筆者の町内会にたまたま出席していた物理の専門家が一席ぶって、心配顔のママたちを安心させてしまったという。福島に精力的に出かけて、より深刻な地域の現状をご覧になっているかもしれない。断片的な又聞きなので不正確かもしれないが、筆者の常識とは異なる点があるので以下に。
a.子供がグランドの埃を吸っても、このあたりの線量なら大丈夫。土を食べでもしなければ。
a-1 アメリカで、土埃を吸った子供についての疫学データがあって、影響は出ていない。
b.砂場は土よりもセシウムが滲透しやすいから入れ替えなどしなくてもよい。
c.市民計測器はアルファ線、ベータ線が混ざってしまうので高めに出る。
筆者の疑問は以下。
a.物理の専門家が、放射線防護学のALARA原則を無視してよいのだろうか。つまり子供の内部被曝は少なければ少ないほどよい。これ以下なら安全という「閾値」は存在しない…と考える。ALARAの「R」は「合理的」、つまり対策のリソースを考慮するということだから、福島のことで忙しくて首都圏までかまっていられない、というのならわからなくもない。それなら福島は専門家が精力的にサポートして首都圏は保護者ボランティアでやる、という仕切りで良いと思う。いずれにしても「安全」を断言できる人は、カミサマ以外にいない筈。
a-1 疫学データで影響なし、というのは、通常「統計的に有意なところまでわかっていない」という意味であって「安全だとも証明されていない」というのが常識的解釈では?何万人の子供を何十年も追跡したのだろうか。
b.砂場で入れ替えして効果が出たという事例は山ほどあるが、そういうデータは見た上で仰っているのか。
c.市民計測家をバカにした発言。「2ちゃんねる」あたりでも、ガイガーカウンターを買った人が勇んでやたら高い計測値を報告すると「校正やアルファベータの遮断をちゃんとやったか?」「最高値、最低値の扱いはどうしたか?」という類の批判が飛んでくる。つまり市民計測家の間ではどういう測り方が正しいかについて、あまねく知られている。さらにこの町内界隈では、別の物理学者が計測の指導をしているらしい。
※もっと根本的な問題として、物理の専門家は医学の専門家ではない、ということである。しかも物理の専門家は自然科学という王国の頂点にいると思っているきらいがある。謙虚な専門家であれば、ご自分の「専門領域からはここまでは言える」という言い方をなさるし、別の物理学者は医学領域の論文を必死に勉強なさっている(←お二人で対決してほしい)。
さて、真実は。
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