アイスもポテトチップスも空前の「バター味ブーム」 背景に“背徳感”と“韓国からの逆輸入”
2020年の緊急事態宣言下では、家庭でのお菓子やパン作りで需要が増え、一時はスーパーなどでも手に入らないようになった「バター」。最近は、材料としてではなく、バターそのものを味わう商品をスーパーやコンビニでよく見かけるようになった。赤城乳業の「かじるバターアイス」やカルビーの「ポテトチップスしあわせバタ~」など「バター味」ブームの理由をメーカーに聞いた。
【写真】バターそのものに見える「かじるバターアイス」の見た目。各社から続々発売される「バター味」のお菓子
社内でも賛否両論
赤城乳業「かじるバターアイス」は、昨年2月の発売後、すぐに売り切れに。根強い人気に応え、「かじるあまおう苺バターアイス」や5本入りのファミリーパックを数量限定で発売開始した。
「正直言って、ここまでヒットするとは全くの予想外でした。当初の予定の4、5倍の売れゆきで、1カ月から1カ月半くらいの発売期間を予定していたものが、わずか1週間で売り切れてしまいました。昨年9月に再販したのですが、さらに予想を上回る売れゆきで、また1、2週間ほどで売り切れてしまいました。品薄商法ということは決してなくて、本当に生産量を十分確保して再販に挑んだのですが……」(赤城乳業担当者)
「かじるバターアイス」は、牛のイラストが付いたパッケージを開けると、薄黄色のシンプルなアイスが出てくる。バターをそのもののようなインパクトある見た目がウケた。
「発売前は、社内でも賛否両論というか、バターをそのままかじるというコンセプトはどうなんだという声がありました。特に、年配の社員からは、『食べきれないのでは』といった意見もあったので、万人受けする商品ではなくて少しキワを狙った商品だと考えていました」(同)
それが、Twitterでアイスを食べた人の投稿した写真が“バズり”、大ヒットへとつながったのだ。
「CMを流したわけでも、特別なキャンペーンを打ったわけでもなく、いわばしれっと発売した商品でした。狙って作ったヒットではなく、完全にSNSのおかげなので、5年前、10年前であれば、ここまでヒットすることは無かっただろうなと思います」(同)
背徳感があっても意外とヘルシー
そもそも、どうしてバター味のアイスを発売することになったのだろうか。
「赤城乳業で、バターに特化したアイスを開発したのは初めてでした。少し前から、バターを使ったお菓子が人気だったので、バターをメインにしたアイスを開発してみようということになったんです。見た目をバターっぽくするだけでなく、北海道産発酵バターを使用して、本格的な風味にこだわっています」(同)
再販後に人気が続いた理由も、やはりSNSにあるという。
「コロナ禍で巣ごもり需要が高まる中、本物のバターの代わりにパンやホットケーキに載せたりするなど、色々な食べ方をして楽しめる点が喜ばれたのだと思います。レシピをSNSに投稿する方が多かったのが、このアイスの特徴でした。また、本格的なバターの風味がするにもかかわらず、140キロカロリーとカロリーは意外と高くありません。カロリーを気にする人でも、このアイスならバターを丸かじりしたような気分を味わえて、ちょっとした背徳感を覚えることが出来るのが根強い人気の理由ではないでしょうか」(同)
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