ふとしたことで、ドクトル・シュタインという名前に接する機会があり、
北大の先生や北海道立林業試験場の方にいろいろ教えていただいて、日本
語文献もあることを知った。
　いろいろ検索してみると、「一昔前の日本人なら誰でも知っていた」ほ
どの著名人で、日本の近代化において多くの分野で影響を及ぼした学者で
あるらしい。
　一番驚いたのは、星健一という方が『参考書誌研究』という雑誌に1977
年にお書きになったStein関係の日本語文献書誌である。いくら国立国会
図書館の方とはいえ、データベースもロクになかった時代にここまで調べ
られたということに驚嘆した。

　秋の海外調査を予定中である。
　８月一杯は別用で追いまくられ、フランス人はどうせバカンスで居ないから9月に、と思っていたら、9月の頭に向こうから逆に私信＋問い合わせが来た。J君、とうとうパートナーのCさんと結婚して第一子が生まれそうだというのと、彼の職場から日本のY県に視察が来るので協力をという話。
　それやこれやで結局1ヶ月アポ取りが遅れてしまった。燃料税も上がったらしいしどうなることやら。
　ただし、7月頃、別用関係で照会メールを書いたところ「別の職場に移りました。私の仕事内容への問い合わせは＊＊までお願いします」という定型メールが帰ってきた。経験上＊＊さんにもう一度メールしても得るところは少ないので諦めていたら、本人から「久々にメールをチェックした。職場が変わったので詳しいお返事はできないが」と前置きしつつ、かなり詳しい返信があった。有能で英語も堪能で腰が低くて感じの良い、これからのフランスを背負ってたつであろう若者である。

　文章がヘタで困っている。少なくとも「難解」と言われることが多い。
　最良の文章は、難解な内容を平易に書いているものであるが、私はその逆をやるものだから、自分でも何を書いたのか判らなくなることがしばしばである。
　そんな拙稿に「○○を＊＊するとは思い付きませんでした」といった文字通りの高評（著者より高い視点からの評価）をいただくことがある。もちろん当方にはそんな凄いことをしたつもりは全くなく、悪戦苦闘の末たどり着いた結果にすぎない。今日も、尊敬する某先生からご高評を賜り、結局の所自分が何を書いたのかが判ってきた。情けない話ではあるが、ありがたいことで、駄目でも何でも、とにかく書いてみるものだと思う。

　2/14に、Paris農林省のマダムから重要文献がどっさり届いたと書いたのだが、おかげで、当初の予定を大幅に上回る勉強をしなければならなくなり、自分が勉強になったと思ったことを全部原稿に書き込んでいったために、長いだけの駄作ができあがってしまった。
　通例に従い、これを少し寝かせて、冷静な目でみて自己嫌悪に陥り、また少し寝かせて、1)不足だがさらなる勉強で補足できそうなところ、2)書きすぎなので註に回すべき所、3)どうあがいてもこれ以上は無理そうなところ、の仕訳をし、結局「何がやれて何ができなかったか」を整理し、文頭の「目的」の節に明示する、という作業をやった…つもりであった。
　しかし…しかしである。まだ甘かった。大した文献だと思っていなかった資料の最新版を念のため見たら、拙稿の結論を変えてしまいそうな内容。なぜその資料がそこまで書いているのかの裏が取りたくなってきた。

今回は国内仕事だったが、場数を踏んでスピードアップしてきた。軽量三脚は手荷物の範囲で飛行機に乗れる。ピントさえ合っていれば何とかなる。マルチフォーカスと半押しの励行で、失敗が殆ど無くなる。