南半球の某国を初めて訪れた。以前その国の重要性に「気付くのが遅過ぎた」と書いたのだが、やはり諦め切れず、夏に知り合った専門家の御厚意にすがる。

たった１週間ちょっとだったが、「来て本当に良かった」という感想を持つ。

国立図書館の司書の方は、お連れ合いのお仕事（火山研究）の関係で、阿蘇や北海道に滞在されたとのこと。そうでなくても親切なキィウィの人々であった。

ホテルのネット環境が悪かった（たまたまか？）。ただ、そのお陰でシゴトが捗った…のかも知れない。

いろんな予定が重なって、今月は凄い事になってしまった。移動距離の月間最多（極私的）記録更新は確実である。

こういう時に限って、勉強になる文献多数に出会うのは、偶然だろうか？

抜き刷りのご恵贈、定期購読誌の論考、シンポジウムのご案内、等々…綺羅星の作品群の中に、拙作（やはり駄作）が混じっているのが恥ずかしい。

そういえば、「学問の秋」なのであった。

　鳩山内閣の農相人事は、旧社会党（英訳は昔からsocial democratic partyだった）系からの入閣となった由。

　フランスやドイツ語圏を回って聴く話として、社民系の農政は、大規模農業者に対して厳しい。

「自然保護契約」という今全欧でやっているnatura2000の前史のような方式をヘッセン州でやったときは、保守政権だった。その後州選挙で社民が勝ったら、「金持ちに追い銭」的批判を浴びて、契約は打ち切りになったらしい（ただし一旦約束したことは守るという欧州らしいやり方で、所有者に対し残金を一括払いして制度を廃止したとのこと）。

　フランス農政が、赤緑連立政権のころと、その後でどう違うか、という微妙で興味深いテーマについては先行研究がいろいろあるので勉強していきたい。フランス国内の身内の事情だけでは欧州全体を説得できない、というのがポイントらしく、一筋縄ではいかないようだ。

　日本でもこれまでは自民党は農民票でもってきた筈。今後どうなるのか見守りたい。農産物は知らないが、林産物を輸出するという動きがあり、それが無視できない規模になってくると、身内の論理だけでは済まなくなる。

昨年、フランスの知人から「環境グルネル」という言葉を聴いた時は、ちんぷんかんぷんだったが、帰国してからＷｅｂで調べたら、日本語の解説まであった。有り難い限りである。

最近、フランス大統領が炭素税導入を決めたとの新聞報道があった。グルネル会議の精神からいって、当然のことで、調整に２年掛かったのか、唐突な政治判断なのか分からない。

原発国という事情は差し引いても、北欧に続き、フランスもついに炭酸ガス削減に本気で取組む姿勢を内外に示したと言えよう。

某国の25％、強制割り当ても場当たり的なエコ減税も愚策である。マクロな数値目標の達成は、市民の自発的活動だけでは限界がある。

政治が、目先の利害や妥協でなく理性によって動くことを祈るばかりである。それによって人類滅亡が先に延びるのだから。

昔、経済学の授業で、
「社会を構成する人々が、狭義の経済利益で行動していようといまいと、社会の基礎にあるのは人々のコミュニケーションであり、コミュニケーションの基礎は言語である」
と教わった。

同じ言葉が違う意味で使われる場合もあろう。
同じ意味内容が違う言葉で表現される場合もあろう。

地域、時代、論者、など、違いを生み出す要因はさまざまである。

あるテーマにとりかかる時、キーワードを見つけて、これらを一通り押さえることができれば、取り敢えず御の字である。

予算取りのためにか、目新しい言葉を発明（？）する達人がいらっしゃるが、上記の作業で手一杯で、とてもそこまで知恵が回らない。