#性交同意年齢の引き上げを求めます
とは、
刑法(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
にある
「十三歳以上の者」「十三歳未満の者」を、
「十三歳」
よりも大きな数字に引き上げろ、という要求。
この要求は、結論から言えば、
毛沢東の雀駆除指令の如く、
害悪甚大なる不当要求です。
一、刑法内での問題
こんな事例を用意しました
設問一、甲(十五歳)は、乙(十五歳)と性交等をした。甲と乙の罪責を論じよ。
なお、刑法第百七十七条の「十三歳以上の者」「十三歳未満の者」は、「十六歳以上の者」「十六歳未満の者」と読み替えるものとする。
読み替えしなければ、甲乙共に不可罰です。
しかし、「十六歳以上の者」「十六歳未満の者」と読み替えると、
甲乙はともに、強制性交等罪(刑法第百七十七条後段)が成立します。
そして、
強制性交等罪(刑法第百七十七条後段)は、殺人や強盗とともに、
凶悪犯罪
です。
甲乙はともに、凶悪犯罪人の汚名を背負い続けることになります。
ちなみに、近年の刑法改正の結果、甲乙はそれぞれ、男女どちらであっても罪名を左右しません。
また、刑法第百七十七条後段の年齢読み替えは、第百七十六条 後段(強制わいせつ罪)にも直撃します。
その結果、
先程の設問に出てきた甲乙が、子を授かった場合、
しかし、
その子の存在を知られれば、甲乙は凶悪犯として捕まります。
なので、、、、
嬰児の殺人・死体遺棄が増える
という弊害も出ます。
更に、仮に産まれたとしても、
その子が認知を受けられない恐れ大。
(これは、民法の領域ですけど)
条文の数字を少し読み替えるだけで、
ここまでの惨事になるのです。
二、少年法との齟齬
十三歳と聞いて、
少年法を思い浮かべた方もいらっしゃるでしょう。
先程の設問に出てきた甲乙(ともに十五歳)は、
少年法に基づく手続きの載せられることになります。
少し年齢を変えてみましょう事例を用意しました
設問二、甲(十九歳)は、乙(十九歳)と性交等をした。甲と乙の罪責を論じよ。
なお、刑法第百七十七条の「十三歳以上の者」「十三歳未満の者」は、「二十歳以上の者」「二十歳未満の者」と読み替えるものとする。
読み替えるの結果、
甲乙はともに、強制性交等罪(刑法第百七十七条後段)が成立します。
問題は、設問二の甲乙が叩き込まれる手続き。
設問二の甲乙は、ともに十九歳。
なので、
少年法に基づく手続きによって、
家裁から検察庁へと逆送される結果、
刑事手続きに叩き込まれる余地が大いにあります。
なぜならば、先程指摘した通り、
強制性交等罪(刑法第百七十七条後段)は、
凶悪犯罪
だから。
刑法第百七十七条の「十三歳以上の者」「十三歳未満の者」の数字を引き上げすぎると、逆送可能な年齢(現行少年法では十四歳)以上になってしまいます。
逆送可能な年齢を引き上げないまま、
刑法第百七十七条の年齢を引き上げると、
少年法に基づく手続き、もとい、
少年保護手続が、
十代の少年少女に、
「凶悪犯罪者」
というレッテルを貼るための手続きになってしまう。
三、民法との齟齬
まずは、夫婦が刑事責任を追及される、という不合理。
言うまでもなく、婚姻は「テーブルとベッドを共にする」こと。明白な不合理です。ただ、この不合理は、刑法典の年齢に「(ただし、婚姻中の者同士を除く)」と付記する事で回避できるでしょう。刑法典の明快さを大きく毀損しますけど……
ただ、
民法の年齢を盾に刑法の話をする奴がいれば、鼻で笑いましょう。
四、刑事手続きにおける歪み
その結果、懐妊した「凶悪犯罪者」は、産婦人科を避け、殺人・死体遺棄に至る。
少年少女が少年院・女子少年院・少年刑務所に叩き込まれようとも知った事ではない。
が、
不出来な警察官が各地の差婦人科に、
点数稼ぎ放題の場として食い付き、
一方で、
十代の少年少女が、
凶悪犯罪者のレッテルを貼られた上、
そのレッテルのせいで新たな犯罪に追い立てられる
という未来予想図が、猛烈に不愉快。
おまけ。
刑法(強制性交等)
第百七十七条 十三歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛こう門性交又は口腔くう性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。
にある
「十三歳以上の者」「十三歳未満の者」は、
行為客体(被害者)が、
「刑事裁判での吟味に耐えられる程度の」
詳しい供述をできるでかどうか、
で線を引いたのならば、しっくりくる年齢設定。
(手続きの具合から、法を眺める癖が役立つとは……)
追記