アラサーがVtuberになった話。

4月1日

　世の中的にはエイプリルフールということで盛り上がっていた。特にネット社会においてはそういった催しが積極的に行われている気がする。しょうもない――と言うと失礼かもしれないが、そういった分かりやすいウソだったりだとか。やたらと手の込んだものまで様々だ。企業が、このたった1日に向けて色々仕込みをしているケースも少なくない。ホームページがエイプリルフール仕様になったりだとか、ゲームメーカーはミニゲームを作ったりだとか。注力して話題になれば良い宣伝になるし、注目も浴びる。もっとも単純なサプライズ、ファンサービス的な側面もあるのだろうけれども。

　動画界隈でもドッキリを仕掛ける動画がよく出回っている。そういうのにもこういった『季節感』というのがそこそこ重要なのかもしれない。1番お手軽なのはしょうもない嘘を呟いたりとかするくらいなんだが。それだと面白みに欠ける。人気のインフルエンサーみたいな話題になるツイートが出来るとも思えない。話題性重視でやっちゃうと炎上待ったなしというのは想像に難くない。

　バーチャル美少女に受肉した『バ美肉おじさん』こと有栖院 アリス氏とコラボした際、「バ美肉化しませんか？」というご意見があり、どういう訳かmikuriママのフルカラー女体化イラストまで頂いてしまったのである。レイちゃんとか言われているらしく、そこそこ人気がある。R指定のファンアートまであるから驚きだ。そりゃあmikuriママのイラスト人気が単純に凄いだけなんだが。

　そういう時使えるようにと気合入れて描いて貰った以上、やらないとなぁ……一応マネージャーにも相談したが、「良いじゃないですか。面白いと思いますよ」と背中を押される。てっきり違うガワ使って配信するので却下されることを心のどこかで期待していた節もあったのかもしれない。まあでも、ボイスチェンジャーとか持ってないし流石に無理だろう。うん。

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「どうにかなっちゃったなぁ……」

　何故うちの社長がボイスチェンジャーまで私物として持っているか詳しく聞きたいところだが、バイノーラルマイクと良い、彼はどこを目指しているのだろうか。実は我々所属Vが知らない裏で、バ美肉配信者として大活躍してたりしない？

　ボイスチェンジャーはソフトウェアとハードウェアタイプがあるので、ぶっちゃけ前者であれば借りなくてもやろうと思えばやれたんだけれども……何なら無料のソフトもあるし。今回借りたのは後者のタイプ。社長ノリノリで即日配送とか仕事が早い。借金のカタとボイスチェンジャーとか風変りな物しか送り合ってない不思議な関係である。

　以前mikuriママから頂いた『レイちゃん』のイラストを画面右端に設置。Live2dじゃないから一切動かないし、表情なんかも変わらない。こんなのでも満足してもらえるのだろうか。有栖院氏には事前に協力してもらい、ボイチェン関係の設定を手伝って頂いた。「もういっそこ(・)っ(・)ち(・)側(・)に来ませんか？」なんてことを冗談半分に言われたのはここだけの話。

「ええーっと、これで。いいのかな？」

「わぁ……」

「ボイチェンは社長の私物をお借りしてます」

　事務所のオフィスの一室には社長の私物というかそう言うのが、まとめて置いてあるのだとか。獅堂先輩曰く「事務所を倉庫と勘違いしている困った子」ということらしい。キャンプ用品の寝袋やらテント。サンドバック、バランスボールとかもう何でもありの状態らしい。

「まあこれやる以外何も考えてないんですけどね」

「自分が過去に何言ったか忘れて、たまに非公式wiki見るときあります。スリーサイズはmikuriママに聞いてください。私分からない」

「いや、たった今決めました、みたいなそんなんで大丈夫なんですかねぇ」

　まあ非公式キャラだしいいのだろうか。

「リアルタイムに私の知らない設定が追加されていく件」

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