管理と連動させたり、納期遅延に対してアラートを表示したりすることが可能です。
在庫は品目別、ロット別などさまざまな角度で管理し、照会を行うことができます。製品・仕掛品・部品を親子関係で紐付けして管理する機能などもあります。在庫情報を一元的に把握できるだけでなく、受発注などと連動して在庫引当・入出庫の処理が行えるため、適正在庫の維持が容易になります。
購買管理
内製・外注・購入の決定から発注、受入まで一元的に管理できます。在庫、所要量、部品表などのデータをリアルタイムに把握しながら購買処理を行えるため、ミス防止や業務効率化につながります。
過去の仕入履歴を集計して価格交渉に利用することも可能です。最安値の仕入先を自動的に選択する機能や、納期遵守率・誤納品率・加工品質などを集計する機能を備えたパッケージもあります。
原価管理
見積原価と実際の原価を集計して比較したり、生産段階で仕掛品の原価をリアルタイムに把握し、完成までに発生する原価を予測するといったことが可能です。予算や工程の見直し、設計変更のシミュレーションなどに活用できます。
品質管理
品質テストの要件定義や手順をシステムに登録してテストを効率化し、検査担当者の負担やミスを低減することが可能です。テスト結果は自動集計され、結果の分析に活かすことができます。
出荷・製品・部品別にロットの履歴をトレースする機能もあり、倉庫業務の精度向上や品質問題の発生ポイント特定に利用できます。
生産管理とERP
ERP(Enterprise Resources Planning)とは、企業の経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を統合的に把握しながら経営効率化・生産性向上を目指す管理手法のことです。近年ではERPをサポートするシステムソフトウェア(統合基幹情報システム)が発達し、そうしたシステムを指してERPと呼ぶこともあります。
現代のマーケットに対応するためにはERPの視点が重要です。生産に関する情報を生産管理システムで一元管理することにより、部門を横断した情報共有が促進され、統合的な経営戦略の中に生産管理を位置づけることが可能になります。
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生産管理システム導入に失敗しないためのチェックポイント
生産管理は複雑な業務であるため、生産管理システムを導入する際にはいくつかの点で慎重な考慮が求められます。主要なチェックポイントを取り上げて解説します。
業種、生産形態に合っているか
生産管理の項目や重点は業種や生産形態により異なるため、自社の業務と相性のいい生産管理システムを選ぶことが重要です。例えば、見込み生産か受注生産か、ロット生産か個別生産かといった基本的な生産方式の違いによりシステムに求められるものは大きく異なります。他にも大小さまざまなポイントがシステムの適性を左右します。
カスタマイズが可能か
現在提供されている生産管理システムは一般的に多機能ですが、パッケージそのままでは自社に十分にフィットせず、期待したような費用対効果が得られないという場合が多々あります。機能の細部やUIなどを自社の現場に合わせてカスタマイズできるかどうかも重要なチェックポイントです。
クラウド型かオンプレミス型か
クラウド型のサービスは、業者のサーバー上にあるシステムにインターネットを介してアクセスし機能を利用します。オンプレミス型の場合、導入企業が管理するサーバー上にソフトウェアをインストールしてシステムを構築します。
クラウド型は初期投資を抑えて短納期でシステムを導入でき、サーバーの維持管理も不要です。しかし常時インターネットを経由するためセキュリティ上の懸念があり、カスタマイズも限定的です。
オンプレミス型は導入コストが高いのが難点ですが、カスタマイズ性が高く、他のシステムとの連携も柔軟に行えます。セキュリティ面も自社で管理可能です。
解決したい課題、導入目的を明確に
生産管理はさまざまな要素からなる複雑なシステムで、各要素の要求が衝突しあうこともまれではありません。システム導入の目的を明確にしておかないと、総花的で中途半端な導入となってしまったり、コストばかりかさんで効果が上がらないという事態が起こりえます。
現状を精査し、解決すべき課題に優先順位をつけた上で、生産業務全体の向上を考えてシステムを導入する必要があります。
運用体制を整える
新しいシステムを定着させるには運用体制の整備が必要です。それには経営陣や導入責任者だけでなく現場も巻き込んだ取り組みが求められます。現場が導入に積極的になれるような計画を立て、現場に即した運用マニュアル・手順書の作成を目指しましょう。
生産管理システムのおすすめパッケージ13選を紹介
企業規模・業種・生産形態などに合わせてさまざまな生産管理システムが提供されています。おすすめのパッケージ13選を紹介します。
ORACLE NetSuite(生産管理機能)
【提供会社名】
日本オラクル株式会社
【費用】
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【特徴】
NetSuiteは財務・注文・生産・顧客関係管理などの各種システムからなる総合的なクラウド型管理システムソリューションです。グローバル企業向けのプラットフォームも提供されており、海外展開に強いのが特色です。海外拠点をつないだグローバルな生産管理をサポートし、需要予測などの分析機能も充実しています。
- 対応業種:製造業全般
- 対応企業規模:中小~大企業
【無料トライアル】
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GLOVIA smart PRONES
【提供会社名】
富士通株式会社
【費用】
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【特徴】
受注生産・見込生産・受注生産などの幅広い生産形態に対応し、かんばん方式・製番管理方式・MRP方式などの多彩な管理方式を提供する生産管理システムです。自動車、化学、食品、製薬などの業種ごとの製品も用意されています。多言語・多通貨に対応し、中国・アジア各地に販売・サポート拠点を展開しているのも特色です。
- 対応業種:組立・加工全般、自動車、化学、食品、製薬、コイル
- 対応企業規模:中堅企業
【無料トライアル】
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FutureStage製造業向け生産管理システム
【提供会社名】
株式会社日立システムズ
【費用】
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【特徴】
中小・中堅企業向けの生産管理システムです。製造業一般向けパッケージに加え、自動車部品製造など特定業種にフォーカスしたパッケージが提供されています。MRPによるスピーディーな生産計画策定が可能で、MRP対応の量産品と製番管理の試作品を同一システムで同時に管理可能です。ロットトレースにも対応しています。
- 対応業種:製造業全般、自動車部品製造、金属加工業、一般機械製造業
- 対応企業規模:おもに中小~中堅企業
【無料トライアル】
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iDempiere
【提供会社名】
オープンソース
【費用】
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【特徴】
オープンソースの生産管理システムです。全機能を無料で利用できますが、導入・運用はすべて自社で行わねばならず、十分に使いこなすにはある程度英語力も必要です。世界中に開発コミュニティがあり、ユーザー同士の交流やプラグイン開発が盛んです。自社に対応できる人材がいれば柔軟なシステムを低コストで構築可能です。
【無料トライアル】
すべて無料
infor CloudSuite™ Industrial (SyteLine)
【提供会社名】
インフォアジャパン株式会社
【費用】
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【特徴】
数十カ国でサービス展開されている生産管理システムです。組立生産・プロセス生産に幅広く対応しており、カスタマイズ性も高いツールです。自動車、産業機械、大規模機械に特化した製品も用意されています。ビジネスで標準化しているマイクロソフト社ソフトウェアをベースにしているため、現場へ浸透しやすいという利点があります。
- 対応業種:製造業全般、自動車、産業機械、大規模機械
【無料トライアル】
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AMMIC/NetP
【提供会社名】
株式会社アミック
【費用】
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【特徴】
組立系・プロセス系問わず幅広い業種に対応した生産管理システムです。自社・関連会社・協力会社からなる複数のサイトを連携させた管理が可能です。高速MRPエンジンを搭載し、紐付け・ロット別管理機能も充実しています。業種特有の細かなニーズに対応する機能も搭載されており、画面レイアウトが手軽にカスタマイズできるのも特徴です。
- 対応業種:製造業全般
【無料トライアル】
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rBOM
【提供会社名】
大興電子通信株式会社
【費用】
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【特徴】
設計部品表と製造部品表を単一データベースでリアルタイムに管理し、製造・設計・営業・経理などのすべての業務で共有して運用できるのが特徴です。個別受注生産に特化し、生産管理と販売管理の機能を兼ね備えた「rBOM V3」と、多品種少量生産の中小企業に特化した低コスト版「rBOM GP」があります。
- 対応業種:製造業全般
- 対応企業規模:中小~大企業(V3)、中小企業(GP)
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rBOM(アールボム)をチェック
『rBOM(アールボム)』とは、受注生産、多品種少量生産を行う企業さまを支援する生産管理システムです。 引合管理、見積、受注管理、債権管理機能を備えた販売管理システムと、「製番管理」「統合部品表」による生産管理システムを併せ持った、製販一体型のパッケージとなっています。 ...
Factory-ONE 電脳工場シリーズ
【提供会社名】
株式会社エクス
【費用】
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【特徴】
企業規模や用途に合わせて選べる生産管理システムシリーズです。中堅・中小製造業向けの「MF」は生産形態などに応じた4つのタイプがあり、販売管理機能も充実しています。大手製造業向けの「EX」は柔軟なカスタマイズが可能です。低価格・短納期の導入が可能で簡便な操作感が特徴のクラウド型システム「STクラウド」もあります。
- 対応業種:製造業全般
- 対応企業規模:中小~中堅企業(MF・STクラウド)、大企業(EX)
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TECHSシリーズ
【提供会社名】
株式会社テクノア
【費用】
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【特徴】
中小企業向け生産管理システムのシリーズです。進捗管理・原価管理に強いのが特徴です。「TECH-BK」は多品種少量生産型の部品加工業に特化し、EDIデータ取込機能や図面参照機能を搭載しています。「TECH-S」は個別受注生産型の機械・装置製造業に特化し、CADからの部品データ取込やトレース管理などに対応しています。
- 対応業種:部品加工、機械・装置製造
- 対応企業規模:中小企業
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Cloud2Mfg
【提供会社名】
株式会社Cloud2works
【費用】
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【特徴】
Cloud2Mfgは、クラウド型の生産管理システムです。製造業の基本活動である生産、調達、在庫管理、販売の全ての領域を管理できる基幹システムを提供しています。会社の規模に合わせたユーザー数での導入、自社に合わせたカスタマイズができるので、ランニングコストを抑えることができます。また、自社では生産を行っていない企業に対しても、必要なモジュールのみを選んで導入することができます。
- 対応業種:製造業全般
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Cloud2Mfgをチェック
Cloud2MFG(クラウドツーエムエフジー)は、メーカーの基本活動である営業・生産・調達・在庫管理の領域を網羅的にカバーする製品です。見込み生産/受注生産・生産計画/MRP作成・原価計算などメーカーのあらゆるニーズに対応します。勿論、自社で生産を行わない企業様にも必要なモ...
Pasteriot
【提供会社名】
株式会社DTS
【費用】
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【特徴】
Pasteriot(パステリオ)は現場のスキルやノウハウをデジタル化して、業務効率や生産管理の向上だけでなく、技能継承や人材育成にも活躍するプラットフォームです。
以前までの製造現場によるデジタル化の課題であった、製造時期や異なるメーカーの生産状況をPasteriotはまとめてデジタル化にできます。
また、製造現場で発生する膨大なデータから必要なデータを自動選別してくれる機能により、リアルタイムな可視化の実現を可能にしています。
さらにデータ量の削減、ダッシュボード連携、製造に関わるヒトやモノの削減など様々なメリットが備わっています。
- 対応業種:製造業全般
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~IoTとAIの力で製造現場のDX化を実現~【‐ IoT Platform ""Pasteriot(パステリオ)""‐】をチェック
Pasteriot(パステリオ)は製造現場(エッジ)のデジタル化を支援するIoTPlatformです。 製造業のお客様はPasteriotを導入することにより、これまで製造現場で職人の経験や勘に依存してきたスキル・ノウハウをデジタル化し、業務効率化・生産性向上を実現すると...
クラウドビート
【提供会社名】
株式会社ハートビートシステムズ
【費用】
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【特徴】
クラウドビートは、カスタマイズ性に優れた生産管理システムです。
業務フローを描きシステムを構築していくため、各々の企業に最適な生産管理システムの構築が実現できます。
開発システムの導入を行う難易度や、パッケージのカスタマイズでは自社業務にマッチできないなどの中小企業のお悩みを解消できます。
自社用にカスタマイズしたツールを無料でお試しができることが最大の特徴です。
システムを作るだけでなく成果を出すことを目的としているため、システムである仕組みを活かす運用にも注力しています。
カスタマイズ性に優れていることから通常のソフトウェアや、イレギュラーな業態の企業様におすすめです。
- 対応業種:製造業全般
カスタマイズが必要な業種
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クラウドビートをチェック
クラウド型各種業務システム「クラウドビート」は、多種多様な業務に対応できるよう約14,000のカスタマイズ項目を備えています。さらに、お客様のご要望にお応えするためにカスタマイズ項目の数は日々増え続けています。 「クラウドビート」は弊社、ハートビートシステムズが構築す...
品質管理システム「QC-One Lite」
【提供会社名】
株式会社宇部情報システム
【費用】
- 月額契約:毎月5万円(税抜)
- 年額契約:年間55万円(税抜)(1カ月分無料)
【特徴】
品質管理システム「QC-One Lite」は製造業向けの品質管理をサポートするシステムです。検査情報や規格値などのデータをクラウド上に一元管理できます。過去データは蓄積されるため、過去の検査結果や出荷データの参照、傾向管理などのデータ活用が可能です。
また検査データは、承認された場合のみ成績表が発行できるため、内部統制が図れます。データを変更した場合、証跡ログが残るため、データ改ざん防止にもつながります。
検査データ、マスタデータはダウンロードできるため、社内レポートなどにも活用できます。検査情報管理の効率化や、データを有効活用したい方におすすめです。
- 対応業種:製造業全般
【無料トライアル】
お問合わせ
品質管理システム「QC-One Lite」をチェック
QC-One Liteは、製造業向けに品質管理業務をサポートするシステム「QC-One」をよりお手軽に利用していただきたい!との思いから誕生した、クラウド型品質管理システムです。 【初期費用無料!月額5万円!】 「品質管理ご担当の皆さま、こんなお悩みをお持ちではない...
まとめ
生産管理システムは生産に関わる各業務を自動化・効率化するとともに、相互連携を容易にして業務全体の最適化を図ることができるというメリットがあります。製造業において、経営資源を統合的に管理し事業全体のパフォーマンスを向上させるためには欠かすことのできないシステムと言えます。
生産管理システムに求められるものは業種、現場ごとに大きく異なり、社内リソースに応じた運用体制の整備も必要です。自社の現状と今後の目標を明確化した上で適切なシステムを導入し、業務改善に活かしてください。