水を電気分解して水素を作り、その水素でクルマを走らせる。
このイメージでずっと理解していたので、馬鹿馬鹿しい永久機関であり、予算獲得のための「水素ムラ」でも作りたいのか、としか思えなかった。なので、解説書やマスコミ報道にも全く関心がなく、ハナから毛嫌いしていた。
が、最近、水素を使う意義を解説した文章に出会って、謎が氷解した。
「最も効率の良い蓄電方法」
というのがキーワードである。
再生可能エネルギーの中には、季節や気候に左右され、供給量が安定しないものがある。これを平準化できないか。水力発電でも夜間電気を無駄にしないために揚水発電というのがあるから発想自体はクラシックである。
素人目に思いつくリチウム電池などに充電するのは、効率が悪いという。
そこで、短期的に余った電力を使って水を電気分解し、水素の形で蓄えておく。
反応性の強い水素(ツェッペリン事故を想起されたい)だから、爆発や容器の腐食という問題があるのだが、ここ10年ほどで、技術開発が進んで実用化が見えてきたという。
水素を使うこと自体で新たなエネルギーが生み出される訳ではなく、余剰エネルギーを蓄えて供給を平準化する、というのがミソである。要するに
再生可能エネルギー社会と水素社会は相性が良く、互いに補完し合うもの
であるらしい。
というわけで、水素技術をこれまで全く評価していなかったことを少々反省する気になった。ただ、水素推進派としては、経産省からカネを取るために、「再生可能エネルギーとの相性」という最大の利点は表だって口にして来なかったのではないか。
経産官僚=原子力ムラ=再生可能社会否定、という哀しい方程式を前提にすれば、のことなのだが。

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